It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding)

Words & Music by Bob Dylan.
(1965年発表)







(原題直訳 「大丈夫だよ、ママ (ぼくは血を流しているだけなんだ)」)







歌詞は、次のURLから、
http://www.seeklyrics.com/lyrics/BOB-DYLAN/It-s-Alright-Ma-I-m-Only-Bleeding.html






From Bob Dylan album, "Bring It All Back Home". *1

名作アルバム度 ☆☆☆☆☆



「ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム」 (ボブ・ディラン





Also on the Bob Dylan live album,
"Bob Dylan Live 1964 Concert at Philharmonic Hall". *2
名作アルバム度 ☆☆☆☆☆



ボブ・ディラン









名曲度 ☆☆☆☆☆








邦題「イッツ・オールライト・マ」 (ボブ・ディラン









Darkness at the break of noon
正午がはじまるその闇が
Shadows even the silver spoon
The handmade blade, the child's balloon
銀の匙も手作りの刃も、どちらも同じようなものにしてしまい、
子供の風船が
Eclipses both the sun and moon
太陽と月の両方を蝕し、隠してしまう
To understand you know too soon
理解するためには、
人はあまりに早く知ってしまう
There is no sense in trying.
やってみたって意味はないんだ




Pointed threats, they bluff with scorn
突きつけられた脅威、
それは嘲笑とともにハッタリをかましてる
Suicide remarks are torn
自殺者の言い分は引きちぎられてしまい
From the fool's gold mouthpiece
The hollow horn
Plays wasted words proved to warn
道化が奏でる虚ろな喇叭の黄金のマウスピースからは
空費されたまっとうなる警告の言葉が
That he's not busy being born
生まれつつあることに忙しくない者は
Is busy dying.
せわしなく死んでいくのだ、と




Temptation's page flies out the door
誘惑のページがドアを出て飛んでいく
You follow, find yourself at war
きみは追いかけて、戦争のさなかにいる自分を見い出す
Watch waterfalls of pity roar
憐れみの滝が唸りを上げるのを見つめ
You feel to moan but unlike before
きみは呻き出したい気持ちになるが、
以前とは違って
You discover
きみは発見するのだ
That you'd just be one more person crying.
自分も、また、
ただの泣いている人間のひとりでしかなかったことを




So don't fear
だから、恐がることはないんだ
If you hear
A foreign sound to you ear
あなたの耳には縁遠い響きが
もしも、聞こえてきたとしても
It's alright, Ma, I'm only sighing.
なんでもないんだ、ママ、
ぼくが溜息ついているだけなんだ




As some warn victory, some downfall
誰かが勝利を通告する中で、誰かが失墜し
Private reasons great or small
私的な理由は、
ご立派なものであれ、卑小なものであれ、
Can be seen in the eyes of those that call
こう呼ばわる者たちの目に見えてくる
To make all that should be killed to crawl
殺さるべき者どもは
すべて、のたうち、這いずらせてしまえと
While others say don't hate nothing at all
Except hatred.
その一方で、また べつの者たちが言う
いっさい何ものも憎悪してはならぬ、
ただし憎しみだけはまたべつだ、と




Disillusioned words like bullets bark
幻滅した言葉たちが弾丸のように吠えたてる
As human gods aim for their marks
現人神たちが自分たちの功績を企む中で
Made everything from toy guns that sparks
To flesh-colored Christs that glow in the dark
火花が出るおもちゃの銃から
闇に輝く肉色をした救世主たちに至るまで
あらゆるものがつくり出された
It's easy to see without looking too far
物事をあまり深く見ずに見るのは 容易いことだ
That not much is really sacred.
真に神聖なものなど
そんなにたくさんあるもんじゃない




While preachers preach of evil fates
牧師たちが邪悪な運命を説く一方で
Teachers teach that knowledge waits
教師たちが教えるのは、待ち受けている知識
Can lead to hundred dollar plates
それが100ドルの皿へと人を導くことになるということだ
Goodness hides behind its gates
善というものは、それ自らの入り口の向こうに潜んでいるが
But even the President of the United States
しかし、合衆国大統領といえども
Sometimes must have to stand naked.
ときには裸で立っていなければならなくなるのだ




An' though the rules of the road have been lodged
そして道路上の諸規則は申し立てを受けているにもかかわらず
It's only people's games that you got to dodge
人がうまくかわしていかなければいけないのは、
唯一、人間どものさまざまなゲームなのだ
And it's alright, Ma, I can make it.
そう、大丈夫だよ、ママ、ぼくはしっかりやれるよ




