Hard Times In New York Town

Words & Music by Bob Dylan,
(1961年発表) *1






(原題直訳 「ニューヨークの町での厳しい時代」)






歌詞は、次のURLから、 *2
http://www.bobdylanlyrics.net/hatimeny.html







From the Bob Dylan compilation,
"The Bootleg Series Volumes 1-3 (Rare & Unreleased) 1961-1991". *3
推奨アルバム度 ☆☆☆☆☆



ボックス・セット「ブートレッグ・シリーズ 1〜3集」(ボブ・ディラン)より






名曲度 ☆☆






邦題「辛いニューヨーク」 (ボブ・ディラン








Come you ladies and you gentlemen, *4
さあ、淑女の皆さん、そして紳士の皆さん
A-listen to my song.
ぼくの歌を聴いとくれ
Sing it to you right,
あなたがたに向けて歌うんですよ、この歌を
But you might think it's wrong.
皆さんはこれは違うとお思いになるかもしれませんが
Just a little glimpse of a story I'll tell
ちょっと、まあ、このぼくが語るお話にチラッとお耳をお貸しください
"Bout an East Coast city that you all know well.
あなたがたがよくご存知の東海岸のある都市にまつわるものです
It's hard times in the city,
それは都会でのしんどい暮らし
Livin' down in New York town.
ニューヨークというこの町に暮らすこと




Old New York City is a friendly old town,
古きニューヨークは人当たりのいい古い町
From Washington Heights to Harlem on down. *5
ワシントン・ハイツから下ってハーレムまで
There's a-mighty many people all millin' all around,
そこには、きわめてたくさんの人間がひしめき合っている
They'll kick you when you're up
あんたが上り調子なら、人はあんたの足を引っ張り
And knock you when you're down.
また、あんたがくたばってれば踏みつける
It's hard times in the city,
それが都会の厳しい暮らし
Livin' down in New York town.
このニューヨークの町に暮らすこと




It's a mighty long ways from the Golden Gate *6
To Rockefeller Plaza n' the Empire State.
ゴールデン・ゲート・ブリッジから
ロックフェラー広場やエンパイア・ステート・ビルディングまでは
たいそう長い道のりさ
Mister Rockefeller sets up as high as a bird,
ロックフェラー氏は鳥のように空高いところまで身を立てた
Old Mister Empire never says a word.
老エンパイア氏は一言たりともけっして口をきいてくれない
It's hard times from the country,
それは田舎から出て来た者の苦難の時、
Livin' down in New York town.
このニューヨークの町に生きている




Well, it's up in the mornin'
あらま、もう朝だ
Tryin' to find a job of work.
仕事を見つけることをしなくては
Stand in one place till your feet begin to hurt.
脚が痛くなるほどにひとつところに立っている
If you got a lot o' money you can make yourself merry,
人はしこたまおカネがあれば、自分を陽気にできるもの
If you only got a nickel,
もしも、あんたに5セント玉1個しかないのなら
It's the Staten Island Ferry. *7
スタッテン島のフェリーだな
And it's hard times from the city,
そう、それが都会のしんどい暮らしというものだ
Livin' down in New York town.
このニューヨークって町に暮らしてる




Mister Hudson come a-sailin' down the stream *8
ハドソンさんが流れに乗って船で来る
And old Mister Minuet paid for his dream. *9
そして、老ミネウィットさんは自分の夢の代償を支払った
Bought your city on a one-way track,
一方通行の流れの上に自分の街を買ったんだ
'F I had my way I'd sell it right back.
ぼくに手立てがあるのなら、ぼくならすぐに売っ払うがな
And it's hard times in the city,
そう、それが都会の厳しい暮らしというものだ
Livin' down in New York town.
ニューヨークというこの町に暮らしてる




