The Lion Sleeps Tonight (Wimoweh)

Words & Music by Solomon Linda, Hugo Peretti, Luigi Creatore, George David Weiss and Albert Stanton.
(1961年発表) *1









(原題直訳 「今夜、ライオンは眠っている(ウイモエ)」) *2










歌詞は、次のURLから、
http://www.mp3lyrics.org/t/the-tokens/the-lion-sleeps/









From The Tokens compilation album, "Wimoweh, The Best Of The Tokens".

推奨アルバム度 ☆☆



アルバム「ベスト・オブ・トーケンズ」(トーケンズ)より








名曲度 ☆☆☆









邦題「ライオンは寝ている」 (トーケンズ)











Wee dee dee dee, dee dee dee dee dee, dee wee dum um away.
♪ ウィー、ディディディー、オンマァマウェー
Wee dee dee dee, dee dee dee dee dee, dee wee dum um away.
♪ ウィー、ディディディー、オンマァマウェー
A-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh.
♪ ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、
A-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh.
♪ ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、
A-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh.
♪ ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、
A-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh.
♪ ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、




In the jungle, the mighty jungle,
ジャングルの中、恐ろしいジャングルの中
The lion sleeps tonight.
今宵、ライオンが眠っている
In the jungle, the quiet jungle,
ジャングルの中、静かなジャングルで
The lion sleeps tonight.
今宵、ライオンが眠っている




[Sung concurrently:]
(同時多重唱で)



Wee dee dee dee, dee dee dee dee dee, dee wee dum um away.
♪ ウィー、ディディディー、オンマァマウェー
Wee dee dee dee, dee dee dee dee dee, dee wee dum um away.
♪ ウィー、ディディディー、オンマァマウェー
A-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh.
♪ ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、
A-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh.
♪ ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、
A-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh.
♪ ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、
A-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh.
♪ ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、




Near the village, the peacefu village,
村の近くで、平和な村の近くで
The lion sleeps tonight.
今宵、ライオンが眠っている
Near the village, the quiet village,
村の近く、静かな村の近くで
The lion sleeps tonight.
今宵、ライオンが眠っている




(concurrently)
(同時多重唱で)
Wee dee dee dee, dee dee dee dee dee, dee wee dum um away.
♪ ウィー、ディディディー、オンマァマウェー
A-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh.
♪ ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、
Wee dee dee dee, dee dee dee dee dee, dee wee dum um away.
♪ ウィー、ディディディー、オンマァマウェー
A-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh.
♪ ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、
Wee dee dee dee, dee dee dee dee dee, dee wee dum um away.
♪ ウィー、ディディディー、オンマァマウェー
A-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh.
♪ ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、
Wee dee dee dee, dee dee dee dee dee, dee wee dum um away.
♪ ウィー、ディディディー、オンマァマウェー
A-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh, a-wimoweh.
♪ ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、ア・ウィモウェ、




Ah, ah, ah, ah.
♪ アーーハァアハー、アー
Ah, ah, ah, ah.
♪ アーーハァアハー、アー
Ah, ah, ah, ah.
♪ アーーハァアハー、アー
Ah, ah, ah, ah.
♪ アーーハァアハー、アー
Ah, ah, ah, ah.




Hush my darling don't fear my darling,
しぃッ、静かにね、わたしの愛しい人
恐がらないでね、わたしの愛しい人
The lion sleeps tonight.
ライオンが今夜も眠っているのよ
Hush my darling don't fear my darling,
静かによ、わたしの愛しい人
恐がっちゃダメよ、わたしの愛しい人
The lion sleeps tonight.
今夜、ライオンは眠っているのよ




Wee dee dee dee, dee dee dee dee dee, dee wee dum um away.
♪ ウィー、ディディディー、オンマァマウェー
Wee dee dee dee, dee dee dee dee dee, dee wee dum um away.
♪ ウィー、ディディディー、オンマァマウェー











Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞 111710












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わたしには、この歌は
ハァトな彼女の こわーい、つよーい、立派な お父さん(!)には、内緒ですよォーッwink
って歌にしか聞こえませんけどね。

