Trouble Every Day

Words & Music by Frank Zappa.
(1966年発表)








(原題直訳 「問題が毎日」) *1








歌詞は、次のURLから、
http://www.lyrics007.com/The%20Mothers%20Of%20Invention%20Lyrics/Trouble%20Every%20Day%20Lyrics.html









From The Mothers Of Invention album "Freak Out!".  *2

名作アルバム度 ☆☆☆☆☆



アルバム「フリーク・アウト!」(マザーズ・オヴ・インヴェンション)より






Also on the Frank Zappa & The Mothers live album, "Roxy & Elsewhere", *3

名作アルバム度 ☆☆☆



アルバム「ロキシー&エルスウェア」(フランク・ザッパ&ザ・マザーズ)より








Also on the Frank Zappa live album, "You Can't Do That On Stage Anymore, Vol.5". *4
名作アルバム度 ☆☆☆



アルバム「オン・ステージ VOL.5」(フランク・ザッパ)より









Also on the Mick Farren album, "Vampires Stole My Lunch Money".

名作アルバム度 ☆☆



(ミック・ファーレン)より











名曲度 ☆☆












邦題「トラブル・エヴリィ・デイ」 (マザーズ・オブ・インヴェンション)











Well, I'm about to get upset
まったくなあ、おれはアタマに来そうだぜ
From watchin' my TV
うちでTVを見てたんだ
Been checkin' out the news
いつもながら、
ちゃんとニュースを見ておこうってことでな
Until my eyeballs fail to see
せめて目ン玉が見えてるうちはな。
I mean they say that every day
Is just another rotten mess
要するに、みんな、言ってるじゃないか
毎日、毎日が腐りきったメチャクチャな世の中だって
And when it's gonna change, my friends
そして、
いつになったら、それが変わるものかって、なあ、友よ
Is anybody's guess
誰もが思ってることなんだ




So I'm watchin' and I'm waitin'
ってなわけで、おれは見てるんだ、
そして、おれは待ってるんだ
Hopin' for the best
いちばんいいようになるのを願いながらな
Even think I'll go to prayin'
おれは祈りに行こうかとも思ってるんだぜ
Every time I hear 'em sayin'
やつらがいつもこう言うのを耳にするたびにな
That there's no way to delay
まるで打つ手はありませんね
That trouble comin' every day
問題が 連日、起こってくるのに歯止めをかけるのに
No way to delay That trouble comin' every day
まるで打つ手はありませんね、事件が毎日起こって来るのを食い止めるには




Wednesday I watched the riot
水曜日、おれは暴動を見てたんだ
I seen the cops out on the stree
警官たちが街路に出てるのをおれは見た
Watched 'em throwin' rocks and stuff
And chokin' in the heat
みんなが石だの何だのを投げつけて
熱気に息を詰まらせてるのを見てたんだ
Listened to reports
報道を聞いてたら
About the whisky passin' 'round
ウィスキーが回し飲みされてたんだとか
Seen the smoke and fire
煙や火が見えたよ
And the market burnin' down
そう、マーケットが焼き討ちされてたんだ
Watched while everybody on his street would take a turn
見てるうちに、路上の連中が次々に
To stomp and smash and bash and crash
踏んづけたり、叩き潰したり、打ちつけたり、ぶつけたり
And slash and bust and burn
なぎ倒したり、ブチ破ったり、燃やしたりしはじめた




And I'm watchin' and I'm waitin'
そう、おれは見てるんだ、そして、おれは待っている
Hopin' for the best
いちばんいいかたちになるように願いながら
Even think I'll go to prayin'
おれはお祈りに行くことだって考えてるんだ
Every time I hear 'em sayin'
あいつらがいつもこう言うのを耳にするたびにな
That there's no way to delay
どうにも手のほどこしようがありません
That trouble comin' every day
騒ぎが毎日起こっているのに歯止めをかけるには
No way to delay
どうにも手のつけようがないのです
That trouble comin' every day
この騒乱が連日、起こっているのを食い止めるのは