Advertising signs that con
人をペテンにかける宣伝広告
You into thinking you're the one
それに仕向けられて自分こそが
That can do what's never been done
けっして為されなかったことができる人間であり
That you can win what's never been won
けっして勝ちとられることのなったものを
勝ちとり得る者だと思うようになってくる
Meantime life outside goes on
そうしている間にも、外側の人生はつづいていく
All around you.
あなたたちのまわりの いたるところで




You loose yourself, you reappear
きみは自分を解き放ち、自分を取り戻す
You suddenly find you got nothing to fear
きみは、突如として
何ものも自分には恐れるものがないことに気づく
Alone you stand without nobody near
誰ひとり そばにいる者もなく
きみは、ひとりで立っている
When a tremblin' distant voice, unclear
遠くの方から震える声が、不明瞭に
Startles your sleeping ears to hear
きみの眠れる耳を刺激して、聞こえるようにしてしまう
That somebody thinks they really found you.
たしかに世間がおまえのことを見つけたのだと
誰かが考えていることを




A question in your nerves is lit
おまえの神経の中で疑問に火が灯される
Yet you know there is no answer fit
To satisfy insure you not to quit
だからといって、おまえには、
自分が辞めないでいるための満足のいく保証となるような
ピッタリくる答えが、そこにはないのはわかっている
To keep it in your mind and not forget
いつも自分の心の中にとどめておき、忘れずにいるものが
That it is not he or she or them or it
That you belong to.
そう、おまえが属しているのは、
それは彼でもなく、彼女でもなく、彼らでもなく、
また、それ でもないのだ




Although the masters make the rules
For the wise men and the fools
主人たる勝者たちが
賢い人間たちやバカな人間たちのために
規則というものをつくってやってるわけなのだが、
I got nothing, Ma, to live up to.
ぼくには何にもないんだ、ママ、
生きていくのに従ってくものなどは




For them that must obey authority
That they do not respect in any degree
彼らにしてみれば
これっぽっちも自分たちが心服していないような権威に
服従していかなければならないのだ
Who despite their jobs, their destinies
自分たちの仕事や自分たちの運命に恨みを抱いている者たちは
Speak jealously of them that are free
自由な者たちを妬ましげに語り
Do what they do, just to be *3
Nothing more than something they invest in.
自分たちのやることをやって、
とにかく、これっぽちも、
自分たちがカネをつぎ込んだもの以上には
ならないようにしているのだ




While some unprinciples baptized
To strict party platforms ties
Social clubs in drag disguise
いくつかの非原則的な事柄が
社交界のクラブへと結びついて
怪しげに偽装された厳正なる党規・綱領にしたがって
浄化された一方で、
Outsiders they can freely criticize
部外者たちなら、みんな自由に批判のし放題、
Tell nothing except who to idolize
語るのは、ただひとえに誰を偶像視すべきかというそればかりで
And say God Bless him.
そして、その彼にこそ神の恩寵を と、のたまうのだ




While one who sings with his tongue on fire
自分の舌に火がついたように歌う者は
Gargles in the rat race choir
醜い競争に明け暮れる聖歌隊
ガラガラガラと うがいのような声を上げ
Bent out of shape from society's pliers
世間の責めにすっかり取り乱す一方で
Cares not to come up any higher
これ以上は上に行かないようにと気をつかう
But rather get you down in the hole that he's in.
だが、それだけではおさまらず
自分たちが入り込んでるその穴へと
人のことまで引きずり込んでしまうのだ




But I mean no harm nor put fault
でも、ぼくは、全然、責めるつもりはないし、
責任をなすりつけるつもりもないんだ
On anyone that lives in a vault
大広間で生きているどんな人たちにもね
But it's alright, Ma, if I can't please him.
だけど、大丈夫だよ、ママ、
ぼくがその人のことを喜ばすことができないとしてもね




Old lady judges watch people in pairs
古くからの連れ添いが断罪する 
つがいになった番人どもを *4
Limited in sex, they dare
性別ということに限定されて
その連中は敢えて
To push fake morals, insult and stare
見せかけの道徳というものを後押しして
軽蔑し、そして、眺めやる
While money doesn't talk, it swears
その一方で、カネというものは
つべこべ言わずに、断言してしまうのだ
Obscenity, who really cares
猥褻なんてことを、
本当に気にかけている者がいるのだろうか?
Propaganda, all is phony.
プロパガンダなんて、全部、まやかしだ




While them that defend what they cannot see
With a killer's pride security
自分たちの目には見えもしないものを
また格別の誇りをもって擁護する連中がいる一方で
安全ということが
It blows the minds most bitterly
みんなの頭の中をこの上なく受け入れがたいまでにダメにしてしまっている
For them that think death's honesty
死というものの誠実さを思うような人々にとっては
Won't fall upon them naturally
当然のこと、彼らの上に降り注ぐことはないのだろう
Life sometimes must get lonely.
人生というものは、ときに
寂しくなるほどものでなくてはならないのだ




