Have You Ever Seen The Rain?

Words & Music by John Fogerty.
(1970年発表)



(原題直訳 「きみは雨を見たことがあるかい?」)



From Creedence Clearwater Revival album, "Pendulum".
名作アルバム度 ☆☆☆☆


「ペンデュラム」 (クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル



歌詞は、次のURLから
http://www.seeklyrics.com/lyrics/Ccr/Have-You-Ever-Seen-The-Rain.html


名曲度 ☆☆


邦題 「雨を見たかい」 (クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル
   






Someone told me long ago
ずっと昔に
誰かがおれに話してくれた
There's a calm before the storm,
嵐のまえには静けさがあるのだと
I know!
知ってるよ!
It's been comin' for sometime.
そういうことはまえにもあったぜ
When it's over so they say
それがすむとだな、と彼らは言う
It'll rain on a sunny day,
晴れた日の雨が降ってくるのさと
I know!
知ってるさ!
Shining down like water!
ひかりながら
水みたいになって落ちてくるんだ




I wanna know,
おれは知りたいんだ
Have you ever seen the rain?
あんたら、雨を見たことがあるのかい?
I wanna know,
おれは知りたい
Have you ever seen the rain
Comin' down on a sunny day?
あんたたちは、
晴れた日に降ってくる雨を
見たことがあるのかい?




Yesterday and days before
きのうも、そして、おとといも
Sun is cold and rain is hot,
太陽は冷たく、雨は熱く激しい
I know!
知ってるぜ!
Been that way for all my time.
おれの一生はずっとそんなだ
Till forever on it goes
それが永遠にずっとつづいてくんだ
Thru the circle fast and slow,
循環の環の中を
早くなったり遅くなったりしてな
I know!
知ってるぜ!
It can't stop I wonder!
どういうわけか
そいつは止まりゃしないのさ!




I wanna know,
おれは知りたいんだ
Have you ever seen the rain?
あんたら、雨を見たことがあるのかい?
I wanna know,
おれは知りたい
Have you ever seen the rain
Comin' down on a sunny day?
あんたたちは
晴れた日に降ってくる雨を
見たことがあるのかい?








Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞





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日本流に言えば、「青天の霹靂」というヤツになるのだろうか? 
ちょっと違うか、(「青天の霹靂」、つまり英語で言う「out of the blue」にある)「突然さ」というのが(この歌では歌詞の面でも楽曲の面でも)まったく強調されていない。ただ、淡々とミディアムテンポで歌われていく。


ようするに「天気雨」というヤツなのだが、わたしたちは日頃、天気雨というものをそんなに取り立てて考えたことはないだろう。まず、そんなに深刻な思いをさせてくれる雨ではないからだ。きのうのビートルズの「レイン」のように「(雨が降ってきたからといって)頭を隠して駆け出す」わけではない。雨としては微々たるものであり、空は全般的に晴れているのだ。




I wanna know,
Have you ever seen the rain,
Comin' down on a sunny day?

おれは知りたい
あんたたちは、晴れた日に降ってくる雨を
見たことがあるのかい?




・・・と問われれば、「No」(ない)と答えることになるだろう。
しかし、この歌の語り手(歌い手)は、そうではない。




Yesterday and days before
Sun is cold and rain is hot,
I know!
Been that way for all my time.

きのうも、そして、おとといも
太陽は冷たく、雨は熱く激しい
知ってるぜ!
おれの時間はずっとそんなもんなんだ



この歌い手にとっては、天気雨もまた(あくまでも)「雨」なのだ。
ここにおいて(わたしたち聴き手は)客観的な天候というものを(ひとまず)忘れ去ることが賢いように思われてくる・・・・。