Well, you can cool it,
なあ、消しちまってもいいんだぜ
You can heat it
ずっと見てたってかまわない
'Cause, baby, I don't need it
だってよ、ベイビー、おれにはこんなもん要らねえんだからなよ
Take your TV tube and eat it
おまえのとこのテレビをつけて、かじりついてるがいいぜ
'N all that phony stuff on sports
それで、いろんなスポーツのいい加減で適当な話とか
'N all those unconfirmed reports
あんまり確かとは思えないあれやこれやの報道とか
You know I watched that rotten box
わかるだろう、おれはその腐れ箱を見てたんだ
Until my head began to hurt
おれのこのアタマがイカれはじめてくるまでな
From checkin' out the way
あいつらの言い草を聞いてると
Every newsmen say they get the dirt
ニュース番組のやつらは、
どいつも、特ダネをモノにするのは、自分たちが
Before the guys on channel so-and-so
どこそこのチャンネルの連中よりも先だという
And further they assert
そして、やつらはさらにこう言ってる
That any show they'll interrupt
To bring you news if it comes up
ニュースが入れば、自分たちはどんな番組も中断して、
それを皆さんにお伝えしますと。
They say that if the place blows up
あいつらが言うには、もしも、問題の場所があれば
They'll be the first to tell
自分たちこそが、いちばん最初にそれを伝えるのだと
Because the boys they got downtown
なぜなら、やつらはダウンタウンに若い連中を送り込んでいて
Are workin' hard and doin' swell,
その連中が一生懸命しっかり頑張ってるからだという
And if anybody gets the news
だから、もし、その中の誰かがニュースをゲットしたら
Before it hits the street,
街でそれが伝わるよりも先に
They say that no one blabs it faster
誰よりも早くお伝えしますとやつらは言う
Their coverage can't be beat
彼らの取材力は無敵で
And if another woman driver
だから、もし、どこかの女のドライバーが
Gets machine-gunned from her seat
クルマに乗ったままマシンガンで蜂の巣にでもされようものなら
They'll send some joker with a brownie
やつらはカメラを手にしたジョーカーを差し向けて
And you'll see it all complete
それで、あんたら みんなは、
しっかり そのすべてを目にするってことになるわけさ




So I'm watchin' and I'm waitin'
だから、おれは見てるんだ
そして、おれは待っている
Hopin' for the best
いちばんいいかたちになるのを願って
Even think I'll go to prayin'
おれは祈りに行くこととまで思ってるんだぜ
Every time I hear 'em sayin'
いつも、やつらがこう言うのを聞くたびによ
That there's no way to delay
どうにも手の打ちようがありません
That trouble comin' every day
歯止めなしに騒ぎが連日 起こって来ます
No way to delay
食い止めるにも、どうにも手の打ちようがないのです
That trouble comin' every day
事件が毎日起こって来ているのです




(spoken)
(セリフ)


"Hey, you know something, people
「なあ、あんたにちゃんと言っといてやろうか、皆さん
I'm not black
このおれは黒人じゃないんだぜ
But there's a whole lots a times
けどよ、わりとしょっちゅう
I wish I could say I'm not white "
おれは自分が白人じゃないんだぜって言えたらいいと思ってるんだ」




Well, I seen the fires burnin'
そうさ、おれは火が燃え上がってるのを見た
And the local people turnin'
地域の住人たちが押し寄せてるんだ
On the merchants and the shops
商人たちや店舗にな
Who used to sell their brooms and mops
いつもなら、箒とかモップとか、
And every other household item
あと、いろんな日用品の一切を売ってるところにだ
Watched the mob just turn and bite 'em
暴徒たちがそういうとこに向かってまさに噛みついてくのを見てたんだ
And they say it served 'em right
そして、やつらが言うには、それは当然の報いなのだと
Because a few of them are white,
なぜなら、その中の何人かが白人だったからだ
And it's the same across the nation
そして、これは全国どこだって同じなんだぜ
Black and white discrimination
黒人と白人の差別ってやつはな
They're yellin', "You can't understand me!"
連中が叫んでいるぜ、
「貴様らに、おれのことなどわかるもんか」と
And all the other jerks they hand me
そして、べつのアホどもが みんなしてこのおれに届けてよこすんだ
In the papers and TV
新聞だのTVだのを通じて
'N all that mass stupidity
そして、あのありとあらゆる衆愚性、集団的愚行ってやつでな
That seems to grow more every day
見たとこ、毎日、どんどんそれが大きくなってきているようだぜ
Each time you hear some nitwit say
He wants to go and do you in
どっかのうすのろが、
自分も行っておまえらをブッ殺してやりたいぜと口にするのを耳にするたびにな
Because the color of your skin
Just don't appeal to him
肌の色はもはやどうでもよくなっているのだ
No matter if it's black or white
それが黒だろうと白だろうと
Because he's out for blood tonight
とにかく、そいつは、今夜、流血を求めてやって来てるのだ




You know we gotta sit around at home
わかるだろ、
おれたちは家で大人しくしてればいいんだ
And watch this thing begin
それで、騒ぎがはじまるのを見てればいい
But I bet there won't be many left
To see it really end
だけど、おれは、賭けてもいいが
それが本当に終わるまで見てようなんてやつは
そんなに多くはいないだろうよ
'Cause the fire in the street
だって、街頭のあの火は
Ain't like the fire in my heart
おれのこのハートの中にある火とは違うんだ
And in the eyes of all these people
それにあの連中みんなの目の中にあるそれともな
Don't you know that this could start
On any street in any town
あんたらだって、わかってるんだろ
こいつは、どこの町のどの通りでもおっぱじまりかねないことなんだぜ
In any state if any clown
どこの国だって、どっかの道化が
Decides that now's the time to fight
いまこそ戦うときだと意を決っすればな
For some ideal he thinks is right
その人間が正しいと思う理想のためにだ
And if a million more agree
それで、さらにもっと物凄い数の人間が賛同すれば
There ain't no great society
そこには、もう、ご立派な社会なんてもんはありゃしない
As it applies to you and me
あんたらやこのおれにもそれがあてはまるわけだから
Our country isn't free
おれたちのこの国は自由なんかじゃない
And the law refuses to see
そして法律は目を向けることを拒んでいる
If all that you can ever be
もしも、あんたらになれるものが、せいぜい
Is just a lousy janitor
つまらない警備員みたいなもんだとしたら
Unless your uncle owns a store
親戚に店のオーナーでもいないかぎりは
You know that five in every four
わかるだろう、
4人のうちの5人は
Won't amount to nothin' more
Than watch the rats go across the floor
早い話が
ネズミどもが床を横切るのを見てるぐらいの
ろくでもないものにしかなりゃしないんだ
And make up songs about being poor
それで、貧乏だってことについての歌でも作り上げるんだな





