No No Song

Words & Music by Hoyt Axton and David Jackson. *1
(1974年発表)*2






(原題直訳 「だめだめ小唄」w)






歌詞は、次のURLから、
http://www.lyricsdomain.com/18/ringo_starr/no_no_song.html





From the Ringo Starr album, "Goodnight Vienna".


名作アルバム度 ☆☆



「グッドナイト・ウィーン」 (リンゴ・スター







Also on the Hoyt Axton album, "Southbound".


名作アルバム度 ☆☆☆



(ホイト・アクストン)







名曲度 ☆☆







邦題「ノー・ノー・ソング」 (リンゴ・スター








Huh-huh Huh-huh
♪ ハッフー、ハッフー、
Ah ah ah
♪ アーアーアー
Aye aye aye hah
♪ アイヤイ、ヤイ、ヤー




A lady that I know just came from Colombia
ぼくが知ってるあるご婦人がコロンビアからやって来て 
She smiled because I did not understand
彼女、ぼくが何のことかわからなかったら、微笑んで
Then she held out some marijuana, oh ho
それからマリファナをいくらか差し出してきた、あゝ、うーん
She said it was the best in all the land
彼女は言ったよ、これって国中で一番のものなのよ




And I said,
それで、ぼくは言ったんだ
"No-no-no-no, I don't smoke it no more
「ダメ、ダメ、ダメ、ダメ、ぼくはもう吸わないんだ
I'm tired of waking up on the floor
「床の上で目を覚ますなんて、ぼくはもう疲れちゃってね
No thank you please, it only makes me sneeze
「いや、いらないよ、ぼくにはクシャミが出るだけさ
Then it makes it hard to find the door"
「それで、あとで出口を見つけるのに大変なことになる」 *3




Ah ah ah
♪ アーアーアー




A woman that I know just came from Majorca, Spain
ぼくが知ってるある女性がスペインのマジョルカ島からやって来て
She smiled because I did not understand
ぼくが何のことかわからなかったもんだから、彼女、笑って
Then she held out a ten pound bag of cocaine
それから、10ポンドのコケインの袋を取り出した
She said it was the finest in the land
彼女が言うには、国中でもっとも良質のものなのだと




And I said,
そう、ぼくは言ったよ
"No-no-no-no, I don't (*snuff+) it no more  *4
「ダメ、ダメ、ダメ、ダメ、ぼくはもうフュッンはしないんだ
I'm tired of waking up on the floor
床の上で目を覚ますのに、ぼくはもう疲れたんだ
No thank you please, it only makes me sneeze
いえ、けっこうです、どうも、
ぼくは、ただクシャミが出るばっかりでね *5
Then it makes it hard to find the door"
それであとになって出口を見つけるのに大変なことになる」




Aye aye aye hah
♪ アイヤイ、ヤイ、ヤー
Aye aye aye hah
♪ アイヤイ、ヤイ、ヤー




A man I know just came from Nashville, Tennessee-o
ぼくが知ってるある人がテネシーナッシュヴィルからやって来た
He smiled because I did not understand
ぼくが何のことかわからなかったら、彼は微笑んで
Then he held out some moonshine whiskey, oh-ho
それから、何か密造のウィスキーを出して来た、あゝ、うーん
He said it was the best in all the land
ヤツが言ったよ、これは国中で最高のヤツなんだ




And I said,
それで、ぼくは言ったよ
"No-no-no-no, I don't drink it no more
「ダメ、ダメ、ダメ、ダメ、ぼくはもう飲まないんだ
I'm tired of waking up on the floor
床の上で目を覚ますのには、ぼくはもうくたびれちゃってね
No thank you please, it only makes me sneeze
いえ、けっこう、いらないよ
ぼくはクシャミが出ちゃうばっかりでね
Then it makes it hard to find the door"
あとで出口を見つけるのに大変なことになる」




Well, I said.
そうなんだ、ぼくは言ったよ
"No-no-no-no, I can't take it no more
「ダメ、ダメ、ダメ、ダメだよ、ぼくはもうやるわけにはいかないんだ
I'm tired of waking up on the floor
床の上で目を覚ますのに、ぼくはもうくたびれたんだ
No thank you please, it only makes me sneeze
「いえ、けっこう、やらないから
ぼくには、ただクシャミが出ちゃうばっかりでね
Then it makes it hard to find the door"
あとになって出口を見つけるのに大変なことになる」









Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞 082209











∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮






きのうのボウイの「チャイナ・ガール」から
「チャイナ・ホワイト(=ヘロイン)を連想してしまったヒト(Ω)スルドイデスガ
ダメですよ!! ダメダメ小唄、こうたらアカン! やったらアカン!
SAY NO! ダメダメ   





Then it makes it hard to find the door
それで、あとになって 出口を見つけるのに大変なことになる


これはたいへん秀逸な、クレバーな表現ですね。
出て行くときは、というか、行ってしまうときは、
べつにドアなど意識することもなく、壁でも通り抜けるかのように、
ごくあたりまえに平気で行ってしまうのですが、
いざ、帰って来ようとすると、
その世界からの出口となるドアを見つけるのに苦労させられ、
ものによってはたいへん苦しみ、地獄を味わうことになってしまいます。

ヒトはなぜ麻薬に手を出し、中毒になるほどにそれをつづけてしまうのか?
その答えについては、
ぼくがいつも挙げるウィリアム・バロウズの実に明快なこんな一文があるので、
その原文とともにここに引いておこう (麻薬除けに暗誦しとくといいでよ)




 The question, of course could be asked: Why did you ever try narcotics?
Why did you continue using it long enough to become an addict? You become a
narcotics addict because you do not have strong motivations in any other direction. Junk wins by default. I tried it as a matter of curiosity. I drifted along taking shots when I could score. I ended up hooked. Most addicts I have talked to report a similar experience. They did not start using drugs for any reason they can remember. They just drifted along until they got hooked. If you have never been addicted, you can have no clear idea what it means to need junk with the addict's special need. You don't decide to be an addict. One morning you wake up sick and you're an addict.



