How Do You Think It Feels

Words & Music by Lou Reed.
(1973年発表)



(原題直訳 「きみはこれがどういう感じがすると思うのかい?」)




From Lou Reed album, "Berlin".
名作アルバム度 ☆☆☆☆☆

「ベルリン」 (ルー・リード




歌詞は、次のURLから
http://www.lyricsondemand.com/l/loureedlyrics/howdoyouthinkitfeelslyrics.html





名曲度 ☆☆☆




邦題 「暗い感覚」 (ルー・リード






How do you think it feels?
どんな感じがすると思う?
When you're speeding and lonely
スピードをやって、それで淋しいんだぜ
Come here baby
こっちに来いよ、ベイビー
How do you think it feels?
どんな感じがすると思う?
When all you can say is, If only
出て来る言葉が「せめても」ばっかりだとしたら



If only I had a little
せめて、ぼくに少しでもあれば
If only I had some change
ぼくにせめて何かの変化があったとしたら
If only, if only, only
せめて、せめても、しかないんだ
How do you think it feels
きみはそれがどんな感じだと思う?
And when do you think it stops ?
それと、これって、いつになったら収まると思うかい?



How do you think it feels?
きみたちは、これがどんな感じがするんだと思う?
When you've been up for five days
5日間も起きっぱなしなんだぜ
Come down here Mama
なあ、ママ、こっちに出て来いよ
Hunting around always - ooh
いつもそこいらじゅうを漁りまわってるんだ、あゝ
'Cause you're afraid of sleeping
だって、眠るのが怖いんだ




How do you think it feels?
きみたちは、これがどんな感じだと思う?
To feel like a wolf and foxy
狼や狐になったみたいな感じがするんだ*1
How do you think it feels?
それがどんな感じなんだと思う?
To always make love by proxy ?
いつも代理人を立てて抱かれるのって?*2
How do you think it feels?
どんな感じがすると思う?
And when do you think it stops ?
それで、いつこれが収まるんだと思う?
When do you think it stops ?
これがいつ収まるんだと思う?






Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞






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(・・・ということで本題に入ります・・・・・)



スピードです、覚醒剤です、よーするにシャブってるんですよ、こいつら




Hunting around always - ooh

いつもそこいらじゅうを漁りまわってるんだ、あゝ(やんなるぜい)



これはシャブに限らず闇売りの中毒性ドラック中毒患者に共通するしぐさですね
しょっちゅう、そこいらじゅうを引っくり返して何かを探している
人んち行っても、ちょっと目を離していると平気で人の部屋を漁りまわる
もちろん、クスリなんか出て来ませんよ、
何でもいいんです、あいつら、手当たり次第、何でも何かカネに替えられるもの、
出て来ないかな、何か、どこかで売っとばしてカネに替えられるものが
(ってとこまで、底までとことん(そこまで)堕ちているんです)
で、もちろん、そのカネは(ってぇーとすぐにいくらかの)粉末や錠剤に替わって闇の世界へと消えていきます
(汚れたカネは洗浄(し、シャバに還流せずに)(そのまま)闇へと廃棄してください、というのが余の要請だが、
あいつら、人のギターだって平気で持ち出して売っちゃうしぃ、
洋服ダンスから女のアニエスbとかもごっそり持ち出していっちゃうんだ
そういうことをいろんなとこでやってるのが、中=毒=者、邪鬼と化すジャンキーの(過剰なまでの )"有"邪気
そこまでいっちゃう、底なしのそこまで底抜けにいくいくどんどん
ジャンキーは修羅、餓鬼、畜生界をうろつきさまよう(迷う)ジャンキーは(果てしなく、涯知らず)修羅、餓鬼、畜生界をうろつきさまよう
ゴミ、クズ、ジャンク、ジャンキーは修羅、餓鬼、畜生界をうろつきさまよう
みんな迷惑してます (なのにあいつら)やめられないんです だから中毒なんです アディクト
友情とかそんなこと言ってられません、薄情だなんて、そんなこと言わせません
警察にお願いするしかありません、でも、警察には来てもらいたくありません、
べつに併殺打になるおそれはないんですけども、かかわりたくはないですね、ことにそういうことではとくに

(クスリでサツとかかわると一生たたるよー、あいつら性悪でせこくて最低に下品な(しかも「小役人」って根=性=根の(念の念な)(救いがたい)(およそイエスさまの対極の)人種だからさあ(でも、イエスは「徴税人」をおそよ最下位に置いていた(ようにseems to be))