(spoken)
(掛け声)


"Blow you harmonica, son!"  *5
「ほらよ、ハモニカを鳴らせい」











Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞 101210










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作者のザッパは、
TVで報道される市内の暴動を見て、
まだ、その暴動がつづいているさなかに
きょうのこの歌を書いたというが、
わたしたちがこの歌で注目すべきは、
TVで報道されるその人種暴動のみならず、
それを報道するTVというメディアにもその歌の題材を見い出し、
なおかつ、
そのTV報道に触れる作者自身を含めたアメリカ=人民(さらには人類そのもの)
に潜在する「衆愚」性(歌の中のコトバを引けば「a mass stupidty」)にまで言及してみせているという、
すぐれて1960年代的な、
また(当時の)現代芸術(の最先端であった一連の「コンセプチュアル・アート」)にも通じるアプローチを見せていることだ。
ザッパのこうしたメディアへの意識は、
きょうのこの歌ではストレートなブルース・ロックで演奏されている自分たちの音楽のその媒体性にも向けられ、
マザーズというグループが、
ひときわ音楽の様式性ということに意識的であるにとどまらず、
なおかつ、自己言及的にその様式=スタイルそのものを操作することで
それを手法的に「語り(=narrative)」の枠に取り込み、
そうしたかたちで音楽表現の枠を広げ、
引いては「ロック・ミュージック」とされるものの地平を
レコーディング・スタジオにおいても、またステージ上のパフォーマンスにおいても
大きく拡大し、拡張していったことに
わたしたちは感謝するだけでなく、それに応えていかなくてはならないと思う。



また、きょうのこの歌は、実際の事件を扱った歌として(例えば)ボブ・ディランの「誰がデイヴィー・ムーアを殺したか」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20071020 などとともにロック・ソングにおける「マスメディア」の問題に触れた歌として、さらにはまたロック的な「知」性のありかたがよく顕れた歌として面白いレクチャー(つまり「問=題」の発掘としての「読み=解き」)ができそう歌のひとつとして特筆すべき歌のひとつであるだろう。(この項、JLMCPへw、ジョン・レノン・メモリアル・カレッジ・オヴ/フォー・ピース)










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【Years Ago−Go!】








(1年前のエントリーを Playback♪)







・「ロックン・ロール」 (レッド・ツェッペリン
  (Rock And Roll)
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20070511








(2年前のエントリーも Playback♪)









・「ゴールドフィンガーのテーマ」 (シャーリー・バッシー)
  (Goldfinger)
・「ダイアモンドは永遠に」 (シャーリー・バッシー)
  (Diamonds Are Forever)
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060511








(3年前のエントリーも Playback♪)








・「スピニング・ホイール」 (ブラッド・スウェット&ティアーズ)
  (Spinning Wheel)
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050511

*1:「問題が毎日」とするのは、ごく一般的な考え方で、とくに問題があるわけではないが、より具体的には、また直接的には、きょうのこのタイトルを日本語にするなら「騒ぎが毎日」とか「騒乱が連日」とするのがよいのかもしれない。というのも、この歌は(お聴きになれば、だいたいのところがおわかりになるだろうとおり、)1965年の8月にロサンジェルス市内南部で発生し、6日間にわたって繰り広げられた(死者34人、負傷者1032人、逮捕者3438人を出し、1万2500人のカリフォルニア州軍(=州兵)が出動し、3万人とされる黒人が加わったとされる被害総額2億ドルと推定される)(俗に(現場とばったロス市内のその区域の名前から)「1965年のワット暴動」と呼ばれる)大規模な人種暴動のさなかにつくられた歌であることからだ。

*2:このアルバムからは、すでに(彼らマザーズ・オヴ・インヴェンションの最初のシングルであるきょうのこの歌のB面の曲でもあった)「フー・アー・ザ・ブレイン・ポリス?」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060306 がここで紹介されていますので、よろしければどうぞ♪

*3:このアルバムでは上記アルバムのスタジオ録音のブルース・ロック調とは異なるアプローチで演奏され(細かな歌詞の異同は未確認ながらも)ザッパ自身のヴォーカルで よりバージョン・アップした演奏となっており、タイトルもまた「More Trouble Every Day」とユーモラスに(?)改められている。

*4:ザッパの死後1992年になって発表されたライブ音源で、きょうのこの歌はマザーズ・オブ・インヴェンション時代の演奏で収録されている。

*5:言うまでもなく、この声につづいてハモニカのソロが聞こえてくる。