(たしかにそれもポップ・ソングのよくある主題のひとつではありますね。)





さあ、つづけて、この歌の原曲であるウィーヴァーズの「ウイモエ」を聴いてみましょう♪

*1:ねえ、ワトソン、きみはこの歌を知ってるよね、少なくともぼくがそこの蓄音機で45回転のシングル盤をかけてやれば、きみも聴いたことがある歌だぐらいにはわかるだろ? 「いや、それ以上だ、おぼろげながらも一緒に歌えるだろう」。そうか、それはよかった。だったら話は速い。しかし、ワトソン、この歌の作者たちのクレジットを見てごらん、実に5人もの人間の名前が並んでいるよ。きみが知ってる、または聞いたことのある名前はまあここにはないだろう。「あゝ、ひとりも知らないねえ」。そうだろう、大西洋の向こうの一般大衆の聴く歌にはけっこう精通してるつもりのぼくにしても覚えのあるのはこの中の2人、3人ぐらいで、あとはどれも初めて目にする名前だよ。「妙な名前もあるなあ、ソロモン・リンダ? なんだこの名前は、リンドではなくリンダだが、リンダ・ソロモンじゃないんだなあ」。ソロモン・リンダさ、れっきとした男性の名前だよ。しかし、ワトソン、ぼくがいくら話が速いと言ったからって、きみはちょっと急ぎすぎだぜ、まあ、ぼくの行く道をきみも一緒について来てくれたまえ、これまでだってそうしてくれていたんだからな。いいかい、ぼくが目をつけたのはね、ワトソン、こんなシンプルな歌になぜ5人もの作者がいるのかってことなんだ。「バンドのメンバーじゃないのかい? 何ていったかな、このグループは・・・・?」。トーケンズだよ。ここに雑誌の切り抜きがあるからあとできみも目を通してみたらいい。この歌の全米ナンバー・ワン・ヒットだけでいまも名前が残っている、いわゆる「一発屋」one hit wanderer に数えられるグループのひとつだが、このブルックリン出身の5人組の白人ドゥワップ・グループは通算で9曲も全米のトップ100に入るヒットを出しているのだから、けっして一発屋ではないのだけどね、創立時のメンバーには、のちに「おゝ、キャロル」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060928 や「恋の片道切符」をヒットさせるニール・セダカもいたグループなんだ。この歌の当時のメンバーの5人の名前もそこに載ってるだろ、5人の作者のクレジットと一致する名前がひとつもないのは、もうぼくも確かめてある。ねえ、ワトソン、こんなことは言いたくないんだが、きみがぼくの仕事をきみなりのつまらないセンチメントをまじえながら、ぼくの嫌いな情緒なんてものをたっぷり盛り込んで書いたきみの御本、例の "名探偵シャーロック・ホームズ物" には、このぼくの名前はいっさいクレジットされてはいないよな、幸いにもね。「・・・・・」、いや、いや、べつに皮肉でも悪意でもない、きみはいつも無報酬でぼくの仕事にいろいろと協力してくれているんだし、身の危険だって十分にありえたケースも少なくはないからね。それがなくたって、きみが得る報酬はきわめて正当なものだとこのぼくだって認めている。そう、ぼくが言いたいのはね、つまり、こういうことだ。ここで注目すべきは、作者としてクレジットされることで、このレコードや楽曲が稼ぎ出すカネの多くがここに記載された名前の男たちによって分配されているということなんだ。それぞれの名前が自分にはそれだけの権利があると主張してるというわけだ。しかし、ワトソン、ロック・バンドのメンバーがスタジオで曲を作り上げていく場合と違って、この5人の男たちはまったくそれぞれ別のところで別の仕事をしてる人間たちなんだよ。いや、実は時代だって違うんだ。生きた大陸だって違うぐらいでね。しかも、この5人の中で実際にこの歌の作者としての仕事、つまり作詞作曲にかかわった人物はふたりしかいない。「じゃあ、あとの3人は何なんだ?」。