もちろん、ひとつの疑問が発せられることだろう。
なぜ、おまえは麻薬なんかをやってみたりしたのか? と
なぜ、中毒になるほどそれを使いつづけたのか? と
人が麻薬中毒になるのは、
ほかのいろんなことに(=方面に)
何ら強いモティヴェーション(やる気、熱意、意欲)も持っていないからなのだ。
その欠落のせいで、ヤクが勝利してしまうのだ。
わたしは 好奇心ということからやってみたのだった。
手に入れば、成り行きで わたしは どんどん射っていった。
挙句、わたしは虜になってしまったのだ。
わたしが話をした中毒者たちは、たいてい似たような経験を明かしている。
かれらは、これといって自分たちが思い出せるような理由もなく
薬物の使用をはじめたのだった。
かれらは、ただ成り行きで、流されるようにして、とうとう虜になってしまったのだ。
もし、あなたが一度も中毒になったことがなければ、
ヤクを必要とする中毒者たちのその特別な欲求というものが
どういうものかということについては
何ら明確な考えを持つことはないだろう。
人は、べつに意を決して中毒者になるわけではない。
ある朝、気分が悪くて目が覚める、すると、あなたは中毒者なのだ。


ウィリアム・バロウズ「ジャンキー」 William Burroghs 「Junkie」1953年)






サミットに出て来るような先進国で普及するのもわかりますね。
空の高いところから見れば、やはり「文明病」のひとつに分類されることでしょうね。
セックスがいいからなんてのは、モティヴェーションにはなりませんよ。
そういうヒトにはすでにセックスが麻薬になっているわけですからね。
(あらゆるものを「クスリ」的に受け取ろうとする依存傾向は、
(何事につけ指摘しておくべきでしょう。)
(自分以外の外的なものによって、「どうにかしてもらおう」という発想や傾向など)
んで、そういうヒトたちのセックスというのは、
(実は、それは「セックス」などではなく(!))
単なる(相手を使った)擬似セックス、すなわち相互自慰行為にすぎないものだろう。
出会い系とか買春とかもそうだろう。
まあ、それでいいヨ、というヒトも多いあたりが、ドラッグ蔓延の下地でもあるわけだが、
英語の「ヤク」にあたる「junk」という語が(「ジャンク・フード」という語などにもみるように)
そもそもが「クズ」とか「ゴミ」を指すコトバで、
そのことをアタマに入れて少し思ってみるなら、
「豊かな社会」で、「豊かさ」を思うことが困難になってしまっている、
さまざまなかたちで、あらゆるところで
そして、いつのまにかとくに意識することなく、成り行きでそれを放棄してしまっている、
それでも、豊かさの風景は変わらない、そこから来る安逸・・・、
その貧しさ、みすぼらしさ、頽廃が、「クズ」を支え、「ゴミ」を流通させる下地になっているのだろう。


・ ヒトは、自分でもよくわからない理由から麻薬に手を出す。
・ それはほかのことに何のヤル気や熱意や意欲が持てないでいるからだ。




(この要約でよろしいが、どうかご自分であらためて上記のバロウズの一節をご覧ください。)








∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮






【Years Ago−Go!】







(1年前のエントリーを Playback♪)





・「木の舟」 (ジェファーソン・エアプレイン)
・「木の舟」 (クロスビー・スティルス&ナッシュ)

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060618







(2年前のエントリーも Playback♪)







・「雨をよごしたのは誰?」  (ジョーン・バエズ

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050618

*1:先日のジョーン・バエズの「レス・ザン・ザ・ソング」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20070521 のところでも少し触れたようにホイト・アクストン(1938−1999)は日本ではほとんど知られていないアメリカのフォーク・シンガーで、リンゴが歌って大ヒットしたきょうのこの歌をはじめ、スリードッグ・ナイトの世界的な大ヒット「喜びの世界」や「ネヴァー・ビーン・トゥー・スペイン」、ステッペンウルフの「プッシャー」、キングストン・トリオの名曲「グリーンバック・ダラー」など、その作品は日本でもよく知られているはずだ。

*2:翌1975年にシングル・カットされ、同年3月に全米チャート第3位となるビッグ・ヒットとなった。

*3:これはたいへん秀逸なクレバーな表現ですね。行ってしまうときは、べつにドアなど意識することもなく壁でも通り抜けるかのように平気で行ってしまうのですが、いざ、帰って来ようとすると、その世界からの出口となるドアを見つけるのに苦労させられることになります。

*4:この( )のところでは実際に鼻で吸う「フュッ」という実音をもって歌詞(?)としている

*5:ウディ・アレンの何の映画だったか、ハイソなインテリたちのパーティでアレン扮する主人公が初めてコケインをやることになり、緊張のあまり鼻で吸うのに失敗して、大きなクシャミが出てしまい、高価なコケインを吹き飛ばしてしまって一同の顰蹙を買うというシーンがあったのを思い出す。クシャミというのは、そういうコトで、このスタンザにもっともよくフィットするフレーズですね。