How do you think it feels?
To feel like a wolf and foxy

どんな気持ちがすると思う?
狼や狐になったみたいな感じなんだ




英語族の間では、
このレトリックは、「狼」のように「貪欲」で、かつ「狐」のように「狡猾」でという隠喩になります。
先の実例のように薬物中毒になって人間廃業だか休業中の連中は(あられもなく)貪欲で(とんでもなく)狡猾です。
呆れるほどの予想外の奇策で攻めてきます、まあ、見え透いてるんですけどね、
ようするに、ずるくて欲張り、それがこのキツネとオオカミ


ということで、この歌はそういう歌です。
修羅、餓鬼、畜生道をふたりしてさまよいうろつきまわるベルリン・ジャンキーズ

これを男を歌い手(語り手)として聴いてみましたが、
一応、(男の歌だとするには)それなりにその根拠はあります。
まず、アルバムの語り手として役をふられたこの「資産家の息子」というその統一性を崩したくないこと
また、順番として、この歌「暗い感覚」に歌われているのは男のほうだということ、
ちょっとそれを説明しましょうか、
まず、(一昨日紹介した)アルバム冒頭の「ベルリン」、あそこで歌われていたのはふたりの過去、この物語のはじまりのころ、そして次の「レディ・デイ」では(主人公の)女が歌われていました、つづく「富豪の息子」では語り手の男が、そして「キャロラインの話」では女が歌われ、というその順番(というか)このアルバムにある「語り」のスタイルのそんな様式性を尊重すると、これは(やはり)(キャロラインという)女との暮らしから男が(ついに耐えかねて)クスリに手を出してしまった(というそういう物語の進展を物語る)歌だとの判断に至ったのです。(けっこういろいろ考えて訳してるんですよー)*3
しかし、もちろん、これを女主人公キャロラインを語り手として(女言葉の日本語で)聴いてみることもできるでしょう。*4

その場合、微妙に意味が変わってくるかもしれないのは次のくだりだろう




How do you think it feels?
To always make love by proxy ?

それがどんな感じなんだと思う?
いつも代理人を立てて抱かれるのって?




これは、要するに女が売春をしているということで*5
男はべつにそのヒモでも斡旋人でもないということ*6
つまり、男を語り手とすれば、売春している彼女はどんな気持ちで男に抱かれているのかと考えながら、同時に自分が愛する女に売春をされている自分自身(されている、です。させている、ではありません)が「どんな感じなのか?」わからずに(思考停止、判断不能状態に陥り)(自らを閉じ)(努めて)無感覚に(なろうとしている)なっている・・・・。いや、それこそが、彼が(こんなふうに)クスリに手を出すことになってしまったその直接のきっかけ(をかたちづくるものとなったこと)であるに違いない。

もう一度、冒頭から聴き返してみるといい、




How do you think it feels?
When you're speeding and lonely

どんな感じがすると思う?
スピードをやって、それで淋しいんだぜ




・・・・ということで、やはり(この架空の映画「ベルリン/堕天使の詩」(!?)の監督としては)これは男の側からの歌だとしておくとする。
(しかし、たかが物語りに何をムキになってるんでしょうねえ、いや、やっぱりそれはルー・リードのあの声、あの歌というか、あの語りのせいですよ)


あ、それともうひとつ、いちばん重要なのを忘れてた



And when do you think it stops ?

それで、いつこれが収まるんだと思う?


この問いに対する答えは、(言ってあげていいものかどうか、考えてしまうが)
それは「きみたちが死ぬときだろうね」ということになる。
訊いた彼もそれは知ってるはずだと思うよ、うん。




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【A Year Ago−Go!】



(1年前のエントリーを Playback♪)


こちらのジョンソンさんも、いろいろとご苦労なさっているようですよー。



・「クロスロード・ブルース」 (ロバート・ジョンソン

・「ウォーキン・ブルース」 (ロバート・ジョンソン

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050520

*1:本文駄文を参照。

*2:本文駄文を参照。

*3:まあ、ここではわたしは一種の映画監督みたいなものですから、エヘン、みなさんはわたしのディレクションによって、このルー・リード原作の「ベルリン」というアルバムを日本語で半ば体験されるわけですので、そのへんはどうぞあしからず。

*4:でも、キャロラインが「淋しい」なんて言葉を自分から口にするとは思えないですね。この歌を女性がカバーした例ってあるのだろうか?

*5:「proxy」「prostitution」「professional」・・・

*6:また、彼自身がキャロラインによって(昨日紹介した歌「キャロラインの話(1)」にあったように)「誰かもっとほかの男らしい男」の代役としてベッドをともにしているという解釈も成り立つかもしれない。いずれにせよ、そのあたりはいつもルーズに開かれているのが、歌によって編まれるこの種のロック・ドラマなりロック・オペラのつねである。