Talkin' World War III Blues

Words & Music by Bob Dylan.
(1963年発表)




(原題直訳 「第三次世界大戦を語るブルース」)




From Bob Dylan album, "The Freewheelin' Bob Dylan".
名作アルバム度 ☆☆☆☆☆

「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」 (ボブ・ディラン


歌詞は、次のURLから
http://bobdylan.com/songs/ww3.html





名曲度 ☆




邦題 「第3次世界大戦を語るブルース」 (ボブ・ディラン








Some time ago a crazy dream came to me,
ちょっとまえのことだけど
気違いじみた夢を見たんだ
I dreamt I was walkin' into World War Three,
ぼくが歩いていると第三次世界大戦が勃発してしまうんだ
I went to the doctor the very next day
すぐその翌日、医者に行ったよ
To see what kinda words he could say.
どういうふうに言われるのか知りたくってね
He said it was a bad dream.
医者が言ったのは、それが悪夢だってことだった
I wouldn't worry 'bout it none, though,
でも、ぼくは全然気にならなかった
They were my own dreams and they're only in my head.
それはぼくが自分で見た夢だったわけだし
それに、ぼくの頭の中だけのことなのだから




I said, "Hold it, Doc, a World War passed through my brain."
ぼくは言ってみた
「先生、ちょっと待ってください
世界大戦はぼくの脳髄の中だけで起こったんですよね」
He said, "Nurse, get your pad, this boy's insane,"
医者が言ったよ
「看護婦、枕を出してくれ
この若いのは頭がいかれちまってるよ」
He grabbed my arm, I said "Ouch!"
医者に腕をつかまれて
ぼくは言ったよ、「いててェ!」
As I landed on the psychiatric couch,
精神科の長椅子によこたわらされて
He said, "Tell me about it."
医者に言われたね
「その話を聞かせてもらおうか」って




Well, the whole thing started at 3 o'clock fast,
えーとですね
そもそものはじまりは3時であっというまのことでした
It was all over by quarter past.
15分過ぎにはすっかり終わっていました
I was down in the sewer with some little lover
ぼくは、どっかの可愛い女の子と一緒に
下水道に倒れていました
When I peeked out from a manhole cover
マンホールから外を覗いてみたとき
Wondering who turned the lights on.
不思議に思ったんです
誰が明かりをつけたのだろうと




Well, I got up and walked around
まあ、それでぼくは
立ち上がってそこらを歩いてみたんです
And up and down the lonesome town.
そう、人けのない街をあちこちとね
I stood a-wondering which way to go,
立ち止まって、どっちに行ったらいいのか迷いながら
I lit a cigarette on a parking meter
ぼくはパーキングメーターのところで煙草に火をつけて
And walked on down the road.
それから、また、通りを歩いていきました
It was a normal day.
ごく普通の日でした
Well, I rung the fallout shelter bell
そうそう、ぼくは崩れ落ちたシェルターの呼び鈴を鳴らしてみたんです
And I leaned my head and I gave a yell,
それで、頭をのけぞらせて叫んでみました
"Give me a string bean, I'm a hungry man."
「おれにインゲン豆をくれよォー、腹がへってるんでェーす」と
A shotgun fired and away I ran.
ショットガンをブッ放されて
ぼくは走って逃げてきました
I don't blame them too much though,
でも、あの人たちのことはそんなに責めていません
I know I look funny.
こっちが怪しげに見えたのは自分でわかってますから




Down at the corner by a hot-dog stand
ホットドッグ・スタンドの脇の角のところで
I seen a man, I said, "Howdy friend,
ぼくはひとりの男を見かけて、言ったんです
「よお、どうよ、調子は?
I guess there's just us two."
「なんだか、おれたちふたりしかいないみたいに思えるんだけどさ」って
He screamed a bit and away he flew.
そいつはちょっと悲鳴を上げると逃げていきました
Thought I was a Communist.
ぼくのことを共産主義者だと思ったんです




Well, I spied a girl and before she could leave,
それから、ぼくはある女の子に目をつけて
逃げられないうちに言ってみました
"Let's go and play Adam and Eve."
「アダムとイヴごっこをしようぜ」って
I took her by the hand and my heart it was thumpin'
彼女を手をとって、引っ張っていったんです
そう、心臓がドキドキでしたよ
When she said, "Hey man, you crazy or sumpin',
彼女に言われたんです
「ちょっとォ、あんた、アタマ変なんじゃないの、それとも腐っちゃってるの?
You see what happened last time they started."
あのふたりが大昔、どうなったか知ってるでしょ」