I'll take all the smog in Cal-i-for-ne-ay,
ぼくはカリフォルナイアーのスモッグ全部を我慢しよう
'N' every bit of dust in the Oklahoma plains,
そしてオクラホマの大平原のあの粉塵の一粒一粒にも
'N' the dirt in the caves of the Rocky Mountain mines.
それにロッキー山脈の鉱山の抗道の土砂にだって
It's all much cleaner than the New York kind.
どれもずっとずっとこのニューヨークのよりははるかに汚れがましなもの
And it's hard times in the city,
そう、これが都会のしんどい暮らしというものさ
Livin' down in New York town.
このニューヨークの町で暮らしてる




So all you newsy people,
ということで、あなたがた、
おしゃべり好きな皆々さま
Spread the news around,
あちこちにニュースを広めてくだされ
You c'n listen to m' story,
さあさあ、このぼくの身の上話をおひとつどうぞ
listen to m' song.
おいらのこの歌を聴いとくれ
You c'n step on my name,
さあさあ、
ぼくの名前をさかなにしてくれてかまいませんよ
You c'n try 'n' get me beat,
さあさあ、このぼくをなぶり者にしたってかまいません
When I leave New York,
このぼくがニューヨークを去るときには
I'll be standin' on my feet.
ぼくは自分の脚で立っているでしょう
And it's hard times from the city,
そう、これは都会での試練の時
Livin' down in New York town
このニューヨークの町で暮らすのは








Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞 032110










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このニューヨーク特集をはじめて、そろそろ3ヶ月になろうとしているが、
わたしは、これをはじめてかなり早い時期からひとつの失敗に気づいている。
きょうのこの歌もその失敗の片割れである。
歌をお聴きになればわかるとおり、
これは「特集」のごく初めのうちに載せておくべき歌なのです。
そして、ごく初めのうち(はじめて3日目)に掲載した
「ニューヨークを語る」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20070911 をこそ、
ここに持って来るべきだったのです。
当初のラフなプランでもそのつもりでいたのです、
ところが、まったくの凡ミス、ボーンヘッドから、
早々と「ニューヨークを語る」を載せてしまい、
きょうのこの「辛いニューヨーク」が手持ちのカードとして残ってしまった。
今回は、ファームに下りてもらって、また、べつの試合で登場してもらおう・・・・と、
そう思っていたのだが、
おりしも、御齢69歳(音オンと詩ロック歳♪)となられたボブ・ディラン氏が来日、
本日(2010年3月21日)より、東京・ZEPP TOKYOでコンサートをなされる・・・・
それに敬意を表する気持ちで、
あえて(ここでの流れをいささか崩すかたちとしながらも)
きょうのこの歌をオフィシャルなかたちで掲載することとしました。


したがって、本来のプランであれば、きょうのこの日付には(ひとつの流れとして)
ここには「Talkin' New York」(邦題「ニューヨークを語る」)があるべきで、
この「Hard Times In New York Town」は、
9月11日(おゝ、何という日付!)に位置して然るべき歌なのです。
というわけで、わたしのこの失敗には
(何だかもしかすると)「9・11」というあの惨劇が何らかのかたちで波動を及ぼしたがゆえの乱調によるミスだったのかもしれません。といま思いました。






☆来日中のボブ・ディラン(2010年3月11日〜29日)、
日本公演曲目(大阪、名古屋、東京)のうち本サイトにおける既紹介曲は、




・「戦争の親玉」Masters Of War
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060301


・「今日も激しい雨が」A Hard Rain's A-Gonna Fall
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050615


・「くよくよするなよ」Don't Think Twice, It's All Right
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20061125


・「時代は変わる」The Times They Are A-Changin'
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050219


・「ハッティ・キャロルの寂しい死」The Lonesome Death Of Hattie Carro
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/ll20050507#p2


・「ミスター・タンブリン・マン」Mr.Tambourine Man
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20041217


・「イッツ・アール・オーバー・ナウ、ベイビー・ブルー」
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20061127


・「ライク・ア・ローリング・ストーン」Like A Rolling Stone
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050326


・「親指トムのブルースのように」Just Like Tom Thumb's Blues

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050909


・「ジャスト・ライク・ア・ウーマン」Just Like A Woman
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050216


・「やせっぽちのバラード」Ballad of A Thin Man
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050316


・「廃墟の街」Desolation Row
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050108


