The Trial

Words & Music by Roger Waters and Bob Ezrin.
(1979年発表)



(原題直訳 「裁判」)*1




From The Pink Floyd album, "The Wall".

名作アルバム度 ☆☆☆

ザ・ウォール」 (ピンク・フロイド





歌詞は、次のURLから
http://www.pink-floyd-lyrics.com/html/the-trial-wall-lyrics.html






邦題 「ザ・トライアル」 (ピンク・フロイド








(ドアの閉まる音、つづいて別のドアがゆっくりと開く)、



(ユーモラスなチューバの音にどことなく東欧風のクラリネットの旋律が絡み、さらにそこにオーケストラが加わり、
オペレッタ風の音の世界が広がっていく)



(廊下を行く足音)



(判事が槌を叩く音、いかにもオペラ風の歌唱で)





Good morning, Worm your honor.
おはようございます、蛆虫閣下
The crown will plainly show
王権によって示されますとおり
The prisoner who now stands before you
いま閣下の目のまえに立っております囚人は
Was caught red-handed showing feelings
感情を顕したことで現行犯で逮捕された者です
Showing feelings of an almost human nature;
ほとんど人間の本性とも申してよい感情を見せたのです
This will not do.
これは許されてはならぬことです




Call the schoolmaster!
校長を呼びたまえ!




I always said he'd come to no good
わたしはつねに言っておったのです
こいつはろくなものにはなりはしないと
In the end your honor.
ついにこのざまです、閣下
If they'd let me have my way I could
もし、許されるものでしたら
Have flayed him into shape.
こいつの皮を剥いで
まともにしてやることもできたでしょう
But my hands were tied,
しかし、わたくしにその自由はありませんでした
The bleeding hearts and artists
忌まわしき心、芸術家といったものが
Let him get away with murder.
こいつを人殺しにしてしまったのです
Let me hammer him today?
本日、この男に鉄槌を下させることを
このわたくしにさせてくださいますでしょうか?




Crazy,
狂ってる
Toys in the attic I am crazy,
屋根裏部屋のオモチャだね
ぼくは狂ってるんだ
Truly gone fishing.
すっかり腑抜けになってしまった
They must have taken my marbles away.
やつらにタマを抜かれちまったにちがいない




(女声合唱による)
Crazy, toys in the attic he is crazy. 
狂ってます、屋根裏部屋のオモチャです
この男は狂っています




You little shit you're in it now,
このケチなろくでなし、
こんなことになってしまって
I hope they throw away the key.
願わくば、鍵など捨て去って
ずっとこのままにしてもらってほしいものだわ
You should have talked to me more often
あなたはもっとしばしば
わたしに言ってくれたらよかったんだ
Than you did, but no!
でも、してくれなかった
あなたはいくらも話してくれなかった
You had to go our own way,
あなたのせいで、わたしたちは
こんなことになるしかなかったのよ
Have you broken any homes up lately?
最近もどこかの家庭を壊しているんでしょ?
Just five minutes, Worm your honor,
5分間だけで結構です、蛆虫閣下
Him and Me, alone.
この人とわたしだけにしてください




Baaaaaaaaaabe!
ベイーーーーーーブ!
Come to mother baby,
お母さんのところにおいで
赤ちゃん
Let me hold you in my arms.
おまえをわたしのこの腕に抱かせておくれ
M'lud I never wanted him to get in any trouble.
坊や、わたしはおまえが
どんな困った目にも遭わないようにしてやりたかったんだよ
Why'd he ever have to leave me?
いったい、どうして、この子は
わたしのもとを去らなきゃならなかったのだろう?
Worm, your honor, let me take him home.
蛆虫閣下
この子を家に連れて帰らせてくださいな




Crazy,
狂ってる
Over the rainbow, I am crazy,
虹の彼方さ、おれは狂ってるんだ
Bars in the window.
窓の鉄格子
There must have been a door there in the wall
この壁にはドアがあったにちがいない
When I came in.
ぼくは入って来たのだから




(女声合唱による)
Crazy, over the rainbow, he is crazy.
狂ってます、虹の彼方です
この男は狂っています




The evidence before the court is
この法廷のもとにあります証拠は
Incontrivertable,
論議の余地なきものであるからし
There's no need for the jury to retire.
陪審の別室にての協議は必要ありません
In all my years of judging
判事としてのわたしの長い年月において
I have never heard before
わたくしはかつてこの者ほど
Of someone more deserving
Of the full penaltie of law.
法による最大限の刑罰にふさわしい者を
知りません
The way you made them suffer,
Your exquisite wife and mother,
おまえがこの者ら
かくも申し分なき妻や母をを苦しめ傷つけたさまは
Fills me with the urge to defecate!
わたしの気持ちを
浄化への衝動で溢れんばかりにしている!



(叫び声)
"Hey Judge! Shit on him!"
「おい、判事! やつをこらしめろ!」




Since, my friend,
友よ、おまえが
You have revealed your deepest fear,
自分のもっとも奥深くにある恐怖をあらわにしたことにより
I sentence you to be exposed before your peers.
わたしは
おまえの同胞たちのまえに明らかにすべく
この判決をおまえに言い渡す
Tear down the wall!
壁を切り崩すように!




(以下、シュプレヒコールふうに群集の連呼)
Tear down the wall!
壁を切り崩せ
Tear down the wall!
壁を切り崩せ!
Tear down the wall!
壁を切り崩せ!
Tear down the wall!
壁を切り崩せ!
Tear down the wall!
壁を切り崩せ!
Tear down the wall!
壁を切り崩せ!




(笑い声)




(轟音とともにはじめは少しづつ、やがて一気に壁が崩れ落ちる様子)





Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞





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この曲とまえの曲「ストップ」は、フレディー・マーキュリーの歌で聴いてみたい、いかにもクイーン風の作りになっていると思うのだが、「ウェイティング・フォア・ザ・ワームズ」のビーチボーイズ風、「ワン・オブ・マイ・ターンズ」(の後半部分)のフーのロック・オペラ調、「ヤング・ラスト」のムーディー・ブルースっぽさ(?)など、他にもこのアルバム全編にわたって(いかにもな)1970年代後半から80年代前半風のロックめいたサウンドや録音(のまさかパロディやパスティシュのつもりではなかろうが)を聴いていると、本作の(文字どおり)「壁」という主題が(実は、ことピンク・フロイドに限らず)ビッグなロック・バンド全体にとって普遍なものであるかのようにも聴こえてきてしまうが、まあ、それは幻聴のたぐいだろう(としておこう)。

*1:フランツ・カフカ風に「審判」としてもいいだろう。