Naggin' Woman

Words & Music by Jimmy Anderson and Jerry West.
(1965年発表)*1







(原題直訳 「口うるさい女」)






歌詞は、次のURLから、
http://www.lyricsfreak.com/k/kinks/naggin+woman_20078980.html






From The Kinks album, "Kinda Kinks".


名作アルバム度 ☆☆☆



「カインダ・キンクス」 (キンクス





Also on the Excello label omnibus compilation album,
"The Excello Story, Vol. 4: 1961-1975". *2


推奨アルバム度 ☆☆☆



(スリム・ハーポ、ライトニング・スリムほか) 






名曲度 ☆







邦題「ナッギン・ウーマン」 (キンクス






You know you keep on naggin', babe
自分でわかってるだろうけど、
おまえは、しょっちゅう口うるさくばかりしやがって、おい
Complaining all men are the same
男はみんな同じだとか文句をたれて
The reason why you keep on naggin'
おまえがしょっちゅう口うるさくしてるその訳は
Is because you found another man
おまえにべつの男が見つかったからなんだろ




So keep on naggin', woman
だったら、ずぅっと文句をたれてるがいいさ
Naggingest woman in this land
この国でいちばん口うるさい女だぜ
Well, the minute you stop your naggin'
いいか、なあ、おまえがうるさく言うのをやめたその瞬間から
You're gonna find another man
おまえにはべつの男が見つかるだろうよ




You know you got to the plenty of pain *3
おまえ、わかってるのか、ひどい苦しみを味わうことになるぜ
Oh honey, why you can treat me just mean
おゝ、ハニー、
おまえは、どうして、おれにこんなひどい仕打ちができるんだ
You got me anywhere, anyone
おれなんかあたりまえだろ、
ほかの誰だってみんなと同じだぜ
You baby just can't that be
なあ、おまえ、そんなに目くじら立てるなよ




So stop your naggin', woman
だから、おまえのそのガミガミ言うのをやめにしろよ、なあ
Nagging me right off my face
おれのツラを見りゃ、おれにうるさく言いやがって
Well, baby if you weren't naggin'
なあ、かわいいの、
もしも、おまえが口やかましくなければ
Honey, you'd be so sweet
ハニー、おまえも、すっごく かわいくなるんだぜ




You know you keep on naggin', babe
自分でわかってるだろうけど、
おまえは、しょっちゅう口うるさいことばかり言ってやがるぜ、おい
Complaining all men are the same
男はみんな同じだって文句をたれて
The reason why you keep on naggin'
おまえがずっとガミガミ言ってるのは
Is because you want another man
なぜかっていうと、
おまえ、ほかの男が欲しいからだろ




But keep on naggin', woman
けどよ、女よ、文句ばっかりたれてるがいいさ
Naggingest woman in this land
この国でいちばんの口うるさいやつだぜ
Well, the minute you stop your naggin'
なあ、おまえがその文句たれるのをやめた瞬間に
Baby, you're gonna find another man
ベイビー、おまえは新しい男が見つかるのにな




All right,
けっこうだぜ
You sure...
おまえ本気か
All right
いいよ
Ah,girl,
あゝ、おまえ、
Oh, nag on
ハァー、ずっと言ってろよ








Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞 072909








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一昨日の「Single Girl, Married Girl」も、
そのまた一昨日の「Single Girl」も、
だいたい、結婚した身を嘆く女は、
総じて(世のならわしとして)自分の夫に口やかましくなるものです(ねッ!?)
そうしながらも、何のかんのと何とかやっていくのが夫婦というものなのでしょう(!?)
逆に女からガミガミと口やかましくされなくなったら、
それはもうおしまい(も間近)ですね、たぶん(!?) 
ヤバイです!キケン、チュウイ、落籍注意w!



きょうのこの歌「ナギング・ウーマン」は、
そんなふうに女にしょっちゅうガミガミ言われてる男の歌なのですが、
キンクスには、彼らのオリジナルで「ホット・ポテト」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20041223#p2 とか「アルコール」とか、
そういうおっかない奥さんに尻を叩かれる男を歌ったユーモラスな名作がありますが(「アルコール」では身の破滅を招いてしまいますw)
きょうのこの歌は、キンクス(=レイ・デイヴィス)のオリジナルではなく、
ジミー・アンダーソンというほとんど無名のブルース・シンガーのレパートリー、
お聴きのように単純な歌ですが、
ブルースならではのかなり深い世界(深い間柄)が歌われています。




最後まで聴いてくると、
「あゝ、そういうことなのか」と歌の意味が見えてきますね。
歌の後半で冒頭の部分のただの繰り返しかと思って聴いていると、
そうじゃなくて、歌詞がこんなふうになっているのですね・・・・