まあ、待てよ、ワトソン、ぼくに言わせりゃ、時間にして3分足らずのこんなシンプルな短い曲に作者を名乗る人物が5人もいるなんてのは不気味なほどに多すぎるぐらいでね。「そうさ、きみの好きなオペラやクラシックを考えれば、たしかにきみの言うとおりだ」。つまり、ほかの3人は作詞者でも作曲者でもなく、ただ自分にはこの楽曲の印税の分配を受ける権利があるとして、ここに名前を連ねることになった人物だ。まあ、失踪だの誘拐だの人殺しだのといった物騒なことになってはいないのだから、ぼくらがこうしてこのクレジットについてのんびりとおしゃべりをしているのも、ただの酔狂でしかないんだがね。「プロデューサー・・・・・ではないのか?」。確かにプロデューサーが自分の職務権限で強引に実際の作者たちに割り込んで自分の名前もクレジットしてしまうことは多々あるし、それがなかば業界の慣習のようにもなっていた時期もあるし、いまでもそれがないとはいえない。それはまあ大目に見てやってもいいだろう。もちろんレコード制作の総責任者として自分がその楽曲を採用してやったというリベート的な側面もないわけじゃないのだが、作詞、作曲だけで歌がレコードになるわけじゃないからね、この手の音楽は、まず何と言ってもサウンドってものが命なのだし、そういう意味では作詞や作曲のソングライターたちは、映画で言えばシナリオ・ライターにすぎないと言ってもいい。映画の場合は、カメラマンでも脚本家でもなく、まず監督ってもんがその作品の「作者」としされるわけだからね。しかし、プロデューサーはプロデューサー印税とかそういう名目で契約をすれば著作者印税とはべつのかたちで分け前は手に入る。「プロデューサーでもバンドのメンバーでもないんなら、あとのその3人は何者なんだ? ぼくは早くそれを知りたいね。なら、話は早いと言ったのはきみなんだぜ、ホームズ」。ハッハッハッ、きみは相変わらずだね、いいだろう、ワトソン、ただし、ぼくはまだ「プロデューサーだろ?」と言ったきみの言葉を否定も肯定もしていないことを忘れんでくれよ。いいかい、ぼくがここで注目してるのは、この作詞家でも作曲家でもない残りの3人が何者なのかということよりも、この歌が、このクレジットの示すところから、実はべつの歌だっていうことが見えてくるその事実なんだ。「えッ、何を言い出すんだ、きみは? この歌がこの歌じゃないって言うのか? そりゃ、いったいどういうことなんだ? ぼくにはさっぱりわからんよ」。フッフッフッ、ワトソン、こんな歌は実はなかったんだよ。この「ライオンは寝ている」なんて題の歌は実はなかったんだ。だからこそ、この歌の作者たちがいる。それも5人もだ。わかるかい、ワトソン? これはあたりまえの話だろ、なかった歌だからこそ、それを作った作者がいる。この歌のタイトル「ライオンは寝ている」がそれだ。「なあ、ホームズ、きみはときどき、このぼくにはさっぱりわからないことを言い出す妙な癖があるようだな。ちゃんとぼくにもわかるように話してくれたまえよ。それが説明というものだ」。いや、ワトソン、きみは急ぎすぎだよ、わからないことの中に分け入っていくことが大切なんだよ。真暗闇の中だって、そこに入って行けば次第にその闇の中でもいろいろな闇があると見分けがついてくるというものだ。いいかね、ワトソン、ぼくが言ってることをようく聞いてくれよ。この「ライオンは寝ている」という歌なんて実はなかった。なかったからこそ、それを作った作者がいる。そして、この歌には少なくとも作者を名乗っている人物が5人もいる。しかし、そのうちの3人は作詞者でも作曲者でもない。この3人が何者なのか、それを先に知りたいというのなら、ワトソン、いいだろう、ぼくが教えてやろう。3人のうちのふたりはきみの言うとおりプロデューサーだ、そうしておこう。となると、残りはひとりとなるだろうが、しかし、話はそう単純じゃない、これは算数の計算問題じゃないんだよ、ワトソン。だから、ぼくはきみにはまわりくどく聞こえるかもしれないが、ぼくなりの考えに基づく説明を試みようとしていたのだったんだがねえ。