Casino Boogie

Words & Music by Mick Jagger and Keith Richards.
(1972年発表)






(原題直訳 「賭博場のブギィ」)






歌詞は、次のURLから、
http://www.lyricsdomain.com/18/rolling_stones/casino_boogie.html






From The Rolling Stones album, "Exile On Main Street". *1


名作アルバム度 ☆☆☆☆☆



「メイン・ストリートのならず者」 (ローリングストーンズ)






名曲度 ☆☆







邦題「カジノ・ブギー」 (ローリング・ストーンズ







No good, can't speak,
よくねえぜ、しゃべれんわ
Wind up, no sleep.
興奮するぜ、眠ってねえんだ
Sky diver, insider her,
スカイ・ダイバー、彼女の内面
Skip rope, stunt flyer.
縄跳び、曲芸飛行
Wounded lover,
傷ついた恋人
Got no time on hand.
とりあえず時間が全然ねえんだよ




One last cycle,
最後の一巡
Thrill freak Uncle Sam.
スリル狂いのサムおじさん *2
All for bus'ness, *3
すべてはお仕事のため
Know you'll understand.
諸君のご理解をいただけることはわかってるぜ
Judge and jury
判事と陪審員
Walk out hand in hand.
お手々つないでお出かけだ




Dietrich movies,
ディートリッヒの映画
Close up boogies,
クローズアップでブギィ
Kissing cunt in Cannes.
カンヌでまんこにキッスする
A grotesque music,
グロテスクな音楽
Million dollar sad.
100万ドルの悲しみ
Got no tactics,
作戦なんてありゃせんわ
Got no time on hand.
とりあえず時間がまったくねえんだよ




Left shoe shuffle,
左の靴はシャシャシャとシャッフル
Right shoe muffle,
右の靴はもっそりもっそり 音を消し
Sinking in the sand.
砂地の中に沈んでく
Fade out freedom,
自由がフェイドアウトしていって
Steaming heat on,
湯気を立てて熱気はつづく
Watch that hat in black.
あの黒を着た帽子のやつに気をつけろ、
Finger twitching,
指が引き攣るぜ
Got no time on hand.
手持ちの時間がねえんだよ




Alright, mama, ahh
いいよ、母ちゃん、アハーン







Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞 091909









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(ども、ストーンズがつづいてしまっていますが・・・・・・)





きょうのこの歌を知らないヒトでも
上のこの歌詞を(発音やイントネーションなど気にせずに)声に出して読み上げてみると、
きっと、自然と 何か "言葉遊び" や "語呂合わせ" のような音韻的な面白さに気づくだろう。
そして(映画史的な大女優の名前である「マレーネ・ディートリッヒ」につづくくだりのように)
その語が喚起するイメージの余韻(もしくは持続)に
いつしか自分の内面に何か意味やストーリーの気配や影を感じて、
この歌に興味津々になっている自分に気づくことだろう。


それぞれの語が(音として)どう響き合っているかという音韻的な連鎖については、
それぞれ、皆さんがお気づきになることでしょうから、
ここではイメージの持続について、ひとつだけ指摘しておくといたしましょう。
(ドイツ出身の世界的、歴史的な名女優である)「マルレーネ・ディートリッヒ」から、
(映画の技法のひとつである)「クローズアップ」(接写)、
そして(毎年、名高い国際映画祭が開催される南フランスの)「カンヌ」、
さらに(劇的効果を盛り上げる壮大で大仰な映画音楽を思わせる)「グロテスクな音楽」と、
(それも大いに一役買っているにちがいない、映画の名場面とでもいうべき)「100万ドルの悲しみ」(という価値ある(あるいはカネのかかったw)心情)にいたるまで、
そこには「ディートリッヒ」という女優のイメージにはじまり、
「映画」ということがひとつの "公分母" として(バックのブギィ♪ ノリの演奏とともに)作用している。
そして、お聴きになれば、すぐにわかるとおり、
このくだりはそれまでと違って、イメージの持続を物語るかのように、間を置かずにつづけて歌われている。
そんなちょっとしたことに気づいてみるだけで、この歌の作者であるミック・ジャガーキース・リチャーズのふたりの(おそらく、彼らは言うだろう、「お、わかるよな、そうなんだよ、気づいてくれると思ったぜ」とまるで歌の中で「♪ Know you'll understand」と歌っていたようにw)彼らのその歌作りの現場や 演奏の現場が身近に感じられて、きょうのこの歌がきっと、さらにまた好きになることだろう。