The reason why you keep on naggin'
Is because you want another man

おまえがしょっちゅうガミガミ言ってるのは、
おまえ、ほかの男が欲しいからだろ




普通に聴けば、これは新しい恋人のことかと思いますよね、
実際、歌のはじめのところでは、そういうふうに歌われています・・・・




The reason why you keep on naggin'
Is because you found another man

おまえがしょっちゅう口うるさくしてるその訳は
おまえにべつの男が見つかったからなんだろ




でも、歌の中の男とともに さんざん口やかましくされてるのを聴いていると、
この歌には他の登場人物は、実はいっさいその影すらも投げかけていないのに気づくでしょう。
歌の中に登場する「another man(べつの男)」とは、
実はこの歌の歌い手(=語り手)であるその男本人であるのです。
つまり、女が幻滅を覚えるようになってしまったそんな男のいまの姿、
それが、最初のバースにある、




Is because you found another man
ほかの男を見つけたからだろ




ということであり、同時に最後のバースの




Is because you want another man
ほかの男が欲しいからだろ



というかたちで、女が結婚前の(いまとは違う)男の姿に戻ってほしい、
それ以上の男になってほしいと願って、、、、
(それでガミガミといつも口うるさくして、、、、)
いるということなのですね。


そして、男のほうも、そんな口うるさい女に対して、




Well, baby if you weren't naggin'
Honey, you'd be so sweet

ねえ、ねえ、ベビちゃん、
もしも、おまえが口やかましくなければさァ
ハニーちゃんってぐらいに、
おまえも、すっごく かわいくなるのになあ




という気持ちを吐露しているし、
同じその気持ちをもとに
(この歌の中でも)何度か一応は言ってみてるわけなんですよね、、、




Well, the minute you stop your naggin'
Baby, you're gonna find another man

なあ、おまえが、その文句たれるのをやめた瞬間から
ベイビー、おまえには新しい男が見つかるのになあ



と。
つまり、「おまえがうるさく言わなきゃ、オレも変わるんだけどなー」
ってコトではあるんだけれども、
しかし、世の現実というのは、アハハ、
「だったら、アナタがちゃんと変わって見せればいいでしょッ、
アタシだってうるさく言いたくて言ってるわけじゃありませんからネッ!プンプン」
となって、ひぇーーーッ、また、はじまってしまうわけですよー、あーーーーあ。


こんなふうにブルースは、生きた歌なんですね(嗚呼)♪
そして、歌い手が(比喩としてではなく)本当の意味で
歌に命を吹き込むことをしなければ、成り立たないのがブルースなのですね。
ただ歌うというのとは、また、違うんです(・・・・!?)。

(もちろん、ひとつの音楽形式としてのブルースということはあるのですが)
歌(=言葉)としてのブルースは、
(この場合はブルースの英語は)、
いつもながら、頭じゃ取り逃がしてしまいがちなことを語るのに長じた言葉なんですね。
頭や、目で(読むので)はなく、
声で歌われ、語られた言葉(=声)を耳から心へと入れてやって、
そして心に響かせてやって、それで初めて聴こえてくる歌、
それがブルースってもののように思えますね。
そして、
ひとつの歌を実にいろんなふうに聴くことができるのもブルースの凄さ、恐さですね。









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【Years Ago−Go!】






(1年前のエントリーを Playback♪)





・「さらばベルリンの陽」 (セックス・ピストルズ

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060526







(2年前のエントリーも Playback♪)




あゝ、何という歌が出て来てしまったのでしょう・・・・・・セツネー;