まあ、いいだろう、残ったひとり、それは、つまり、なかったこの歌、そこでそのとき作られたこの歌の作者ではなく、もとからあった歌の作者、この場合のこの彼はソングライターとしての職能を持たない人間なのだから、もとからあったその歌の作者の権利を代行する者ということになる。見てごらん、ワトソン、この歌には(カッコに入った)副題があるだろ「ウィモエ(=Wimoweh)」というのがそれだ。「あゝ、この「ライオンは寝ている」の中でも掛け声みたいにしてずっとバックで歌われてるな、♪ア、ウィモエ、ア、ウィモエってな」。上手いじゃないか、ワトソン、ずっとつづけててくれたら、ぼくはそれをバックにこの歌のケースを説明してやることもできるんだがね(笑)。「かまわんよ。やってみよう ♪ア、ウィモエ、ア、ウィモエ、♪ トゥーーー、ラルラ、オンマンマァイェー・・・・(以下、ワトソンのバック・コーラスがつづいていく笑)」。つまり、このサブタイトルになっている「ウィモエ」というのが、そのもとからあった歌というわけなんだ。ワトソン、もう、いいよ。そのぐらいで結構だ、やめたまえ。うん、もとからあったその「ウィモエ」というのをちょっと聴いてみようか。現場に行かずして事件は語れないというのがぼくの推理の鉄則だからね。きみだって、ぼくが現場でどんなに嬉々として動き回っているのかを本に書いてくれているだろ。この「ウィモエ」って曲を聴けば、この歌の謎のかなりの部分が明らかになるよ。歌の現場は歌の中にあるわけだからね。最初はウィーヴァーズの1952年の78回転のSP盤だ。これはウィーヴァーズのコーラスとバックのゴードン・ジェンキンズ・オーケストラの弦とホーンを前面に出した掛け合いになっている。きみもすぐにわかったろうが、歌詞と言えるのはタイトルの「ウィモエ」ぐらいであとはすべて声だけだ。つまり、ここにはライオンもジャングルも出て来ない、少なくとも英語ではね。じゃあ、今度かけるこれは、この「ウイモエ」って歌を有名にした同じウィーヴァーズのライブ・アルバムからの「ウィモエ」だ。彼らはモダンフォークの始祖というべき古いグループで最年少のメンバーとしてあのピート・シーガーが歌とバンジョーで参加していたんだが、その彼ら)の名盤の誉れ高いカーネギー・ホールでのライブ・アルバム「The Weavers At Carnegie Hall」でも同じだ。スタジオ録音のSP盤と違ってストリングスもブラスも抜きで、そのパートを含めて全部自分たちだけで歌っている。そこでも言葉らしきものは「ウィモエ」と言ってるだけだ。「じゃあ、その「ウィモエ」というのは・・・・・」。そうさ、ワトソン、当然の疑問だね、この「ウィモエ」が何語でそれがどういう意味のなのか・・・。「アフリカの言葉だろう。スワヒリ語とかズールーとか」。まあ、そう思うのも当然だろう、ワトソンくん、けっして間違いだとは言わないよ。しかし、驚くなよ、ワトソン、これは英語なんだ、それもあの響きと表現にことごとく品性を欠いた恐るべきアメリカのあの英語なんだ。「ほう、アパッチだかコマンチだかの言葉を語源としたものかね、それにしても「wimoweh」なんてこの歌以外じゃ聞いたことのない言葉だね。どういう意味なんだい?」。それが意味はないんだよ。ありはしたんだろうが、この言葉をつくった人間たちがそれを知らなかったようでね。彼らはただ自分たちに聞こえたがままに「ウィモエ」と口に出して言ってみた。それだけのことなんだこの「ウィモエ」という歌詞も言葉も。そう、意味なんかなかったのさ、アメリカ人によってアメリカで初めて発せっられたそのときからね。「うーむ・・・・・・」。いいかい、ワトソン、暗闇に長くいるとその暗闇の闇そのものが次第に見分けがつくようになってくると言ったが、この歌にはもうひとつまたべつの歌がここにあるんだよ。ちょっとそのターンテーブルから いまかけたそのウィバーズのレコード盤をとってくれ、ワトソン、そのラベルに書いてあるこの「ウィモエ」の作者の名前を見てみたまえ。