・「雨の日の女」Rainy Day Women #12 & 35
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050212


・「メンフィス・ブルース・アゲイン」Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050103


・「見張り塔からずっと」All Along The Watch Tower
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050116


・「アイル・ビ・ユア・ベイビー、トゥナイト」I'll Be Your Baby Tonight
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050116#p3


・「トゥナイト・アイル・ビ・ステイング・ウィズ・ユウ」Tonight I'll Be Staying Here With You
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050116#p2


・「いつまでも若く」Forever Young
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060220






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【Years Ago−Go!】






(1年前のエントリーを Playback♪)






・「ワイルド・ハニー」 (ビーチ・ボーイズ

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20061203









(2年前のエントリーも Playback♪)






・「イエスタデイズ・ペイパー」 (ローリング・ストーンズ

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20051203

*1:俗に「ミネソタ・ホテル・テープ」と呼ばれる半ば私的な非公式なモノラル録音で、同年11月のニューヨークでのデビュー・アルバムのレコーディング後の12月に録音されたもので、古くからのフォークソングやそれに基づくオリジナルなど26曲が入っており、ディランのブートレッグの中でもひときわ資料的価値も高く、翌1963年3月にリリースされるデビュー・アルバムとの対比もさかんに行われている。きょうのこの歌は、そのテープから1991年になって下記のCD3枚組のボックス・セット・コンピレーションの冒頭の1曲として初めてオフィシャルなかたちで発表された。

*2:お聴きになれば、すぐにお気づきになるでしょうが、この歌詞はディランが歌っているものとはかなり違う。ワン・ヴァース(一段落)丸ごと欠け落ちてさえいる。しかし、これは(これまでのディランの歌にはよくあるように(1974年にその初版が刊行された)ディランの詩画集「Writings and Drawings」に収録された公式の歌詞で、w.w.w. すなわちインターネット上で随分探したのだが、トラックで歌われたままの歌詞は(わたしにはいっさい)見つけられなかった。けっして聴き取りにくいものでもないのだが、どこも揃いも揃って同じ公式の歌詞を載せている。(そして、これまでけっこう信頼するに足るサイトから歌詞がいっさい抹消されたり、サイトごと消滅しているところなどもあり、本能に従い(!)敢えて危険を冒さずに世に準ずる(すなわち「順」ずることにしました。)

*3:このアルバムからは、すでに「デイビー・ムーアを殺したのは誰?」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20071020 、「船が入ってくるとき」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060701 、「時代は変る」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050219 、「さらば、アンジェリータ」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20061111 、「出ていくのなら」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20061119 、「ライク・ア・ローリング・ストーン」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050326 、「アイ・シャル・ビー・リリースト」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060117 、「イフ・ナット・フォー・ユー」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20041221 、「ブルーにこんがらがって」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050530 、「テル・ミー」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050202#p2 がここで紹介されていますので、よろしければアルバムのお伴にどうぞ♪

*4:歌のはじまりのこの呼びかけは、さしづめ「♪ おーいで皆さん、聞いとくれぇー」という路頭の吟遊詩人以来のひとつの民謡の「定型」といったものだろう。

*5:現代ニューヨーク市からすれば、これはきわめて狭い地域でしかないが、おそらく、まだ、ニューヨークがオランダ領であった17世紀のころのことだろう。敢えてこう歌ってみることで(おそらく若き(当時、弱冠20歳の)ディランは)この歌を純粋にトラディショナルな(すなわち民間伝承の)民謡(ルビ=フォークソング)として偽装しているように聴こえてきますね。

*6:言わずと知れたサンフランシスコの「金門橋」ですね。

*7:スタッテン島は「自由の女神」像がある島。

*8:17世紀初めのイギリスの海洋探検家、西回りのアジア航路を探索する中で(のちに彼の名前がつけられることになった)ニューヨークのハドソン河を探検した。

*9:ニューヨークがまだニューネザランドと呼ばれたオランダの植民地時代にマンハッタン島をインディアンから超極安価格で買い取ったオランダの現地総督のピーター・ミネウィット。