Everybody's A Star (Starmaker)


Words & Music by Raymond Douglas Davies.
(1975年発表)





(原題直訳 「誰もが主役」(スター請負人))




From The Kinks album, "Soap Opera".
名作アルバム度 ☆ 

「ソープ・オペラ(石鹸歌劇)〜連続メロドラマ ”虹色の夢”」 (キンクス




歌詞は、次のURLから   
http://hobbes.it.rit.edu/






邦題「きみもスタアだ(スターメイカー)」 (キンクス







I am a creator,
わたしはものを創る人間だ
Inventor and innovator.
創作者にして刷新者
I observe the people,
わたしは人間たちを観察する
The ordinary people
普通の人々をだ
No matter what your occupation is
その職業が何であれ
Everybody's in showbiz.
人は誰もがショウービジネスの世界にいる




'Cos I'm a Star
わたしはスターだから
(Gonna make you a star),
(きみをスターにしてあげよう)
And I can make you a Star
そう、あなたがたをスターにしてあげられるのだ
(Gonna make you a star),
(きみをスターにしてあげよう)
I believe that everybody's a celebrity,
わたしの考えでは、誰もが有名人
And we've all got personality
そして、わたしたちには全員、個性があり
And individuality.
また、個人としての人格がある
We all read lines,
わたしたちはみんなセリフを読んでいる
And we all act a part,
そう、わたしたちはみんな役を演じているのだ
We all need a script
わたしたちにはみんな台本が必要だし
And an audience to play to.
また、見てもらうための観客が要る
No matter what you do,
きみが何をする人だろうと
Or who you are,
あるいは何者だろうと
Everybody's a star.
誰もがみんなスターなのだ




I'm the magic maker,
わたしは魔法の仕掛け人
I'm the image maker,
わたしはイメージを作る人
I'm the interior decorator.
わたしは内面を飾る人*1
I can take any man
どんな人でもおかまいなし
I see standing in the road
道に立ってるところを見かけたら
And put rouge on his cheeks
その頬に頬紅を塗ってやろう
And put some powder on his nose.
そして、鼻にはおしろいをつけてやろう*2
I'll teach him how to act,
どう演じるかを彼にわたしが教えてやるのだ
I'll remould and reshape him.
わたしは彼を作り直し、作り替えてしまうのだ
I'll put him in a stage suit
その男に舞台衣装を着せよう
And I'll teach him how to pose.
そしてポーズの取り方を教えてやろう
I can turn the most ordinary man in the world into a star.
わたしはこの世の中のもっともありきたりな人間をスターすることができるのだ
I'm a starmaker
わたしはスター請負人
(Gonna make you a star),
(きみをスターにしてあげよう)
Yes, I'm gonna make you a star
そうだ、わたしはきみを主役にしてあげよう
(Gonna make you a star)
(きみをスターにしてあげよう)
No matter how dull or simple you are
きみがどんなに鈍感で単純な人間だとしても
Everybody's a star.
誰もがみんなスターなのだ




I'm the magic maker,
わたしは魔法の仕掛け人
I'm the image maker,
わたしはイメージを作る者
I can make or break you.
わたしはきみを作ったり壊したりできるのだ
l'm a star maker
わたしはスターを作る者
(Gonna make you a star)
(きみをスターにしてあげよう)
Yes, I'm gonna make you a star
そう、このわたしがきみを主役にしてあげよう
(Gonna make you a star)
(きみをスターにしてあげよう)
Gonna make you a star,
あなたがたを主役にしてあげよう
'Cos everybody's a star.
なぜなら、誰もがスターだからだ




Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞







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誰もがみんなスターなのだ、誰もがみんなショービジネスなのだ、というのは、
キンクスのクラシック「セルロイドの英雄」Celluloid Heroes で示されたレイ・デイヴィスのテーゼだが、
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20051005
その主題が、このアルバム「ソープ・オペラ」でも繰り返されている。
悪く言えば二番煎じということになるが、実はそれがこのアルバムのひとつの顕著な特徴ともいえる。
二番煎じどころではない、こと楽曲のひとつひとつを聴いていけば(歌詞も、メロディーも、またサウンドにおいても)三番四番五回出しぐらいの出がらしになったような陳腐さとチープさがプンプンと立ちこめ、
それが(今夜から、しばらくの間、みなさんとご一緒に聴いていこうとする)このアルバム「ソープ・オペラ」の基調となっているのだ。
もちろん、レイ・デイヴィスのあの非凡なる天才が枯渇してしまったというわけではない。
このアルバムにおける陳腐さ、チープさ、そして耳をふさぎたくなるような退屈至極な月並みともいえる型どおりの凡庸さ、ステロタイプ、実はそれこそがこのアルバムの鍵なのだ。
なぜなら、これは「ソープ・オペラ」であり、それこそが「ソープ・オペラ」であるからだ。



(説明の要はなかろうかとも思うが)(根が親切なのかお節介なのか)(敢えて説明の労をとってみるならば)
(一般に世間で言われる)(普通名詞としての)「ソープ・オペラ」とは、アメリカからはじまった主婦向けの昼のラジオやTVの連続ドラマを指す言葉で、そのスポンサーに石鹸などの洗剤を扱う会社が多かったことから「ソープ・オペラ」とそう呼ばれるようになった。(とこれで「ソープ」の部分は解決したわけだが)「オペラ」というのは(いささか揶揄した(というか、むしろ蔑視的な)表現で)どこか型に嵌まった(すなわち類型的で大袈裟な、また現実にはありそうにない)陳腐なドラマを称してときに「オペラ」の名で呼ぶことがあるが(SFにおける「スペース・オペラ」と総称される作品群の物語のつくりを思い浮かべてもらえば、それと相通じるものがあると考えてよいだろう)、それが(ソープ・オペラにおける)「オペラ」(の部分)である。ということで(日本語では)ソープ・オペラとは、ぶっちゃけ「昼メロ」(昼間の主婦向けメロドラマ)のことだと言える。実際、花王石鹸あたりがそういった番組のスポンサーになっているのではなかろうか、お暇な方には是非ご確認願いたい。


ということで、レイ・デイヴィス作詞・作曲の全12曲から構成されたこの陳腐でチープな物語「ソープ・オペラ」は、まず、冒頭のこの歌「きみもスタアだ(スターメイカー)」における「スター」の登場とともに(いままさに)はじまろうとしている。





I am a creator,
わたしはものを創る人間だ



もちろん、この「クリエーター」を「造物主」や「創造主」として大きく訳してもかまわない。ウディ・アレンの書く戯曲なら、明らかにこの主人公は堂々と「神」を名乗って自信なさげに登場してきたりするだろうwink。そして、それもまた作劇術であり、舞台の演出法のひとつとなる。



I am a creator,
Inventor and innovator.

わたしはものを創る人間だ
創作者にして、刷新者である



ようするにこのドラマ「ソープ・オペラ」の主人公であるこの「スター」氏は、自分が単なるクリエーターではなく、何かオリジナルな新しいことをつねに心がける大いなる志のある野心的な創作者であることを主張している。
そして、この彼の芸術上の野心がこのドラマのメインのプロットを形成していくことになる。




I observe the people,
The ordinary people

わたしは人間たちを観察する
普通の人々をだ






では、いま少し、その「スター」氏の声を聞いてみるとしよう。

ということで、2曲目の「平凡な人々」を(今夜のちほど)つづけて聴いてみましょう・・・・

*1:まあ通常は「インテリアデザイナー」(室内装飾家)とするのが筋だろうが。

*2:まさかお鼻にご禁制の白粉ではあるまいな、デイヴィス屋。