わたしがいつも言っているように歌詞はまず音であり、
歌にあっては、(歌詞がまず)音=楽なのだということ。
その言葉の音楽の響きから(作詞=作曲というよりも)「歌作り」(=ソングライティング)という作業は多方向へのひろがりや乱反射を起こしながら、
ひとつの "かたち" を(追い、つかみ)求める作り手たちによって「歌」になっていく。
その意味では、きょうのこの歌は(ある意味で)出来損ないの歌と言えるかもしれない(?)。つまり、もっと作り込むことだってできるその痕跡がこの歌には随所に残っているからだ。 *4
たとえば、同じストーンズの最高傑作のひとつである「ブラウン・シュガー」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20061207などは、
まさに歌詞を織り成す言葉のその個々の音の響きと、作り手たちの共同作業によって、
作者たちも、そして言葉たちも思いもよらぬ「歌」が(「歌う」という「歌」のその現場で)立ち表れて(いや、むしろ「顕=現」していると言うべきほどの)すばらしい仕上がり(高度な完成度を見せている)そのいい例となっている。
ボブ・ディランの歌に「ぼくが傑作を描くとき」When I Paint My Masterpiece という歌があるけれどもw、ローリング・ストーンズのその「ブラウン・シュガー」という名作、傑作には、まるで名画と称される絵画にその絵筆のひと筆ひと筆のタッチを見ることができるように歌の冒頭から見事な歌詞の(言葉の)響きが「歌」となって圧倒的に聴く者たちの耳に聞こえ、わたしたちの内面に(スカイダイバーのようにwink)花咲き、響きわたり、心に(その歌の)何かを着地させるのだが、さながら、それがあたりまえのひとつの "環境" のようになってしまっているため、わたしたちはその言葉の響きの個々のタッチに気づくことはない。なぜなら、それがよい「歌」であり、歌とは、また、そういうものであるからだ。








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【Years Ago−Go!】






(1年前のエントリーを Playback♪)





・「マンチェスターリヴァプール」 (フェラズ)
・「ハロー・リバプール」 (カプリコーン)

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060712









(2年前のエントリーも Playback♪







☆アルバム「ジギー・スターダスト」(デイヴィッド・ボウイ)全曲訳(4)☆




・「スターマン」 (デヴィッド・ボウイ

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050712

*1:このアルバムからは、すでに「ロックス・オフ」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050905 、「スイート・ブラック・エンジェル」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20061208 、「ハッピー」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050308 、「ジュスト・ワナ・シー・ヒズ・フェース」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050612#p2 、「オール・ダウン・ザ・ライン」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20051023 がこちらで紹介されていますので、よろしければどうぞ♪

*2:ここではそのまま「サムおじさん」と訳したが、通常、「Uncle Sam」(=アンクル・サム)は、国家としての「アメリカ」や そのアメリカの連邦政府のお役人のことを指す。

*3:ここって、オイラの耳には、昔から「AlpるとhaVietnam」つまり、「アルファベット」と「ヴェトナム」を強引にくっつけたコトバに聴こえるんですけどw! 間をとって「All for Vietnam」にすると「すべてはベトナムのゆえ」ってコトで通りはいいわなァ。(!?)

*4:まあ、もっと作り込まれていれば、「なんとかブギィ」みたいなタイトルではない、もっとちゃんとしたタイトルがついた歌になっているだろう。