Well, I seen a Cadillac window uptown
まあ、それから、ぼくはアップタウンで
窓だけになったキャデラックが目に入ったんです
And there was nobody aroun',
で、あたりに誰もいなかったんで
I got into the driver's seat
ぼくは運転席に乗り込んで
And I drove 42nd Street
それで42丁目を走らせました
In my Cadillac.
わが愛車キャデラックってわけですヨ
Good car to drive after a war.
戦争の後に乗るにはけっこうなクルマですネ




Well, I remember seein' some ad,
それから、まあ、ぼくが憶えているのは
何かの広告を見たことです
So I turned on my Conelrad.
それでぼくはカーネルラッド(防空電波管制無線)*1を入れてみました
But I didn't pay my Con Ed bill,
でも、ぼくはコンエド*2の料金が未納だったんです
So the radio didn't work so well.
だもんだから、うまく無線が通じませんでした*3
Turned on my player-
レコードプレーヤーをかけてみたら
It was Rock-A-Day, Johnny singin',
「ロッカ・デー、ジョニー・シンギン」が流れてきました
"Tell Your Ma, Tell Your Pa,
「♪おめいの母ちゃんに言ッときな
 ♪おめいの父ちゃんに言っときな
Our Loves Are Gonna Grow Ooh-wah, Ooh-wah."
「♪ふたりの恋は大きくなってくよーんてな、ウワォ、ウワォ」だとよ*4




I was feelin' kinda lonesome and blue,
ぼくは何だか淋しくて憂鬱な気持ちがしてたんです
I needed somebody to talk to.
誰か話し相手が必要でした
So I called up the operator of time
それで時報サービスに電話してみたんです
Just to hear a voice of some kind.
とにかく何でもいいから声が聞きたかったんです
"When you hear the beep
「発信音が聞こえましたら
It will be three o'clock,"
3時をお知らせいたします」
She said that for over an hour
彼女は1時間もそればっかり言ってました
And I hung it up.
それで、ぼくは切ってしまいました




Well, the doctor interrupted me just about then,
そうなんです、ちょうどそこまで話したところで
医者がぼくを遮って
Sayin, "Hey I've been havin' the same old dreams,
言ったんです
「おい、それと同じ夢をわたしもずっと見てきてるんだ
But mine was a little different you see.
「ただし、わたしのは、きみが見たのとはいささか違って
I dreamt that the only person left after the war was me.
「わたしの夢では
戦争後、生き残ってた唯一の人間がこのわたしなんだ
I didn't see you around."
「きみのことなど見かけなかったぞ」




Well, now time passed
ん、まあ、いまはもう時間もたって
And now it seems
それで、いまになってみると、どうも
Everybody's having them dreams.
みんな誰もが同じ夢を見てるようなんだ
Everybody sees themselves walkin' aroun
みんな、自分だけが歩きまわってるのを見て
With no one else.
他には誰ひとりいないんだ
Half of the people can be part right all of the time,
年がら年中、部分的にオカシクなってる人間が半数いて
Some of the people can be all right part of the time.
ときどきすっかりまともになるって人間が一部いる
But all the people can't be all right all the time
だけど、年がら年中、完全にまともだって人間は全然いないんだ
I think Abraham Lincoln said that.
たしかエイブラハム・リンカーンの言葉だったと思ったけど
"I'll let you be in my dreams if I can be in yours,"
「わたしがあなたがたの夢になれないのなら
わたしがあなたがたを夢見るとしよう」って
I said that.
あれがおれの言葉さ








Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞








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【A Year Ago−Go!】



(1年前のエントリーを Playback♪)


・「マダム・ジョージ」 (ヴァン・モリソン

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050304

*1:地上の電波を感知して着弾する誘導ミサイルを防御するためTVやラジオの放送を中止するなどの非常事態の防空措置で、その間、特定の周波数による告知無線放送などが用意されるなどの具体的なプランがあったようだ。いまもあるのか知りませんけど、うーん、臨戦態勢いつでもとれる準備ができてたアメリカなんですねえ、知らんかったワ。

*2:ニューヨークなどアメリカ東部をカバーする電力会社、Consolidated Edison Company の通称。

*3:コネルラドとコンエドの音韻的な類似(Conelrad、Con Ed)にかけた単なる駄洒落で、コンエド社の料金未納とコネルラッドの無線はもともとまったく関係がない。

*4:架空のカントリー・ソングのようですナ。