House Of The Rising Sun

According to the book written by folklorist Alan Lomax
From his book, "Our Singing Country"
Words & Music by unknown

You can listen to Joan Beaz's first album, "Joan Baez"
名作アルバム度 ☆☆☆



名曲度 ☆☆☆☆☆



邦題 「朝日のあたる家」 (ジョーン・バエズ









There is a house in New Orleans
ニューオーリンズにひとつの館がある
They call the Rising Sun.
人々が「朝日」と呼ぶそこは
It's been the ruin of many a poor girl,
多くの哀れな少女たちの廃墟となってきている
And me, O God, for one.
そして、わたしも、神様、そんなひとりなのです




If I had listened what Mamma said,
もしも、
わたしがママの言うとおりにしていたら
I'd 'a' been at home today.
わたしは、きょうもうちにいたはず
Being so young and foolish, poor boy,
若くて愚かなあまり、そう、あのつまらない男
let a rambler lead me astray.
ひとりの流れ者の手にかかって
道を誤ってしまったの




Go tell my baby sister
幼い妹にどうか聞かせてやって
Never do like I have done
わたしがしてしまったことを
けっしてしないようにと
To shun that house in New Orleans
ニューオーリンズのあの館には
近づかないようにと
They call the Rising Sun.
人々が「朝日」と呼んでいるところには




My mother she's a tailor;
わたしの母親は仕立屋なの
She sold those new blue jeans.
新品のブルージーンズを売ってたわ
My sweetheart, he's a drunkard, Lord, Lord,
わたしの愛しい人は、酔いどれ男
あゝ、主よ、主よ
Drinks down in New Orleans.
ニューオーリンズ
飲んだくれているのです




The only thing a drunkard needs
酔いどれ男に要るものといえば
Is a suitcase and a trunk.
スーツケースとトランクだけ
The only time he's satisfied
彼が唯一、満ち足りるのは
Is when he's on a drunk.
酒に酔っているときだけ




Fills his glasses to the brim,
グラスいっぱいに
こぼれるほどついで
Passes them around
みんなにふるまう
Only pleasure he gets out of life
彼の人生の愉しみは、唯一
Is hoboin' from town to town.
町から町へと放浪すること




One foot is on the platform
片足を駅のホームに
And the other one on the train.
もう片方の足を列車にかけて
I'm going back to New Orleans
わたしはニューオーリンズに戻っていくところ
To wear that ball and chain.
鉄の球と鎖をはめに


Going back to New Orleans,
ニューオーリンズに戻って行けば
My race is almost run.
わたしの生涯もほとんど終わったようなもの
Going back to spend the rest of my days
残された日々を過ごしに戻るわ
Beneath that Rising Sun.
「朝日」の下で





Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞





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バエズが歌うこのヴァージョンは(バエズやディランにとって偉大な先輩にあたるピート・シーガーが若き日に(ヴォーカルとバンジョー奏者として)在籍していたグループ、ウィーヴァーズ(1948年結成〜1952年解散)が1955年の(ライヴ・アルバムが有名な)カーネギーホールのコンサート*1で再結成した後、レコード会社を(デッカから)ヴァンガードに移籍して(女性ヴォーカルのロニー・ギルバートをフィーチャーして)発表したものをほぼ忠実に踏襲したものだが*2、それはさておき・・・・、



これら3つのヴァージョンで次の一節がそのままになっていることに注目したい。


One foot is on the platform
And the other one on the train.
I'm going back to New Orleans
To wear that ball and chain.


片足を駅のホームに
もう片方の足を列車にかけて
わたしはニューオーリンズに戻っていくところ
鉄の球と鎖をはめに


これは(もしかしたら)この歌の見せ場、ハイライトなのではないだろうか?
足のクローズ・アップとそのもう片足の同様のクローズアップをモンタージュしてみせ、さらに鉄球と鎖の足枷というイメージをそこにオーバーラップしてみせるというすぐれて映画的な技法。この歌のこの部分をどう歌うか(さあ聴衆の皆さんハンカチを用意してください)というぐらい歌い手にとっては張り切ってしまうような、そういう見せ場、聴かせどころだったのではないか?
そして、この箇所に映画的なものを認めるとするならば、この歌詞が生まれたのは映画が広くアメリカに普及して以降のことではないだろうか? そんな仮説を提出してみたくなるが・・・・


・・・・はたして、そんなことを考えてみたかどうかはわからないが、
アラン・ロマックス(1915-2002)という民俗学者がいる。アメリカの国会図書館にあたる Library of Congress のアメリカ民謡資料館の責任者だった音楽学者のジョン・ロマックスの息子で、幼い頃から父のアシスタントとしてそのフィールドワークに同行し、アメリカ各地を旅してまわり、土地土地に伝わる民謡を採集してまわった。父の死後、資料館の責任者の地位を引き継ぐと、同時にラジオ番組や大学での講演などでその成果を発表し、デッカやコロンビアといったレコード会社が制作するフォークソングのレコードの制作や監修にたずさわり、レッドベリー、バール・アイヴズ、ウディ・ガスリーなどを発掘、紹介するなどアメリカの大衆音楽の世界に独自の貢献をした偉人で、著書も多く、アメリカにおける民謡の発掘と保存、そしてその研究に大きな功績を残した「アメリカ民謡再生の父」と讃えられる人だ。詳しくは次のURLに彼の公式のサイトがあるので、そちらを参照していただくとするが、
http://www.alan-lomax.com/home.html


そのアラン・ロマックスの1941年に刊行された著書に「Our Singing Country : Folk Songs and Ballads」という本がある。これはいまでも入手可能*3 な本だが、上掲の歌詞は同書に掲載されているもので(ロマックスはこの歌詞をジョージアターナーとバート・マーティンというふたりのケンタッキー出身者から聞き取ったという)、同書によるとそのメロディーは古いイングランドの伝承バラードを起源とするものだという。上掲にクレジットしたジョーン・バエズによるヴァージョンは、彼女のその澄んだ美しい歌声もあって、この歌がイングランド起源のものであることを納得させてくれるが、レコーディングされたヴァージョンでは、バエズはロマックスの聴取したこの歌詞の1番から3番までに最終節の8番を加えて、主語と時制をきちんとしたかたちで歌っている。


なお、この「朝日のあたる家」を初めてレコーディングしたのは、1928年のアルジャー・テキサス・アレグザンダーという黒人ブルースマンのものが最初で*4、これをもとにレッドベリーやカントリーのロイ・エイカフ、フォークのウディ・ガスリー、(ピート・シーガーのいた)ウィーヴァーズなどがレコーディングし、やがてディランやバエズ、果てはイングランド最北のニューカッスル・アポン・タインのアニマルズによる世界的な大ヒット曲となるのである。

ところで、さっきネットで拾ったのだが、
アメリカのニューオーリンズというところに(笑い)1862年から1874年の間、「朝日のあたる家」という娼館が実在したんだそうだ。セントルイス・ストリートの826番地から830番地というからかなり大きな家だったようで、その女主人、マリアンヌ・ル・ソレイユ・ラバーンの「ソレイユ」le soleil から「朝日」と呼ばれるようになったという、そういう説があるんだそうだ。

*1:「The Weavers at Carnegie Hall, Vol.1 & Vol.2」

*2:「The Weavers Greatest Hits 」「The Best of the Vanguard Years 」その他を参照

*3:ISBN: 0486410897 http://www.amazon.com/exec/obidos/tg/detail/-/0486410897/qid=1114343248/sr=1-1/ref=sr_1_1/102-8618927-4117746?v=glance&s=books

*4:「1927−1928 1」所収の「The Risin' Sun」というが未確認