そこにもやっぱり5人の名前が書いてあるだろ。「あゝ、書いてあるぞ、たしかに名前が5つ並んでいる」。ふふ、ワトソン、きみがきょうのこの話を本に書くときは、是非ともこれを「五つの署名」というタイトルにするといいだろうねwink。「アハハ、そりゃいいねえ、しかし、ホームズ、このウィーバーズの歌の作者の名前、たしかに5人分の名前が記されてるが、さっきの「ライオンは寝ている」の5人とはまるで違うように思うがね、どうなんだね、ホームズ? ちょっとそっちのトーケンズのシングル盤を見せてくれ。うーん、やっぱり全然違う、ひとつも同じ名前が・・・・いや、待てよ、ひとつだけ同じ名前があるぞ、リンダだ、リンダ、S・リンダ! これがどっちにもあるぞ」。さすがワトソンくん、よく気がついてくれたね。そのS・リンダことソロモン・リンダ、それこそが、このふたつの歌「ライオンは寝ている」と「ウィモエ」にとってのもっとも重要な名前なんだ。きみももう予測してると思うが、いわばこの歌の真の作者というべき名前だよ。つまり、ウィーヴァーズの連中、そこに記されている残りの4つの名前、すなわちリー・ヘイズ、ピート・シーガー、フレッド・へラーマン、そしてロニー・ギルバード、彼と彼女らそのウィーヴァーズのメンバーがこのソロモン・リンダの歌を聴いて、それをもとにして、この「ウィモエ」をつくったんだ。つまり、もうひとつさらに、もとからあった歌があったってことなんだよ、ワトソン。しかも、その歌はアフリカにあったんだ。きみが「ウィモエ」って言葉をアフリカの言葉だと感じたのは実に正しい感性の現われと言えるだろう。「まあ、「ライオンは寝ている」を聴けばアフリカのジャングルが自然に思い浮かぶからね、当然、それはアフリカ語だろうと・・・・・」。そして、ウィーバーズの連中は、自分たちの耳には「ウィモエ」と聞こえたそのアフリカの歌を聴いていた。それが実は、そのソロモン・リンダという現地の黒人アーチストがつくった歌で彼が自分のグループ、ジ・イヴニング・バーズで南アフリカのギャラ・レーベルから発表した歌なんだ。この歌は、もちろん、ぼくたちはまったくあずかり知らぬところだが、わが大英帝国ボーア戦争に勝利して独占的に獲得した当時の自治領の南アフリカ連邦とその周辺地域でとんでもない大ヒットとなった歌でね。「Mbube(=ンムブベ)」ってズールーの言葉がタイトルなんだ。「ウィモエ」同様、その歌の中に繰り返し出て来る「uyimbube(ウィンムブベ)」って言葉がシーガーたちアメリカ英語の耳に「ウィモォウェ(=wimoweh)」と聞こえたその言葉なんだ。「ふーむ。で、そのズールー語にはちゃんとした意味はあるのか?」。うん、これはズールー語の「ウィ・ンムブベ」ってっことで、「ウィ」と「ンムブベ」のニ語からなる立派なセンテンスなんだよ。後者はタイトルの「ンムベベ」だ。ぼくらの言葉で言うとこの「ウィムブベ」というのは「You are the lion.」(あなたはライオンです)ということになるんだよ。ワトソン先生、ぼくらは労せずしてここにライオンを一頭、捕獲したってわけだ。確かに闇の中でこのライオンくんは眠っていたのかもしれないね。ひとつ、ここでこれまでの話のタイムラインを整理しておこうか。このソロモン・リンダ作のイブニング・バーズの「ンムベベ」つまり英語で言う「ライオン」というタイトルの歌が南アフリカでヒットしたのが1939年だ。彼らのこのレコードをリリースしたヨハネスバーグのギャロ・レコーズってレーベルもなかなか重要なのだが、きょうはそれはいいとしておこう。そして、この「ンムベベ」が「ウイモエ」となってウィーヴァーズのSP盤としてアメリカで発表されたのが1952年、全米ヒット・チャートの6位にまでなったこのトラックはゴードン・ジェンキンズ・オーケストラの伴奏もあって、かなり上手に彼らはイブニング・バーズのオリジナルをしっかりとアメリカ的なイディオムの中でエキゾチックに再現して聴かせているといえるだろうね。