My eyes collide head on with stuffed graveyards
ぼくの視線が真っ向からぶち当たるのは、
ギッシリと詰め込まれた墓場の上
False goals, I scuff *5
贋の到達点、
ぼくは平手打ちをくらわす
At pettiness which plays so rough
ひどく粗暴に演じられたその了見の狭さにだ
Walk upside down inside my handcuffs
手錠をかけられた身で、ぼくはさかさまになって歩き
Kick my legs to crash it off
そいつを取っ払うために自分の脚をジタバタさせる
Say okay, I've had enough
わかったよと言えばいいのか、ぼくはもうたくさんなんだ
What else can you show me ?
あと何を あんたらは
このぼくにわからせてやろうというんだ?




And if my thought dreams could been seen
そして、もしも、ぼくの思いの中にある夢が
目に見えるものとなったとしたら
They'd probably put my head in a guillotine
おそらく、みんなは、
このぼくの頭を断頭台の上に載せることだろう
But it's alright, Ma, it's life and life only.
だけど、それでいいんだよ、ママ、
これが人生なのさ、
そう、人生でしかないものなんだ










Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞 101809








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やたら、「自由」ということが、頭に浮かんできてしまう歌ですね。
自由であること、についての歌のように わたしには聴こえます。




自由であること、、、
自由でいること、、、、
自由になること、、、、、なろうとすること、、、、、



ボブ・ディランの時代は、
(おそらく、たぶんにディランのせいもあって)
世界が、とりわけ若い世代が
自由
ということに
取り憑かれていた時代
であったように so it seems
見受けられる
きょうのこの歌・・・・・・・・・・・





ところで、
去年あたりからノーベル文学賞(!)の候補者として、
ボブ・ディランの名前が
(何でも博打にしてしまう)イギリスの賭博業者のオッズに登場するようになっているようですねw。
(ディランの歌を文学とすることには、わたしは反対はしませんよ。)







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【Years Ago−Go!】







(1年前のエントリーを Playback♪)





・「愛こそはすべて」 (ビートルズ

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060808








(2年前のエントリーも Playback♪)





・「ババ・オライリー」 (ザ・フー

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050808

*1:このアルバムからは、すでに「マギーズ・ファーム」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050729 、「ラヴ・マイナス・ゼロ/ノー・リミット」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20041214 、「オン・ザ・ロード・アゲイン」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20061117 、「ミスター・タンブリン・マン」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20041217 、「イッツ・オール・オーバー・ナウ、ベイビー・ブルー」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20061127 の5曲がここで紹介されていますので、よろしければアルバムのお伴にどうぞ♪

*2:ほかにもオフィシャルなライヴ・アルバムとして(1974年の)(聴衆が(この歌の名文句を待ち構えていてw示す)反応が嬉しくなる)「Before The Flood」(「偉大なる復活」)と(1979年の)(ソウルフルな女性コーラスつきのバンド演奏による)「At Budokan」(「武道館ライヴ」)でもきょうのこの歌を聴くことができるが、いずれも歌詞を省略したかたちで歌っているものなのでここには記載しない。きょうのこの歌は、やはり(スタジオ録音の)アルバム「ブリング・イット・オール・バック・ホーム」のものがほとんど奇跡(!)と言えるほどに素晴らしい♪

*3:このラインには(公式、非公式の多くのライヴ録音などで確認できるとおり)そのときどきのステージによって数種類の異同がある。(おそらく、なかなか決定的なものに行き着かなかったのかもしれないが)1973年に初版が刊行されたボブ・ディランの(歌詞やライナーノーツなどの文章を(彼の自筆のドローイングとともに)一冊にまとめた)「Writings & Drawings」という書物では、ここのラインが(オフィシャルな音源とは違う)「Cultivate their flowers to be」(自分たちの花となるものを栽培する)というものになっている(のだが、いまのところ、わたしはディランがそのように歌っているのを(すべてを確認したことがあるわけではないが)聴いた覚えはない)。同書には、ほかの歌についてもこれと同様の改変が少なくなく(謎)、そうした(一度も歌われたことのない)歌詞が、web上に転載されて流布している現状はなかなか目に余るというべきことだ。

*4:これはやっぱり(日本盤のCDとかについてる訳詞のように)「年老いた婦人判事たちは人々をつがいと見て・・・・」とするのが正しいのでしょうね。文法的にも

*5:このラインもまた、上述の「Writings & Drawings」では「false gods」(いつわりの神々)というかたちで記載され、web上にはその転載が流布しているが、ディランがそのように歌っている録音は(あらためて確認したわけではないが)(わたしは)いまだ耳にしたことがない。