The Contenders

Words & Music by Ray Davies.
(1970年発表)







(原題直訳 「競う者たち」) 







歌詞は、次のURLから、
http://www.allthelyrics.com/lyrics/kinks/the_contenders-lyrics-185092.html







From The Kinks album,
"Lola Versus Powerman And The Moneygoround, Part One".

名作アルバム度 ☆☆☆☆



アルバム「ローラ対パワーマン、マネーゴーラウンド組 第1回戦」(キンクス)より








名曲度 ☆☆






邦題「競争者」 (キンクス







Hush little mammy don't you cry
静かにね、かわいい母ちゃん、泣かないでくれよ
I've got to see what it's like on the world outside
ぼくは外の世界ってもんがどんなものか見なくちゃならない
Got to get out of this life somehow
この暮らしの外へ何とかして出ていかなくては
Got to be free, we got to be free now
自由にならなきゃ、自由にならなきゃ、いま




I don't want to be a constructor of highways
ぼくは道路工夫になんかなりたくない
A sweeper of sidewalks,
舗道の清掃人とかにもなりたくない
I've got to do it my way
ぼくは自分の道(ルビ=やりかた)でやっていくんだ




Too ill-equipped for a mathematician
ぼくは装備があまりにヘッポコで、数学者には向いてない
A shrewd politician, a maker of decisions
見通しのきく政治家とか、重要な決定を下すような人間にもだ




Mah mah mamah mamamah *1
♪ マァーマァーマァーマァー マママァ
Mah mah mamah mamamah
♪ マァーマァーマァーマァー マママァ




We're not the greatest when when we're separated
ぼくたちはバラバラでいるときはもっとも偉大なんかじゃないけれど
But when we're together I think we're going to make it
でも、ぼくらがひとつになれば、ぼくたちはやれると ぼく思う
I don't want to be like a fascist dictator
ぼくはファシストの独裁者みたいになりたいわけじゃない
A saint or a sinner,
聖人とか罪人にもなりたくない
I want to be a winner
ぼくは勝者になりたいんだ




Mah mah mamah mamamah
♪ マァーマァーマァーマァー マママァ
Mah mah mamah mamamah
♪ マァーマァーマァーマァー マママァ







Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞 053110









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(はじまりにあたっての長めの序文)



きょうからだいたい1週間ぐらいのつもりで
キンクスが1970年に発表した彼らのアルバム第4作
「Lola Versus Powerman And The Moneygoround, Part One」
をみなさんとご一緒に聴いていこうと思います。
すでにこのアルバムからは、
つい先日も「トップ・オブ・ザ・ポップス」をここでご紹介したばかりで
そのときはそのつもりではなかったのですが、
やはり、このアルバムは、
最近のここの流れの中でしっかり全篇をまとめてやっておくべきだと考え、
また、ちょうど日付の上で1年前(=実際は3年前)のこの日に
やはりキンクスのアルバム「不良少年のメロディー」の全曲訳をはじめたことに気づいたのも
その考えを後押しすることになりました。 *2
ほかにも、すでにこのアルバムからはべつの流れの中で
あの名曲「ローラ」や(やはり名曲に数えられる)「エイプマン」、
そして「ジス・タイム・トゥモロー」が紹介済みになっていますが、
それらは(あらためてアルバムのプロットに沿ったかたちの解説とともに)再放送というかたちで
掲載していくことにして、(「序」はこのへんで切り上げるとして)
さあ、全曲訳「「ローラ対パワーマン、マネーゴーラウンド組 第1回戦」のはじまり
はじまりぃ〜〜 ♪






ということで、きょのこの歌
導入部にあたる最初のヴァースのそのはじまりのライン



Hush little mammy don't you cry
静かにね、かわいい母ちゃん、泣かないでくれよ


というのは、よくある子守唄の決まり文句のフレーズですね。
ただ違っているのは、それが「赤ちゃん(=baby)」でなく
「お母ちゃん(=mammy)」となっていることですw。
物語は、すでにもうここからはじまっています。
そして、この物語の最後に皆さんとご一緒に見ることになるように
このアルバムは、この最初の1行の歌詞のその「物語」でもあるのです。
(これについては、いまは何のことかわからなくてかまいません。)