当時はヒットすると、べつのアーチストもそのおこぼれにあずかろうと競作になるのはあたりまえのことで、この「ウィモエ」にも楽団のインストゥルメンタルを含めて複数のアーチストのレコーディングがあるはずだ。ウィーヴァーズも、彼らの大ベストセラーとなったライブ・アルバム「The Weavers At Carnegie Hall」でもこの曲を収録していて、それもまた人気になった。それが1957年だ(録音は1955年のクリスマス・イヴのコンサート。全米を席巻した「赤狩り」のためブラックリストに載せられていた彼らのカムバック・コンサートの録音だった)。このときはオーケストラ抜きのギターとバンジョーとベースとコーラスだけのトラックなのだが、ちょうどこの1957年は(イギリスでは「スキッフル」と呼ばれたアメリカン・フォークソングのブームにもなっていた時期で)アメリカでもいわゆるフーテナニー・ブームと言われるモダン・フォーク・ソングの最初のムーブメントがはじまろうとしていた時期でもあって、ウィーヴァーズのそのライブ・ヴァージョンの「ウィモエ」のアレンジは、それがひとつのフォーマットとなって、さかんに各地の有名無名のプロやアマチュアのフォーク・グループによってコピーされて歌われた。キングストン・トリオやニュー・クリスティ・ミンストレルズなんかも時期は違うがレコーディングをしているはずだ。確かにコーラスにはもってこいの歌だということもあるし、また、シーガーがいささか怪しげな文化人類学的なぺダンチックな注釈などをステージのMCで口にしながら歌っていたこともあって、キャンパスを主な出演場所にしていた大学生相手のフォーク・グループとしては、アフリカ民謡をレパートリーにするというのはそれなりに何か大いにその自意識を満足させるものでもあったろう。「しかし、1939年の南アフリカ第二次世界大戦を間にはさんだ1950年代のアメリカとの接点はどうなんだい?」。それはこのこまさ先生のここにも何度か登場してるアラン・ロマックスというアメリカのフォークソングの研究者で採集家の偉〜い学者先生が合衆国の国会図書館の仕事かなんかで1949年だったかにアメリカにそのリンダさんを連れて来てレコーディングでもしたんだったと思ったね。そのへんのことは調べればいつでもきちんと調べられるからね。きみが本にするときにはちゃんとデータを渡してやるさ。そして、その場に居合わせたのか、あるいは、あとでロマックス先生からリンダの歌を聞かされたかしたピート・シーガーが、これをウィーヴァーズのレパートリーに採り入れた、と。接点ということなら、まあ、だいたいそんなところだろう。いずれにせよ、この歌は「ウイモエ」というタイトルで北米大陸に大いに広まったのだが、シーガーの衒学的なMCやラジオや雑誌でのコメントを除けば、歌の中にはまだライオンもジャングルも出て来ていない。しかし、聴衆はどこでも確かにこの歌が "アフリカ" や "ライオン" や "ジャングル" に関係のある歌らしいということは知識として知っていた。こうなれば、ひとつそれで大穴を当ててやろうという山師が出て来るのは当時のアメリカの大衆音楽業界ならまあ時間の問題だ。その山師、つまりプロデューサーが作詞家を連れてやって来て、この歌をすっかり英語のポップ・ソングに仕立て上げた。そこに堂々と英語のライオンを登場させ、そしてハリウッド映画よろしくジャングルの壮大なセットまで持ち込んだんだ。大衆がすでに知っていることをきちんと現実としてスペクタクルにして聞かせてやったってことさ。それが1961年のトーケンズの大ヒットになったというわけだ。「するとトーケンズのほうの作者の5つの名前も自ずと解けてくるというわけだな」。あゝ、ワトソン、そのトーケンズの作者のクレジットに見るからにイタリア系の名前がふたつあるだろ、きみなりの発音でかまわんから読んでみてくれ。