My Old School

Words & Music by Walter Becker and Donald Fagen.
(1973年発表)





(原題直訳 「おれの昔の学校」)






歌詞は、次のURLから、
http://steelydan.com/lyrcountdown.html#track6





From Steely Dan album, "Countdown To Ecstasy".


名作アルバム度 ☆☆☆☆☆



「エクスタシー」(スティーリー・ダン






名曲度 ☆☆☆






邦題 「マイ・オールド・スクール」 (スティーリー・ダン








I remember the thirty-five sweet goodbyes
おれは35人との心優しいさようならを思い出す
When you put me on the Wolverine up to Annandale*1
きみたちに送られてぼくがアナンデールに向かう「クズリ」に乗車したとき*2
It was still September
あれはまだ9月中だった
When your daddy was quite surprised
あのときのきみのパパときたら、ひどい仰天ぶりだった
To find you with the working girls In the county jail
なにしろ、きみが郡の監獄に
若い労働者の女たちと一緒にいたりするのを見せられたわけだからな
I was smoking with the boys upstairs
おれは上の階の連中とみんなで喫ってる最中だったんだ
When I heard about the whole affair
あのとき、あの騒ぎが何だったのか、おれにそれがわかった、あのときはな
I said oh no
おゝ、マズいぜ、とおれは言ったよ
William and Mary won't do
ウィリアムやメアリーはそんなことはしないはずだぜ*3




Well I did not think the girl could be so cruel
そうなんだ、おれはあのコが そんな冷酷になれるヤツとは思ってなかったんだ
And I'm never going back to my old school
そう、おれは、あの 昔のおれの学校になんか全然、戻るつもりはないよ




Oleanders growing outside her door
彼女のところの玄関の外で 西洋夾竹桃の花が咲いている
Soon they're gonna be in bloom up in Annandale
アナンデールの方でも そろそろ蕾になる頃だな
I can't stand her
あの女には、おれは我慢ならなくてな
Doing what she did before
昔、やってたことをまたやってるんだ
Living like a gypsy queen In a fairy tale
おとぎ話に出て来るジプシーの女親分みたいな暮らしなのさ
Well I hear the whistle but I can't go
おや、おや、笛の音が聞こえてるけど、これじゃ、おれは行けないな
I'm gonna take her down to Mexico
あの女をメキシコまで連れてってやろうとしてるんだが
She said oh no
彼女が言やがってな、あーん、イヤよぉ
Guadalajara won't do
グァダラハラなんか、つまんないわよ、ってな*4



Well I did not think the girl could be so cruel
まあな、おれはあのコがあんな冷酷になれるヤツとは思ってなかったもんでね
And I'm never going back to my old school
だから、おれは、全然、あの昔のおれの学校には戻るつもりはないんだよ




California tumbles into the sea
カリフォルニアが海へと崩れ落ちていく
That'll be the day I go back to Annandale
その日にこそ、おれはアナンデールに帰って行くだろう
Tried to warn you about Geno and Daddy G*5
ジーノのやつと某G親爺については警告しようとしてたんだ
But I can't seem to get to you through the U.S. mail
だけど、どうも合衆国郵便じゃそっちまでは届かなかったみたいだな
Well I hear the whistle but I can't go
さあ、笛の音が聞こえているけど、これじゃ出発できないなあ
I'm gonna take her down to Mexico
おれはあの女をメキシコまで連れて行くとこなんだが
She said oh no
彼女が言うんだ、あゝ、ヤだわ
Guadalajara won't do
グァダラハラなんて、つまんないわよ




Well I did not think the girl could be so cruel
まあな、おれはあのコがあんな冷酷になれるヤツだとは思ってなかったんだ
And I'm never going back to my old school
そう、おれは、あの母校になんか全然、戻るつもりはないのさ








Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞 041009








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最近は、日本の大学生も各地で大麻で検挙されているようだが、
この歌にもそんな場面が回想されている。
この歌の主人公は、警察当局の大学の構内だか寄宿舎だか学生寮だかの急襲を受けたとき、
それに気づかずみんなと大麻を喫っていてその現場に踏み込まれてしまったのだろう。




I was smoking with the boys upstairs
When I heard about the whole affair



おれは上の階のみんなと喫ってる最中だったのさ
何の騒ぎかおれが気づいたときにはな




そして郡の拘置所に面会に来た彼女の親父さんを慌てさせ、(退学にでもなったのか)歌の冒頭の駅での別れのシーンとなったのだろう(・・・いや、行き先が違うか、マア、いいか。それとも入学のために希望に燃えて故郷を後にしたときの思い出か・・・・?)。
いずれにせよ、学内の自治を放棄して、大学構内に警官隊を導入し、主人公を退学処分にした(?)母校への思いが、この歌のリフレイン(=コーラス部分)に重なっているのだろう。




