Empty Spaces

Words & Music by Roger Waters.
(1979年発表)



(原題直訳 「からっぽな空間」)




From The Pink Floyd album, "The Wall".
名作アルバム度 ☆☆☆

ザ・ウォール」 (ピンク・フロイド


歌詞は、次のURLから
http://www.pink-floyd-lyrics.com/html/empty-spaces-wall-lyrics.html


邦題 「エンプティ・スペーシズ」 (ピンク・フロイド








(逆回転で録音されたもごもごした男の喋り声)

(spoken)
(セリフ)


"'Knip Dlo' ot rewsna ruoy dnes esaelp
Egassem terces eht derevocsid tsuj evah uoy, snoitalutargnoc"
「いさだくっ送でま「クンピのしかつな」を事返おのたなあ、ぞうど。
たしまし出い見をジーセッメの密秘くしさまはたなあ、うとでめお」

".....K.U. droflahc, mraf ynnuf eht fo erac"
「るあにドーォフルャチの国王合連、よろけつ気に場農な妙」

".....Enohp eht no s'Enilorac ,Regor "
「よだ話電らかンイラロャキ、ーャジロ」





What shall we use
何を使えばいいのだろう
To fill the empty spaces
このからっぽな空間を埋めるのには
Where we used to talk?
ぼくらがいつも話していたこの場所を
How shall I fill
どうやってぼくはふさいでいったらいいのだろう
The final places?
この目指していた場所を
How should I complete the wall?
ぼくは
どういうふうにこの壁を作り上げたらいいのだろう?





(そのまま、まるでひとつの曲のように次の歌へ入っていく。 *1






Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞





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この曲と次の曲「Young Lust」は実質的にひとつの曲のようにすんなりとつながったたいへんよくできたひとつのロック・ナンバーに仕上がっている。そういうふうに(無理なく)聴くことができる。

実際,このアルバム全体が「ザ・ウォール」というひとつづきの「歌」であり、曲のひとつひとつは(このアルバムにあるとおり?)「壁=ザ・ウォールを作る煉瓦のひとつ」にすぎないのだから(笑い)、そのへんの話をしてもたいした意味はないのだろう、事実、次の次の曲「One Of My Turns」では(どう聴いてもべつの曲といってもいい)サウンドも唱法もまったく異なるふたつの曲がひとつの曲として扱われていたりする。

それでいて、この「Empty Spaces」という短い曲はふたつの異なる空間にわけることもできるとてもよくできた曲だ。
ここにはまったく違うふたつの光景が並び置かれている。ひとつは・・・・、




What shall we use?
To fill the empty spaces
Where we used to talk?


何を使えばいいのだろう
からっぽな空間を埋めるのには
ぼくらはいつもどこで話していたのだったっけ?



と上掲の訳とはいささか趣を変えて聴いてみるのなら、この歌詞から想像されるのは、すぐまえの曲「Goodbye Blue Sky」で予感された空襲によって一夜にして焼け野原となって、失われてしまった主人公たちの見慣れた光景だ。歌への導入のサウンド・コラージュ風の演奏がそうした聴き方を導いてくれる。おそらく住み慣れた家も瓦礫の山となってしまったのだろう。その「からっぽな空間」が歌われている。母子が会話していたリビングルームもどこだったのかすっかりわからなくなってしまっている。そんな「からっぽな空間」empty space 。


そして、それにつづく次のくだり・・・・、




How shall I fill
The final places?
How should I complete the wall?

どうやってぼくはふさいでいったらいいのだろう
この目指していた場所を
ぼくはどういうふうにこの壁を完成させたらいいのだろうか?




これは、それから何年もたって(おそらく、それなりに成功を収めたのだろう、その)彼の新たな空虚な内面(いや、この空虚さは時を超えて通底するように彼の心の闇の中でずっとそこにいすわりつづいていたのだろう)(その意味での)「からっぽな空間」(それは彼の崩壊した結婚生活であるのだろう)が歌われ、そのまま次の曲(おそらくロック・スターとして急激な成功にどうしたらよいのかとまどい、すっかり平静を失っている主人公の思い)がこんなふうに歌われる。

*1:映画版のサウンドトラックでは、この曲は「What Shall We Do Now」というタイトルでもっと長い曲になっており、次の曲「Young Lust」へのつながりも内容的によりわかりやすく明確なものとなっている。