・「小さな恋のメロディー」 (ビージーズ
・「若葉のころ」 (ビージーズ
・「イン・ザ・モーニング」 (ビージーズ

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050526

*1:オリジナルは、きょうのこの歌の作者のひとりでもあるジミー・アンダーソンのシングルで1962年の発表。タイトルがオリジナルでは(ただの)「Naggin'」(で「Woman」はついていません)。1964、5年当時のキンクス(デイヴィス兄弟)がこんな曲を知っていたのはちょっと謎というか驚きでもあるのですが、このアンダースンさんは、1962〜3年ごろに他のブルースマンらとともに(時間がないのでまだちゃんと調べていませんが、おそらくはビッグ・ビル・ブルーンズィをトリにした)ブルースのパッケージ・ショーでイギリス、オランダ、オーストリアをまわっていたのですね。ですから、キンクスの面々はそのツアーのロンドン公演でこのジミー・アンダーソンの「Naggin'」を聴いていた可能性は十分にありえることでしょう。また、キンクスは、ファースト・アルバムでスリム・ハーポのヒット曲「Got Love If You Want」((のちにザ・フーとなる)ハイナンバーズが歌詞だけ換えて「I'm The Face」というタイトルでシングルにしている曲)をやっているけれども、このスリム・ハーポは(ギターとハモニカと歌で)1960年代初めのイギリスで(やはりギターと歌とハモニカのミー・リードと並んで)とても人気のあったブルースマンで(ストーンズもデビュー・アルバムでこのスリム・ハーポの「I'm A King Bee」をやっているし、ほかにもゼムやヤードバーズ、プリティシングズなどもハーポの作品をレコーディングしていて、わたしも大好きなブルースマンのひとりなのだが、ここでの話題の主はスリム・ハーポではありませんでしたねw、で、キンクスはそのハーポの曲を)レコーディングしているが、ジミー・アンダースンというヒトも、このハーポと同じエクセロ(Excello)というレーベルの当時の新人だったのですね。そして、ミック・ジャガーなどの証言にもあるように(「According To The Rolling Stones」というオーラル・バイオグラフィーは、まずはそのへんのミックの思い出話からはじまっていたましたが)彼らミック・ジャガーの世代のイギリスのブルースやR&Bのファンたちは(まだまだごく少数の精鋭たちだったわけですが)ほとんどみんなアメリカから通販でレコードを買っていたというのですね。(リヴァプールではアメリカ航路の貨物船の船員たちが持ち帰ったというような話が伝えられていることにも重なりますね。)(ミックが当時のことで強調していたのは、どこのラジオ局もかけないような曲やアーチストばかりなので聴かずに注文してたこと、ときには(船便で到着した商品を開けてみたら)レコード盤が割れていたなんてこともあったとか(泣))(また、当時のロンドンにはすでに(チャリングクロス・ロードに)「ドウベルのフォーク・レコードの店」というアメリカのフォーク・ソングやカントリー・ブルースの輸入販売店があっ(て、併せて自主制作盤の制作もする「フォークロア・レコーズ」というレーベルでもあってアレクシス・コーナーのブルース・インコーポレットのマーキーのライヴなんかも最初はこの店の制作でレコードになったものだったりし)たけれども、とても小さなスペースでもっと年若いブルース・ファンの要望にまではとても応えることはできなかっただろう。)ですから、スリム・ハーポのレコードを通販で買ったときに同じエクセロ・レーベルのジミー・アンダーソンの新譜のチラシとか、あるいは同封されてきたカタログでその新譜がクローズアップされていたとかいうことがあったかもしれませんね。それでその評判につられて次のオーダーにそのレコード番号を記入するとか、そこまでしなくても少なくとも「ジミー・アンダーソン」という名前や「Naggin'」という曲があることはマニアたちは知っていた・・・・とか。で、このジミー・アンダーソンというヒト、何と言うかそのスタイルが同じエクセロ・レーベルのトップ・スターだったスリム・ハーポとほとんど変わらないんですネ。(しかも、べつのシングルではB面でわざわざハーポのヒット曲「I'm A King Bee」のカバーまでやったりなさってる。アチラの音楽ジャーナリズムでよく使う表現を用いると「poor man's ××××」、つまり、この場合は「poor man's Slim Harpo」(貧者のスリム・ハーポ)といったところで、これではちょっときついかもしれないなという感じは否めません。)エクセロから何枚かシングルを出した後も(契約上の不利もあったりしてレコード業界そのものに失望したりなどもあってなのか)あまりパッとせず、(その後、「ソウル・マン・リー」という芸名でローカルに活動をつづけてはいたようで、現在も My Space に「Jimmy Anderson」名義でご自分のページをお持ちになっていらっしゃるようですから、そちらをご覧になれば、ご本人については詳しくしっかりと記事が掲載されていますよ。

*2:このアルバムで聴ける(やはりエクセロのスターだった)ライトニン・スリムの1961年の「I'm Tired Waitin' Baby」と(やはりアルバム「カインダ・キンクス」に入っている彼らキンクスのヒット曲「Tired Of Waiting For You」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20070324 の関係やいかにw? 「待ちくたびれたよ」を繰り返すあたりは発想の原点をレイ・デイヴィスはライトニン・スリムから負っているかもしれませんね。

*3:オリジナルでは、この箇所は「You know you got to be playin' with me, baby」(おまえ、わかってるだろ、おまえはおれと遊んでるしかないんだよ、おい)と歌われているが、デイヴ・デイヴィスはそう歌っていませんね。よく聴き取れないんですが、とりあえず、こうしておきます。(この項、保留)