「うむ、ヒューゴー・ペレッティ、それからルイジ・クレアトーレと読むのか?」。ルイージ・クリアトーネのほうがいいだろうね。そのヒューゴールイージというのがRCAのやり手のプロデューサー・コンビにしてソング・ライター・チームとしてペリー・コモやサム・クックを手がけていたふたりだよ。そして、そこにあるジョージ・デイヴィッド・ワイスというのが彼らに連れて来られた作詞家だ。エルヴィスの名曲「好きにならずにいられない(Can't Help Falling In Love)」を書いたのはこの3人だよ。「おゝ、知ってるよ。♪ 賢者は言った(ルビ=ワイズ・マン・セズ)〜、♪ ただ愚者のみが突っ走る(ルビ=オンリー・フールズ・ラッシュ・イン)〜 と・・・」。きみはいい声の持ち主だよ、ワトソン、だてにでかい腹はしてないね。その5つの署名のうちのこの3人がトーケンズの「ライオンは寝ている」の作者たちだ。おそらく、できることなら、3人だけで印税の山分けをしたかったことだろうが、それにしてはこの歌はあまりによくすでに人に知られすぎていた。もちろん、だからこそ大ヒットしたわけでもあるのだが、しかし、いくらタイトルを「The Lion Sleeps Tonight」(「ライオンは寝ている」)にしたところで権利はすでにウィーヴァーズのものとして登記されている。そして、そのウィーヴァーズも自分たちの「ウイモエ」の原作者としてソロモン・リンダの名前をきちんと挙げているわけだ。ワトソン、そこにもうひとつ名前があるだろ? 「あゝ、あるよ、アルバート・スタントンだな」。そう、そのスタントン氏こそがそのウィーヴァーズの代理人でね、ひとりでグループの4人の名前を代表してる。つまり、こちらの「五つの署名」には実は合計すると本来9人の名前があり、そういうかたちでこのふたつの「五つの署名」が重なり合い、また通じ合っているのが明らかになってくるというわけだ。そして、ウィーヴァーズの代理人ということで洗っていけば、このスタントン氏が、おそらくはピート・シーガー音楽出版権を保有しているアル・ブラックバーンなる人物の変名であることも見えてくるだろう。いつもなら、ここでわれらがレストレード警部がその警察権力でいろいろカネの動きを調べ上げて裏づけをとって来てくれるのだろうがね。今回のこの「五つの署名」では彼の捜査権も及ばない海の向こうの出来事だからね。それはまあ、いたしかたあるまい。しかし、ワトソン、ぼくにはあの南アフリカの恥ずべきアパルトヘイト体制の下、この「ライオンは寝ている」の大ヒットの翌年1962年に死んだこの歌の真の作者にして唯一の作者であるリンダ氏がきちんとこの「ライオンは寝ている」や「ウイモエ」の正当なる印税の分配分を手にしていたとはとても思えなくてね。リンダ氏は、おそらくアメリカに自分の代理人(=エージェント)など持ってはいなかっただろう。だとしたら、まず彼や彼の遺族のもとにカネがまわることなどありえなかっただろうね。いまも昔もそういうところだからね、あのビジネスは。まったくどっちが野蛮なジャングルなのかわかったもんじゃないね、ワトソン。ピート・シーガー先生のご高説によると、彼らの「ウイモエ」は密林に眠る王たるライオンがいつの日かそういう白人どもの不正に対して怒りの声を上げることになるという御歌なのだそうだが、まあ、そのあたりはいささか眉唾ものだとしても、いまのところそうしたライオンのことも猛獣使いによると思しき音楽業界の不審な出来事も報告されてはいないようだからね。今宵もまたライオンはよこになったまま(ルビ=ライング・オン)なのだろう。Yes, he's been "lying on" tonight。ってな、ほれッ、ワトソン先生。「よしきた、♪ ア=ウィモエ、ア=ウィモエ、ア=ウィモエ、ア=ウィモエ・・・・・」

*2:副題の「ウィモエ」はズールー語「ンムベネ(Mbune)」の英語的な音写。詳しくは上記の註1を参照のこと。