Well I did not think the girl could be so cruel
And I'm never going back to my old school



まあな、おれはあのコがそんな冷酷になれるヤツとは思っていなかったからね
だから、おれは、あの母校になんか、全然、戻るつもりはないのさ*6




ということで、その後、この歌の主人公は(学校を離れた遠いところで)なかなかしょうもない(また、それゆえにおそらく魅力的な)女とカリフォルニアで自堕落な生活を送るようになり、いま、またメキシコのグァダラハラに向けて旅立とうとしている・・・・・。




California tumbles into the sea
That'll be the day I go back to Annandale



カリフォルニアが海へと崩れ落ちていく
その日にこそ、おれはアナンデールに帰って行くだろう




地震カリフォルニア半島が海に没することでもなければ、おそらく彼はそこでの暮らしから抜け出す契機を持てそうにないほどに(母校の街を遠く離れた)そこでの(得体の知れない)暮らしにどっぷりと浸かっているようだ。


・・・・・というのが、この歌を聴いてその概ねを想像するようにして(わたしが勝手に)推察してみた歌の主人公の暮らしであるわけだが、はたして、(この歌の作者である)実際のドナルド・フェイゲンウォルター・ベッカーの人生にこの歌と重なるような出来事なりワン・シーンがあったのかどうかについては、わたしは知らないし、また興味もない。*7 むしろ、この歌を聴く側の方にこそ間違いなくそういうことがあった者が多くいるのだろうことは、この歌の人気からもうかがえる。







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【Years Ago−Go!】





(1年前のエントリーを Playback♪)




・「アメージング・グレース」 (ジュディ・コリンズ)

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060217








(2年前のエントリーも Playback♪)




・「うつろな愛」 (カーリー・サイモン

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050217

*1:アナンデールはニューヨーク州にあるアナンデール・オン・ハドソン。スティーリーダンのドナルド・フェイゲンウォルター・ベッカーの母校であるバード・カレッジがある小さな街。

*2:ここで「クズリ」(クズリ号?)と訳した「wolverine」(=クズリ)とはイタチ科のからだの大きな肉食獣でスカンク・ベアなどの異名もある獣だが、それはまたミシガン州のニックネームとされる動物でもあり、シカゴとポンティアックの間を走る列車の通称(あるいは路線のかも?)としても親しまれているそうだ。そのあたりがスティーリンダンらしい言語遊戯なのかもしれないが、ただし、このミシガン州の鉄道は当然のことながらアナンデールを通るわけではない。あと、また、この「the Wolverine」はオオカミの複数形の「wolves」を連想させもし、また有名な長距離バス会社の名称でもある「Greyhound」(グレーハウンド犬)とのイメージの類似へとヒトを導くかもしれない。

*3:ここは「良家の子女にはあるまじきこと」とでも聞いておくとしましょうか・・・・。 実際、ヴァージニア州立大学の名門校に、College of Willian and Mary という(ジェファーソン、モンロー、タイラーといった3人のアメリカ大統領を輩出している)大学がある。

*4:グァダラハラはメキシコ中西部の大きな都市

*5:ここに登場するふたつの匿名については、フェイゲンとベッカーが大学生だった1969年当時、ニューヨーク州の麻薬取締りに関する一連の捜査で名を挙げていた若い野心家の地方検事、G・ゴードン・リディー(=G. Gordon Liddy)のことだとする説もある。ご苦労なことですw。

*6:もちろん、これを素直に(というか逆に(「girl」ではなく)「school=学校」の側をひとつの喩えられたものとして「(むかし、オレにいろいろと教えてくれた)おれの古いオンナのところになんか戻る気はねえよ」と聴くこともできるだろう。もちろん、正解などないのだから、そう聴くのもまた楽しいことである。あらゆる方向へと放射状に伸びていく歌というものの豊かさについても、これまでに何度も折りにふれて述べてきたが、このラインもまた(誰もが実人生で口づさめる)そんな心に残る強いフレーズだ。 ホラ、歌ってみなはれ、「♪ And I'm never going back to my old school 〜」 

*7:と言い切りたかったのだが、一応、調べてみたところw、1969年にニューヨーク州アナンデールのバード・カレッジで学生50人からが検挙される大麻事件があり、当時在学中だったドナルド・フェイゲンウォルター・ベッカーもそのガールフレンドともども当局に検挙され、拘留されている。事件は結局、不起訴処分となったものの、フェイゲンはその事件を大学と当局が共謀したものだとして、大学側にひどく憤慨して、自分から大学を中退してしまったと伝えられている・・・。(なるほど、だから何度も「戻るつもりはないんだよ」と繰り返されているわけだ。