そして、(大人になろうとする)子供が母親に向けて歌っているこのカントリー調で歌われる子守唄、
そこで歌われているのは



1)外の世界を見る
2)この暮らしから脱け出す
3)自由になる


その3点です。

そして、これがそのままこのアルバム全体のテーマにもなっていきます。
これからご一緒に聴いていくことになるこのアルバムの全曲が
いずれもこの3つのどれかに呼応するものになっているのに気づくことでしょう。

そして、作者のレイ・デイヴィスは
(まるで、このアルバムの翌年に発表される彼らの大傑作「マズウェル・ヒルビリーズ」を予告するかのような)
カントリー調の歌と演奏でこのテーマを提示しおわると
一転、デイヴ・デイヴィスのハードなギターリフを聞かせ
つづけて(ちょうどこの時期にキンクスの新メンバーとなった)
ジョン・ゴスリングのブギィ・タッチのピアノにグイグイと引っ張られるようにして
軽快なロックンロールで歌いはじめます、




I don't want to be a constructor of highways
A sweeper of sidewalks,
I've got to do it my way

ぼくは道路工夫になんかなりたくない
舗道の清掃人とかにもなりたくない
ぼくは自分の道(ルビ=やりかた)でやっていくんだ




この「自分の道でやっていくんだ」というのが
彼の方法序説というべきものであるのだろう。
人のための道路をつくったり、みんなの歩く道を掃除する人間でなく
自分の「道」(=「未知」)を自分の「道」(ルビ=やりかた)で生きていく。



このアルバムの物語の名もない主人公、
彼が歌っていることを、どうぞ、もう一度、聴いてみてください。
そして、歌っていることから、
この匿名の主人公のその人物像(ルビ=キャラクター)を
どうぞ、皆さんで大雑把にこの歌からプロファイリング(?)なさってみてください。 *3
その「彼」がこのアルバム全篇のあなたの主人公(ルビ=ガイド)として
この物語を案内(ルビ=ガイド)してくれることになるっでしょう。



あ。それから、もう、ひとつ、この歌について言っておくとしましょうか。
それはこの「競争者たち」(ルビ=コンテンダーズ)というタイトルです。
例えば、プロボクシングなどでは
チャンピオンへの挑戦資格を有するランキングの上位者を
この「コンテンダー」という語で総称しています。
実際に挑戦するとなれば、もちろん、それは「チャレンジャー」となるのですが、
直接、王座を賭けて対戦するまでは、あくまでも「one of them」としての「競り合う者」としての「コンテンダー」となります。


作者のレイ・デイヴィスが
この物語の冒頭の歌となるこの曲にこんなタイトルをつけたことも
どうぞ心にとめておいてください。
だって、わざわざこんなタイトルをつけずとも、
もっとこの歌にふさわしい どこにでもあるようなタイトルは、
皆さんだってすぐにいくらでも簡単に思いつくと思うんですよね。
でも、この歌のタイトルは「ザ・コンテンダーズ」なのです。
(「競う者」たち、「闘う者」たちと複数形なっているのも、また、見事ですね。
(つまり、この物語は、この世界で同時に無数に(そして実際に)起こっている物語なのです。
(主人公に名前がないのも、おそらくは、そんな理由からでしょう・・・・wink。ホントカw



そして、物語は次の歌へと進んでいきます。
ちょうど、この歌の導入部が終わってデイヴ・デイヴィスのギター・リフが聴こえてきたように
次のデイヴ・デイヴィス作の彼の歌で「見知らぬ人々」が歌われます・・・・。

*1:ママ(=お母ちゃん)とも聴けるかもしれない

*2:そもそもここは、いまでは毎日の選曲にしても、わたしが自分ですべてを計画して決めているというよりも、むしろ、ここ「Something Celbration Is Going On」(略称「SCIGO」(ルビ=サイゴー))の意思のようなものを(!)日々、その都度、わたしが汲んでやって(?)それで曲を選んで与えてやっているというような意識がわたしにはあって、自分は1個のこの巨大化していく音楽装置のオペレーターにすぎないような気がしてなりません。あるいは怪獣の飼育係でもいいのですが。

*3:この歌に登場する偉大な歴史的な人物や「独裁者にはなりたくない」というラインから、キンクス・ファンなら(このアルバムの3年後の1974年に「第一幕」が発表された)彼らのあの大作「プリザヴェーション」の主人公(そして、その少年時代を描いたアルバム「不良少年のメロディー」の主人公でもある)ミスター・フラッシュのことを思い浮かべるヒトもいるかもしれませんね。ふたりは(ある意味、当然のことかもしれませんが)よく似ていますwink