Sad Song

Words & Music by Lou Reed.
(1973年発表)




(原題直訳 「悲しい歌」)




From Lou Reed album, "Berlin".
名作アルバム度 ☆☆☆☆☆

「ベルリン」 (ルー・リード




歌詞は、次のURLから
http://www.lyricsondemand.com/l/loureedlyrics/sadsonglyrics.html




名曲度 ☆




邦題 「悲しみの歌」 (ルー・リード






Staring at my picture book
アルバムを眺めていると
She looks like Mary, Queen of Scots
彼女がスコットランドの女王メアリーみたいに見えるんだ
She seemed very regal to me
その姿がぼくには実に堂々とした風格があるものに思える
Just goes to show how wrong you can be
まあすぐに勘違いだってわかるんだけどね




I'm gonna stop wastin' my time
ぼくは時間を無駄にするのはやめにしよう
Somebody else would have broken both of her arms
誰かほかのやつなら
彼女の両腕をへし折ってすましていたかもしれないことだ




Sad song, Sad song,
悲しい歌、悲しい歌なんだ
Sad song, Sad song
悲しい歌、悲しい歌だ




My castle, kids and home
ぼくの城に、子供たち、そして家庭
I thought she was Mary, Queen of Scots
ぼくは彼女がスコットランドの女王メアリーなのだと考えた
I tried so very hard
すごく無理してそう思ってみた
Shows just how wrong you can be
そんなのは間違いだってことはすぐにわかる



I'm gonna stop wasting time
時間を無駄にするのはやめにしよう
Somebody else would have broken both of her arms
誰かほかの人間なら、彼女の両腕をへし折ってすませていたはずだ




Sad song, Sad song,
悲しい歌だ、悲しい歌
Sad song, Sad song
悲しい歌だ、悲しい歌なのさ







Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞









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キャロラインはもはやひとつのイメージ(映像)としてアルバムの中にいるだけだ。
彼女とスコットランドの女王メアリーとの類似は、おそらく純粋に視覚的なもの(もしくは視覚から来る印象によるもの)だろう。*1
(だが、わたしたちの頭にはスコットランドの女王メアリーのこれといった定番的な肖像は浮かんではこない)

結局のところ、キャロラインは好き放題やって、その死まで自らの手で強引に呼び寄せてしまった。まさにやりたい放題だ。
ジムは、では、何をしていたのだろうか?
ただ、キャロラインから離れられずに、ひたすら心を揺らしながら、一喜一憂し、やがて諦め、ときには激情に駆られ、また、憂鬱に沈み、絶望し、無感動に陥りながらも、キャロラインのそばにいただけだった。
そして、キャロラインは、そんな彼を拒みもせず、かといって積極的に受け容れるでもなく、ふたりはとうとう(互いに見詰め合い、そして満たされるような、そんな)実のある関係を築きえぬまま、時を過ごしたのだった。
おそらく互いに見詰め合ってみたところで、そこにはお互いの空虚さばかりが目に映り、何も見えてはこなかったにちがいない。
だが、それでも関係は関係だ。




I'm gonna stop wastin' my time
Somebody else would have broken both of her arms


時間を無駄にするのはやめにしよう
誰かほかのやつなら、彼女の両腕をへし折ってすましていたかもしれないことだ



おそらく、キャロラインはエキセントリックでひときわ目立った(周囲では傑出した)存在だったと想像される。
それに対してジムは、ありきたりでどこにでもいるような男だったろう。
しかし、人物像として類型化しやすいのは(明らかに)キャロラインのほうだ。ジムは型にはまりにくい。現代的なアンチ・ヒーロー、非定型な否定形の主人公候補とでも言おうか・・・・。
そして、彼はそんなふたりの関係を、そして(たぶん)年月を「悲しい歌」だと歌う。





Sad song, Sad song,
Sad song, Sad song


悲しい歌だ、悲しい歌
悲しい歌だ、悲しい歌なのさ




歌の最後、つまり最後の曲のこの終わりのところで、こう歌っていたのは、もはや物語の語り手のジムではなく、物語の作者であり、真の語り手であるルー・リード自身だったろう。
物語の世界がさめていくように薄れ、遠のいていく中で、ルー・リード自身が(もはや演じることをやめて)歌っている、「悲しい歌だぜ」と・・・・・・。

ということで、いまごろは(おそらく)キャロラインの写真を貼ったアルバムを閉じているだろうジムを遠のく物語の世界に残して、
わたしたちもこのアルバム「ベルリン」を終えて、外に出てみることにしよう。
ベルリンには、あと2日ほど滞在してみようかと思っている。
(いまはもうない)あの壁のところで、
デイヴ(!)とジョニー(!)がわたしたちを待っているはずなのだwink


(・・・・ということで、明日、明後日の日付でご紹介しようとする曲が、すでにおわかりになった方もおいでかと思う。)


では、また、これからもどうぞよろしく。

(しかし、更新がまたしばらく途絶えそうな気配もあるので、そのあたり、どうか御容赦願いたい(マジ泣))



※この「ベルリン」のようなストーリーを持ったアルバムとして、これまでにここで紹介したものをあらためてリストアップしておきます。



☆デイヴィッド・ボウイ 「ジギー・スターダスト」(全11回)
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050709



☆フー 「トミー」 (全16回)
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20051221



ピンクフロイド 「ザ・ウォール」 (全19回 plus補遺1回)
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050813



キンクス 「ソープ・オペラ」 (全11回)
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20051116



☆アーロ・ガスリー 「アリスのレストラン」(全1回)
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050314



ジェスロ・タル 「ジェラルドの汚れなき世界」 (全1回)
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050903









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【A Year Ago−Go!】




(1年前のエントリーを Playback♪)



これも悲しい人生の歌だ・・・・・・・



・「フォーチュン」 (フィル・オクス)

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050524

*1:伝記的な事実にざっと目を通してみたが、強いて挙げれば男運のなさということは言えるかもしれない。もしくは遺した子供の堂々たる行く末もそこに含まれてくるのかもしれないが、そこまで考えることもないだろう。