A Child Is Coming



Words & Music by Paul Kantner, Grace Slick and David Crosby.
(1970年発表)



(原題直訳 「子供がやって来るのよ」)





From Paul Kantner album, "Blows Against The Empire".

名作アルバム度 ☆☆☆

「造反の美学」 (ポール・カントナー)






歌詞は、次のURLから
http://www.houseoflyrics.com/d/artists/paul_kantner/songs/a_child_is_coming.html



名曲度 ☆☆





邦題 (不詳)








Last electric Sunday mornin'
このまえのエレクトリックな日曜日の朝
Waitin' in the park for the dawn
公園で夜明けを待ちながら
Listenin' to all the animals in the park and in the city beyond
公園やその外の街にいるいろんなあらゆる動物たちに耳を澄ましながら
Flashin' with my lady.
連れ合いと一緒に幻覚の世界に遊んでいた
Sky goin' black to blue
空が闇から青くなってきて
She said
彼女が言ったんだ
"I got a surprise for you
「あなたがびっくりすることがあるの
A child is coming
「子供がやって来るのよ
A child is coming
「子供が生まれて来るわよ
A child is coming to you
「あなたのところに子供が生まれて来るのよ




What you gonna do when Uncle Samuel comes around
サミュエル伯父さんがうるさく言ってきたら
あなた、どうする?
Askin' for the young one's name
生まれる子供の名前をどうするんだとか言われたり
And lookin' for the print of his hand
子供の手形をとって
For the files in their numbers game
あの人たちの数字のゲームに組み込まれるのよ
I don't want his chance for freedom to ever be that slim
あたしは子供の自由の機会を狭めてしまうようなことはしたくないわ
Let's not tell 'em about him --
あの人たちには子供のことは言わないでおくとしよう
A child is coming
子供がやって来るんだ
A child is coming
子供が生まれて来る
A child is coming to you
みんなのところに子供が生まれて来るんだ




It's gettin' better
だんだんよくなってくるよ
Like a mornin' to be born
朝がこうして生まれてくるように






Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞






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サイケデリアの時代にラヴ&ピースや自由の新しい価値観をリードしていったサンフランシスコのグループの最有力チームのひとつだった、ジェファーソン・エアプレーンのグレース・スリックとポール・カントナーに子供ができたときの歌だそうだ。
生まれてくるその子が、どんな世界に生まれてくるのかを(あらためて)ふたりはきわめて具体的に世俗的に身近なところでまず見直してみたのだろう。そして、とても大事なものを抱え込んでいるという、その思いで、そういう俗世に子供をまみれさせたくないと考えたのに違いない。




I don't want his chance for freedom to ever be that slim
Let's not tell 'em about him


ぼくは子供の自由の機会を狭めてしまうようなことはしたくないな
あの人たちには子供のことは言わないでおくとしよう




何だかとてもよくわかる。そして、(同時に)それまでのジェファーソン・エアプレインとのほんのちょっとした(それこそ)微妙な落差も感じてしまう。
この頃のグレース・スリックとポール・カントナーの年齢を調べてみると・・・・・えーと・・・・・・ポール・カントナーが29歳、グレース・スリックが31歳だった・・・・。若い、と言うより、彼らは戦っていたんだな、自分たちのやってる音楽とそうじゃない世間との彼らの闘いを。若さが闘いであった時代(だったのだろう)。若さという生命の揺れが(そのまま)ロックという「動き=揺れ」に同調してひとつになっていた時代(という神話のような世界・・・)
そして、この歌に歌われたその「来たるべき赤ちゃん」も、いまは(どこかで)36歳になっているはずだ。
明日もこの赤ちゃんの歌をつづけるとしてみよう。



歌の前半分のどかなサウンドと後半のどこか超越的な広がりを持ったハーモニーとの対照が明らかに(歌詞で歌われている以上の)何事かを物語っている。*1

*1:クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングのデイヴィッド・クロスビーがこのすっごいハーモーニーに決定的な働きを果たしている。