Slim Slow Slider

Words & Music by Van Morrison.
(1968年発表)



(原題直訳 「ほっそりとしたゆっくりと滑りゆく者」)




From Van Morrison album, "Astral Weeks".
名作アルバム度 ☆☆☆☆☆


「アストラル・ウィークス」 (ヴァン・モリソン



Also you can listen to Johnny Rivers album, "Slim Slo Slider".
名作アルバム度 ☆☆

(ジョニー・リヴァーズ)




歌詞は、次のURLから
http://www.oldielyrics.com/lyrics/van_morrison/slim_slow_slider.html




名曲度 ☆☆☆




邦題 「スリム・スロー・スライダー」 (ヴァン・モリスン)







Slim slow slider
ほっそりした
ゆっくりと
滑り行く者
Horse you ride
きみが乗る白い馬は
White as snow
雪のように白い
Slim slow slider
細身の注射器が
ゆっくりと
スライドしていく
Horse you ride
きみが射つヘロインは
Is white as snow
雪のような白さ
Tell it everywhere you go
行く先々でその話をするといい




Saw you walking
きみが歩いているのを見たよ
Down by Ladbroke Grove this morning
今朝、ラドブローク・グローブを
Saw you walking
きみが歩いているのを見たよ
Down by Ladbroke Grove this morning
今朝、ラドブローク・グローブを
Catching pebbles for some sandy beach
道の丸石を
どこかの砂浜の小砂利のようなつもりになって
You're out of reach
きみにはとてもかなわない




Saw you early this morning
今朝早くにきみを見たよ
With your brand new boy and your Cadillac
きみのキャディラックで新しい男と一緒だった
Saw you early this morning
今朝早くにきみを見たよ
With your brand new boy and your Cadillac
きみのキャディラックで新しい男と一緒だった
You're gone for something
何かの用で出かけていった
And I know you won't be back
そして、ぼくは知ってる
きみが戻りやしないことを




I know you're dying, baby
ぼくには
きみが死にかけているのがわかるんだ
ベイビー
And I know you know it, too
そして
きみもそのことをわかっているのが
ぼくにもわかる
I know you're dying
わかるのさ、ぼくには
きみが死につつあるのが
And I know you know it, too
きみも自分でそのことがわかっているのが
ぼくにはわかる
Everytime I see you
きみの姿を見るたびに
I just don't know what to do
ぼくは、とにかく
どうしていいのかわからないんだ







Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞







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ヴァン・モリスンの最高傑作にしてロック史に燦然と輝く名作(と月並みな文句しか並べることができないが)アルバム「アストラル・ウィークス」の最後の曲がこの「スリム・スロー・スライダー」。


上記の訳のとおり、ロマンチックなこの歌詞は




Slim slow slider
ほっそりした ゆっくりと滑り行く者

(細身の注射器が (ゆっくりと (スライドしていく




という具合に「注射器」のイメージがダブル・エクスプロージャする、
また、




Horse you ride
White as snow

きみが乗る白い馬は 
雪のように白い

(きみが射つヘロインは
(雪のような白さだ




と(こちらは(イメージではなく)隠語としての「ホース」が意味する)ヘロインの白さが示される。

そして、最後の一節では(この歌の歌い手が想い、見つめる)歌の主人公が死んでいくだろうことが予示されて、歌は終わる・・・・




I know you're dying
And I know you know it, too
Everytime I see you
I just don't know what to do

わかるのさ、ぼくには、きみが死にかけているのが
ぼくは知ってる
きみも自分でそのことがわかっているのを
きみの姿を見るたびに
とにかく、ぼくはどうしていいのかわからないんだ




こうしてアルバム「アストラル・ウィークス」は幕を閉じるわけだが、この「アストラル・ウィークス」とは、わたしたちがよく知る言葉でいえば、それは「四十九日」のことだ。そして、ぼくらがあまり知らない言葉で言えば「中陰」(もしくは「中有」)となる。
(詳しい説明は、「チベット死者の書*1でも読んでいただくのが早いと思うが)(ようするに)仏教で言うところの、死後、

肉体を離れた生命が次の生に入るまでの期間を指す言葉で、この「四十九日」間にあたる「アストラル・ウィークス」を無理に日本語にすれば(それは)「幽界の一週間」(その複数形)となるだろうか。幽界(=アストラル界)の一日は、ちょうど現世地上の時間に換算して1週間(=7日)分に相当するとのことで、「四十九日」とは(すなわち)7×7の49日間にわたる「アストラル・ウィーク」のことだというのがわかるだろう。


そして、このアルバム「アストラル・ウィークス」の最後の曲「スリム・スロー・スライダー」に予示された(主人公の)「死」は、このアルバムの最初の曲「アストラル・ウィークス」に回収されるようにして、アルバムの終わりがアルバムのはじまりに回帰するというかたちで、アルバムは(この(構成上)最後の曲である)「スリム・スロー・スライダー」の終わりをもって永遠の環を閉じるかたちで完結する。すなわち永劫の輪廻を完成する歌の環、それがヴァン・モリスンの不朽の名作「アストラル・ウィークス」だ。


ということで、(このところの流れからは逸脱することになるが)その冒頭の歌「アストラル・ウィークス」を次に聴いてみましょう。