・(彼には)「雨」が降っている、それも「熱い」までに強い「雨」だ。
・(そして彼は)空に「太陽」が出ているのを目にしている、しかし、それは冷たい太陽だ。



これは(歌の中の語り手である)歌い手の個人的な思いでしかない。
「雨」に降られながらも「太陽」を見ている。その眼差しに込められた意志や気持ちの強さ(のようなもの)が感じられる。
彼に「嵐のまえの静けさ」や「晴れた日の雨」を説こうとした(たぶん年長の)人々は(おそらく、けっして)そんな話をしたつもりはなかっただろう。だが、彼は(もっとヘヴィーなかたちで身をもって)それを「知ってるぜ!」と答えるのだ。あたかも「(あんたら、よく言うぜ)そういう雨をあんたたちは(その目で)見たことがあるのかねえ、おれはそれを知りたいぜ」と(つい、いましがた「知ってるぜい!」と答えた彼が逆に「知りたいぜ」とやり返すのである・・・。
(そういう場面を想像すると)この男は(まあ)孤独な存在だろう。他の人間と一緒になって(輪になって)地球の自転や公転を楽しみながら季節の巡りの中に年老い死していくことを(無意識裡に当然のこととして)受け容れているわけではない(ように映る)。雨の中に(雨を突き抜けて)空につめたい太陽を見てしまうその視線の強さのような一途さがある。ジョン・フォガティのヴォーカル、つまり、彼の声と歌唱が(いかにも)そんなキャラクターのイメージを聴く者に強く投影してくるのだ。




言うまでもなく、これはべつにこの歌の「意味」でも「解釈」でもなんでもない、いま、この場で書いているうちに(わたしが勝手に)思いついたものでしかない、明日だったらまた違ったかもしれないし、あるいはもっと早く1時間ほどまえに書きはじめていたとしたら、また全然違ったことを書き連ねていたかもしれない。同じことを書いていたかもしれない。そんなことはわからない。しかし、いま、こんなことをこうやってはっきりと書いてしまったので(たぶん、これからは)この歌を聴いたり、この歌について何かを語ろうとするときに(わたしは)これと同じ観点に立った物言いをすることになるような予感はある*1。しかし、それもまた、この歌の「意味」でも「解釈」でもない。そこまできちんとかたちをなして何かを主張するような代物ではない。では、何なのかと言えば、それは、この曲がふりまく(この曲の)力に触れて、わたしという人間がひとおもいに綴り出した(ある)ひとかたまりの思いでしかない。それは「想い」ですらもない。ましてや「考え」などでもない。そして、一時間後に書きはじめていたらまた違っていたかもしれないという意味で、これはひとつのかたまりになったある偶然のなせる可能性(というよりも)可能態のひつでしかない。書いているのは(確かに)この「わたし」かもしれないが、しかし、書かせているのはこの「歌」である。すなわち(ジョン・フォガティという)歌手であり、(彼が作った)歌詞であり、メロディであり、(彼を含むクリーデンス・クリアウォ−ター・リヴァイヴァルというグループの)演奏であり、そのレコーディング・スタッフによる録音であり、サウンドである。そして、それらは(ひとつのはっきりとしたかたちをなして反復再生が可能な)「データ」として(さまざまなな)媒体に記録(レコード)されたものであり、その(記録され複製流通した)「データ」はつねに一定不変なものだ(としても)、聴くたびに(それは)(また聴く人によっても)つねに一定不変に聴こえるわけではない。そういった(たまたま)聴こえたその聴こえ方に反応した(わたしの)そのパフォーマンスを言葉を介して並べてみたものでしかない。だから、それはひとかたまりのある量(quantum)であることは確かだとしても、は(この歌の)意味でも解釈なんでもない。歌はまたそれとはべつにそこにある。歌われるの待ち、再生されるのを待って。


さて、ここでひとつ「楽屋落ち」めいた(どうでもいい)事柄を紹介すると、このCCR(ことクリーデンス・クリアウォ−ター・リヴァイヴァル)の中心的な人物であるジョン・フォガティさんのニックネームが(何と!)「サニーデー」sunny day というのだそうだ。だから、といって(しかし)、この歌の真の意味などが忽然と視界に浮上してくるわけではありゃしないことは言うまでもないだろう。

下記のコメント欄に id:yomoyomo さんより、「雨」が「ナパーム弾」であるとする説の紹介とURLをいただきましたのでごらんください。

さてと、今夜はもう1曲、このクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルの(やはり)「雨」を歌った曲「フール・ストップ・ザ・レイン」をつづけて聴いてみることにしましょう。

*1:それでも、「(確か)何かすごいこと考えたみたいなんだけどなァ・・・」とすっかり忘れてしまうかもしれない。そういうことはよくあることだ。