Some Mother's Son

Words & Music by Raymond Douglas Davies.
(1969年発表)



(原題直訳 「どこかの母親の息子」)




From The Kinks album,
"Arthur - Or The Decline And Fall Of The British Empire".
名作アルバム度 ☆☆☆☆

「アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡」 (キンクス




歌詞は、次のURLから
http://hobbes.it.rit.edu/



名曲度 ☆





邦題 「サム・マザーズ・サン」 (キンクス





Some mother's son lies in a field
どこかのお母さんの子供が野原に倒れている
Someone has killed some mother's son today
誰かが、きょう、
どこかのお母さんの子供を殺してしまったのだ
Head blown up by some soldier's gun
どこかの兵士の銃で頭を吹き飛ばされている
While all the mothers stand and wait
どの母親もみんな
じっと耐えながら待ちわびているのに
Some mother's son ain't coming home today
どこかのお母さんの子供は
きょう、帰って来ることはない
Some mothers son ain't got no grave
どこかのお母さんの子供には(まだ)お墓もない




Two soldiers fighting in a trench
塹壕で戦うふたりの兵士
One soldier glances up to see the sun
兵士のひとりが、ちらりと太陽を見上げる
And dreams of games he played when he was young
そして子供の頃にした遊びに夢を馳せる
And then his friend calls out his name
すると、そのとき戦友が彼の名前を呼ぶ
It stops his dream and as he turns his head
夢が途絶えて、彼は振り向く
A second later he is dead
一秒後、彼は死んでいる




Some mother's son lies in a field
どこかのお母さんの子供が野原でよこになっている
Back home they put his picture in a frame
家では家族が彼の写真を額縁に入れている
But all dead soldiers look the same
だけど、死んだ兵士はみんな同じに見える
While all the parents stand and wait
すべての両親がじっと耐えて待ちわびている
To meet their children coming home from school
学校から帰ってくる自分たちの子供を迎えるように
Some mother's son is lying dead
どこかのお母さんの子供が死体になって倒れている





Somewhere someone is crying
どこかで誰かが泣いている
Someone is trying to be so brave
勇猛になろうとしている者もいる
But still the world keeps turning
だけど、世界はまだまわりつづけている
Though all the children have gone away
子供たちがみんないなくなってしまったのに



Some mother's son lies in a field
どこかのお母さんの子供が野原に倒れている
But in his mother's eyes he looks the same
でも、彼の母親の目には彼は同じだ
As on the day he went away
彼が去っていったあの日の姿と
They put his picture on the wall
彼の写真を壁にかける家族
They put flowers in the picture frame
彼らは額縁に花を飾る
Some mothers memory remains
どこかの母親たちの思い出は消えることはない





Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞





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どことなく不朽の名作と言われる映画「西部戦線異状なし」を思わせる一節がこの歌にある。次のくだりだ・・・



One soldier glances up to see the sun
And dreams of games he played when he was young
And then his friend calls out his name
It stops his dream and as he turns his head

夢が途絶えて、彼は振り向く
A second later he is dead
兵士のひとりが、ちらりと太陽を見上げる
そして子供の頃にした遊びに夢を馳せる
すると、そのとき戦友が彼の名前を呼ぶ
一秒後、彼は死んでいる




この歌もまた第一次世界大戦を描いたものだ。
イギリスの貧しい庶民の一家のファミリー・ヒストリーを描いたキンクスの野心的なアルバム「アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡」*1Arthur - Or The Decline And Fall Of The British Empire の中の1曲。このアルバムは、イギリスの民放、グラナダTVでドラマ化*2されることになっていたというが、結局立ち消えになってしまったようだ*3


この歌の秀逸なところは、その「どこかのお母さんの子」some mother's son という表現にあるように思う。
レイ・デイヴィスはこの言い回しが自分でも気に入ったようで「ワンダー・ボーイ」という歌で(もう一度)この表現を使って歌を書いている。

*1:「滅亡」というよりも「没落」程度にとどめておくのが原題からの筋というものだろう。いつもながら邦題というのはイイ加減なものだ。

*2:ストーリーはレイ・デイヴィス本人と脚本家のジュリアン・ミッチェルの共作

*3:「アーサー」というタイトルは主人公の名前「アーサー・モーガン」によるものだが、イギリスで題名に「アーサー」を使えば誰もが「アーサー王」を思い浮かべるのが筋である。言うまでもなく、レイ・デイヴィスの作り出したアーサーはそのような輝かしくも神々しいヒーローではありえない。キンクスにはこうしたストーリーのあるアルバムやロック・オペラと言われるものがいくつもあるので、いずれはストーリーとともに全曲紹介をしていきたいものだ。どこかが権利をとってくれれば、The Whoの「トミー」や「クアドロフェニア」「ライフハウス」やプリティシングズの「SFソロー」、ルー・リードの「ベルリン」などともにきちんとしたかたちでやりたいんですけどネ。