Chain Gang Blues


Words & Music by Ma Rainey.
(1925年発表)



(原題直訳 「鎖に繋がれた囚人のブルース」)



From Ma Rainey album,
"Complete Recorded Works, Vol. 3 (1925-1926) ".
推奨アルバム度 ☆☆☆☆☆

(マ・レイニー)

歌詞は、次のURLから
http://www.geocities.com/BourbonStreet/Delta/2541/blmraine.htm#chain

名曲度 ☆



(邦題不明) (マ・レイニー)




The judge found me guilty, the clerk he wrote it down
判事がわたしを有罪と認めて、事務官がそれを書きつけた
The judge found me guilty, the clerk he wrote it down
判事がわたしを有罪だと認めて、事務官がそれを書きつけたの
Just a poor gal in trouble, I know I'm county road bound
問題を起こした哀れな娘、
わたしは田舎道送りになるのね、わかっているわ、




Many days of sorrow, many nights of woe
たくさんの悲しみの日々、たくさんの苦悩の夜
Many days of sorrow, many nights of woe
たくさんの悲しみの日々、たくさんの苦悩の夜
And a ball and chain everywhere I go
そして、どこに行くのにも鉄の球と鎖が




Chains on my feet, padlock on my hand
わたしの脚には鎖が、手には鉄の錠前
Chains on my feet, padlock on my hand
わたしの脚には鎖が、手には鉄の錠前
It's all on account of stealing a woman's man
これもすべて人の男を奪った代償




It was early this morning that I had my trial
わたしの裁判があったのは、今朝早くのこと
It was early this morning that I had my trial
わたしの裁判があったのは、今朝早くのこと
Ninety days on the county road, and judge didn't even smile.
田舎道での懲役90日、判事はニコリともしなかった






Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞






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ブルースである。1行が4小節(うち後半2小節はブランク*1)、それが3行で12小節で1連という俗に言う「12小節ブルース」Twelve Bars (という形式)だ。

ヴァネッサ・レッドグレーヴが壮絶にキース・キャラダインと殴り合うシーンがある(カーソン・マッカラーズの小説「悲しき酒場の唄」を映画化した)「悲しき酒場のバラード」という映画*2の冒頭が、たしか南部の田舎道で鎖につながれた囚人たちが(それこそ数珠つなぎになって)つるはしなどを手に一列になって(ワーク・ソングを歌いながら)土木工事にいそしむシーンだった。
あの映画は大恐慌の時代の南部を舞台としたものだったから、そうした懲役は(少なくとも)1930年代の前半のうちまではアメリカ南部に残っていたのだろう。
マ・レイニーの歌うこの「チェイン・ギャング・ブルース」は、大恐慌以前の録音だが、女囚もまた路上での重労働の刑があったように歌われているが、もしかしたら、当時は刑罰といえば、誰もがすぐに「田舎道での鎖につながれた重労働」というイメージを連想することもあって、こうした歌ができたということも考えられるので(とりあえずは)ここでは断定できない。



And a ball and chain everywhere I go
そして、どこに行くのにも鉄の球と鎖が



これは刑期満了後も、見えない、重さのない枷となって(シャバではさらに重く)つきまとうものかもしれない。
服役したという事実が世間の白い目になってつきまとうのか、あるいはその服役の事由となった犯行をめぐる当人の思いが心につきまとうのか、その両方か。
その重さに引き摺られるようにしてシャバの棲み分けにしたがい、そのエリアで道を歩むうちにいつしか獄に戻ってしまう累犯者はどこの国でも少なくない。


あのジャニス・ジョプリンにも、有名な「ボールとチェーン」という熱唱があるが、あの歌は激しい恋の虜となった女性が比喩としての鉄のボールと鎖を歌ったものだ。


ときに「ブルースの母」と称されるマ・レイニーだが、次の曲は(その名作集成のCDボックスセットに)「ソウルを発明した男」The Man Who Invented Soul というタイトル(称号!)がつけられた男性シンガーのヒット曲。

*1:そこにバックの楽器のフィルインやコーラスによるレスポンスが入る

*2:http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD16434/comment.html