1921

Words & Music by Pete Townshend.
(1969年発表)





(原題直訳 「1921年」)






From The Who album, "Tommy".
名作アルバム度 ☆☆☆☆


「トミー」 (フー)





歌詞は、次のURLから
http://www.lyricsbeat.com/lyrics/29575/The_Who/1921.aspx




名曲度 ☆☆☆☆☆







邦題 「1921」*1






Lover:
愛人:


I've got a feeling twenty one is going to be a good year.
ぼくはね、この1921がいい年になるような気がするんだ
Especially if you and me see it in together.
ことにぼくらが、もし、ことし、一緒に過ごすことになるのならね





Father:
父親:


So you think 21 is going to be a good year.
なるほどな
おまえたちは、この1921年がいい年になると思ってるんだな
It could be for me and her,
このわたしと彼女にとっては
それはあるかもしれない
But you and her-no never!
だが、おまえと彼女にとっては
そんなことは絶対にありゃしないのさ!
I had no reason to be over optimistic,
わたしには
べつに過度に楽観的になる理由などはまるでないのだがね
But somehow when you smiled
しかし、どういうわけか、貴様が笑顔になると
I could brave bad weather
このわたしは
猛々しくも不快な心模様になってしまうのだよ




★♪☆♪★





Mother:
母親:


What about the boy?
この子をどうしましょう?
What about the boy?
坊やのことはどうするの?
What about the boy?
この子はどうしたらいいの?
He saw it all!
全部、見てたのよ、この子は!





Mother and Father:
母親と父親:(息子のトミーに向かって)


You didn't hear it
おまえは、いまのは聞かなかった
You didn't see it.
おまえはいまのは見なかったんだよ
You won't say nothing to no one ever in your life.
おまえは
この先、一生
誰にも、何にも言いいやしないんだぞ
You never heard it
おまえはけっしてあれを聞かなかったんだ
Oh how absurd it
おゝ、何と、理不尽なことなのだろう
All seems without any proof.
見たところ、すべてにつき、
証拠は何もないようだ
You didn't hear it
おまえは聞かなかったんだぞ
You didn't see it
おまえは見なかったんだ
You never heard it not a word of it.
おまえは、一言たりとも、けっして耳にはしなかっんだよ
You won't say nothing to no one
おまえは誰にも何にも言いいやしないんだぞ
Never tell a soul
心の中のことは絶対に話してはいけないぞ
What you know is the Truth.
おまえが知ってることは本当のことなのだ







Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞






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夫が生きて帰って来た・・・・・。
そして、幼いトミーの目のまえで、父親が母親の恋人を・・・・*2




こうしてトミーは目も耳も口も利けない三重苦の闇の中に嵌まり込み、深く閉じこもってしまうのだった。*3



You didn't hear it
You didn't see it.
You won't say nothing to no one ever in your life.

おまえは、聞かなかった
おまえは、見なかったんだ
おまえは、この先、誰にも、一生、何にも言いいやしないんだぞ




日本語の「見ざる、聞かざる、言わざる」に当たる英語の諺「See no evil, Hear no evil, Say no evil」があるが、彼は殺人という凄惨な「evil」(=悪)を目のまえで目撃し、さらに両親からの強い暗示によって、心を閉ざし、何も聞かず、何も喋らず、何も言わない魂の持ち主になってしまう。



しかし、この歌には(それだけではない)もうひとつの重要なセリフがあるのを聞き逃してはならない。




What you know is the Truth.

おまえが知ってることは本当のことなのだ




つまり、両親からのこのひとつの強度を帯びた言葉によって、トミーは(同時に)真実を知る者ともなっているのだ。
自分は聞かなかった、見なかった、一生、誰にも何も喋らない、
しかし、自分が知っていることは本当のことなのだ、という強い思いが彼の内奥に刻み込まれたと考えられる。

そして、これは(のちドラマの展開における)重要な伏線となるセリフ(歌詞)なのだ。







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【A Year Ago−Go!】

(1年前のエントリーを Playback♪)




・「ホリデー」 (キンクス


http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20041222

*1:ケン・ラッセルの映画版「トミー」では、設定が第2次大戦後ということになっているため、この曲も「1951年」となっているなど、オリジナルとは歌詞や楽曲構成もかなり違う。映画版を含め、その他のヴァージョンについては、全編の最後にあらためてコーナーを設けて補遺とするとしよう。

*2:ケン・ラッセル監督の映画版では、オリヴァー・リード演じる愛人が逆にロバート・パウエルが演じる帰って来た夫を殺してしまうというストーリーに改められていた。これは大きな改変であるはずだが、作品の性質上、ほとんど議論されることはないようだ。生まれてから会ったこともなかった実の父親よりも母の愛人の方が彼には親しみがあったかもしれないし、あるいは、また、母親をよその男に奪われるという危機感から無意識裡に父親による愛人殺しに加担していたかもしれないなど、「らしい」議論はいくらでもできるだろうが、「父親が殺人者」であるよりも、「父親を殺された」という設定のほうが類型的にはドラマにとっては利があるかもしれない。(また、妻の立場だって大いに違ってくるだろうと思うのだが・・・そこは「ロック・オペラ」、ロック・オペラには(いわゆる)脚本や台本というものがあるわけではない。あるのは楽曲と登場人物や設定などのコンセプトだけ、そして、それらがアルバム(もしくはそれに基づくライヴ・ステージ)のかたちをとり、あとは聴く者の(あくまでも)脳内オペラというかたちでの頭の中での展開に多くを依拠するばかりだ。)。映画は脚本もケン・ラッセル、わたしが軽蔑する映画監督のひとりでる。

*3:それはまた、この物語の主人公としての「トミー」の誕生の瞬間である