House In The Country

Words & Music by Raymond Douglas Davies.
(1966年発表)



(原題直訳 「田園の家」)




From The Kinks album, "Face To Face"
名作アルバム度 ☆☆☆☆☆

「フェイス・トゥ・フェイス」 (キンクス




Also on The Pretty Things album, "EP Collection "



歌詞は、次のURLから
http://hobbes.it.rit.edu/



名曲度 ☆



邦題 「田舎の家」 (キンクス








He don't need no sedatives to ease his troubled mind.
あいつは不安な心を鎮めるのに鎮静剤など不要だそうだ
At work he is invariably unpleasant and unkind.
こと、仕事においては、
どんなときも面白味のない薄情な人間で
Why should he care if he is hated in his home,
家に帰っても自分が嫌われてるかどうかなんて
気にもしないヤツなんだ
'Cause he's gotta house in the country,
その理由は、田園地帯に家を買ったからなんだ
And a big sports car.
すっげえスポーツカーも買ったんだ
He's gotta house in the country,
あいつは田舎に家を持っている
And a big sports car.
おまけに、すっげえスポーツカーも




But he ain't gotta home, oh no,
だけど、彼には家庭がない、あら、まあ
And he's as wicked as he can be,
だから、
あいつは思いっ切りイヤな野郎になってしまう
'Cause he's gotta house in the country
何しろ、あいつは田園の別荘を手に入れたんだもの
Where he likes to spend his weekend days.
週末はそこで過ごそうというわけだ
Oh yeah, oh yeah, well all right
あゝ、そうさ、おゝ、そうさ
結構なことだよな





Well, he got his job
そう、彼がいまの仕事に就いたのは、
When drunken Daddy tumbled down the stairs.
親父さんが酔っ払って階段から転げ落ちたからなんだ
From that very day this boy has more than had his share.
まさにその日から、この若者は自分の分け前以上のことをした
One of these days I'm gonna knock him off of his throne,
いまに見てろよ、このおれが
あいつを王座から追いやってくれるからな
'Cause he's gotta house in the country,
だって、あの野郎、田舎に別荘を持ってるんだぜ
And a big sports car.
それに、
すっげえスポーツカーも
He's gotta house in the country,
あいつは田園の別荘を手に入れた
And a big sports car.
それに、すっげえスポーツカーも





And he's oh so smug, oh yeah.
しかも、あいつは
えらくおつにすました気取り屋ときてる
あゝ、そうなんだよ
He's got everything he needs,
必要なものは何でも手に入れた
'Cause he's gotta house in the country
何しろ田舎に別荘を持ってるんだからな
Where he likes to spend his weekend days.
あいつはそこで週末を過ごそうってってわけだ
Oh yeah, oh yeah, well all right
あゝ、そうさ、あゝ、そうさ、
結構なことじゃないか




But he's socially dead, oh yeah,
だけど、あいつは
付き合い上は死んでるみたいなものなんだ
あゝ、そうなのさ
And it don't matter much to him,
しかも、あいつには
そんなことはさしてどうでもいいことだ
'Cause he's gotta house in the country
だって、あいつには田園地帯の別荘があるんだから
Where he likes to spend his weekend days.
ヤツはそこで週末を過ごそうってわけなのだから
Oh yeah, oh yeah, well all right
あゝ、そうさ、あゝ、そうさ、
結構じゃないか




House in the country !
田園地帯の家だぜ!
House in the country !
田舎の別荘だぞ!
House in the country !
カントリー・コテージだ !
House in the country!
田園の別荘だぜい!




Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞




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1週間まえの4月11日のエントリーで


Then somewhere near Salinas, Lord, I let her slip away,
Lookin' for the home I hope she'll find.
それから、どこかサリナスの近くで、
神様、おれは彼女を行かせてしまった
家を探すのだというが、
うまく見つかるといいおれは願ってる



・・・・とボビー・マッギーが連れの男をあとにしてクルマを降りてから、
このダイアリーはけっこう不動産屋(?)になっていますネ。気がつきましたか?


扱った物件も


・「郊外のセミデタッチド・ハウス」(「ミスター・ジェームズの花嫁さん」)
・「ジャックが建てた家」(「ハウス・ザット・ジャック・ビルト」)
・「丘の上の豪邸」(「恋はハートで」)
・「プー横丁の家」(「プー横丁の家」)
・「セント・ジョンズウッドの大邸宅」(「プレー・ウィズ・ファイア」)


そして、きょうの物件は、「ハウス・イン・ザ・カントリー」。
地方都市の新興大学を出た人間が(規模は格段と小さいながらも)(かつての貴族を思わせる)贅沢な生活をできるようになったイギリスの1960年代中頃。
第二次大戦後、(戦勝国でありながらも)厳しい耐乏生活を耐え抜き、戦後復興期の物資の配給制度を廃絶し、減税もし、ポンドの切り下げも行い、1951年から1963年までの間にイギリスの平均賃金は72%の上昇を記録し、物価の上昇を45%に抑え、イギリスはじまって以来の未曾有の消費時代が到来した。
自動車の売上も300万台から700万台となり、
テレビも(1951年の)34万個が(1963年には)1300万個に増加し、
一方、労働時間も(1951年の)週48時間から(1961年に)42時間に短縮。
若い独身の下層労働者層の可処分所得、すなわち購買力は飛躍的に増大した。
「モッズ」と呼ばれた若者たちがファッションや音楽やイタリア製のスクーターや(スピードと呼ばれる)覚醒剤にふんだんにカネを使い込んだ時代である。


こうした「スウィンギング・ロンドン」と呼ばれた時代の好況にうかがえるあるものをレイ・デイヴィス(当時22歳!)が例によって敏感な感受性で確実にキャッチしたのがこの佳曲「ハウス・イン・ザ・カントリー」*1だ。
そして、レイ・デイヴィスは(同じアルバムでこの歌の内容を)もう一度引っくり返してみせている。

それが次に紹介する曲だ。

*1:プリティスィングズのフィル・メイはもっと「オレたちとヤツら」の図式が際立つ辛らつな歌詞を書き加えて歌っている