Let It Rock

Words & Music by Chuck Berry.
(1960年発表) *1






(原題直訳 「そいつロックさせちまえ」)*2








歌詞は、次のURLから、
http://www.seeklyrics.com/lyrics/Chuck-Berry/Let-It-Rock.html






From the Chuck Berry album, "Rockin' At The Hops". *3


名作アルバム度 ☆☆☆



チャック・ベリー






Also on The Animals album, "In The Beginning".


名作アルバム度 ☆☆☆☆ *4



(アニマルズ)





Also on The Rolling Stones compilation album, "Rarities 1971-2003". *5


推奨アルバム度 ☆☆



ローリングストーンズ)




Also on The Yardbirds compilation,
"Clapton's Cradle; The Early Yardbirds recordings".


推奨アルバム度 ☆☆☆



ヤードバーズ





名曲度 ☆☆☆






邦題「レット・イット・ロック」 (チャック・ベリー







In the heat of the day down in Mobile, Alabama,
アラバマ州モービルの日中の熱気の中で  *6
Workin' on the railroad with the steel drivin' hammer.
鋼鉄製のハンマーを手にして働いてるぜ
I gotta get some money,
おいら、カネを何ぼか稼がにゃならんのさ
Buy some brand new shoes.
真新しい靴でも買おうっていうのさ
Try to find somebody take away these blues.
この憂鬱を取り去ってくれる誰かさんでも見つけようかってことなのさ
"She don't love me," hear 'em singin' in the sun.
「あのコはおれを愛しちゃくれない」とか
連中が日差しの中で歌ってるのが聞こえるぜ
Payday comin' when my work is all done.
おいらのこの仕事が全部片付きゃ、給料日がやって来るのさ




Well, over in the evenin' when the sun is sinkin' low,
さてと、夕方、お日様が低く沈んでいくころに仕事が終わる
All day I been waitin' for the whistle to blow.
日がな一日、ずっとおれはこの笛が鳴るのを待ってたんだ *7
Sittin' in a teepee built right on the track,
線路の真上にこしらえたティピの中に座り込んで *8
Rollin' them bones until the foreman come back.
サイコロをころがしてると *9
するとそのうち親方がまた戻って来やがった
"Pick up you' belongings, boys, and scatter about,
「おまえら、自分の持ち物やら、そこらに散らかしてるものをさっさとかき集めるんだ
We got an off-schedule train comin', two miles out."
「予定にない列車が2マイル先までやって来てるぞ

*10


Everybody's scramblin' and jumpin' around.
誰もがみんな上や下への大騒ぎで、大慌て
Pickin' up the money, tearin' the teepee down.
カネを引っつかみ、ティピは倒すわ
A-foreman was a-panic, 'bout to go insane.
親方ときたら、パニックっちゃってて、いまにも発狂せんばかり
Tryin' to get the workers out the way of the train.
人夫たちに列車の進路を空けさせようと必死だぜ
Engineer blowin' the whistle long and long.
機関士のやつが汽笛を延々と鳴らしてる
Can't stop the train, he hafta let it roll on.
汽車を止めるわけにはいかないもんな、
やつはそいつを驀進させてかないとならないんだ










Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞 072809










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きょうのこの歌のラストのくだりの



Can't stop the train, he has to let it roll on.
汽車を止めるわけにはいかなんだ
ヤツはそいつを驀進させてかなきゃならないのさ



という、このキメのラインの「let it roll on」というフレーズに
この歌のタイトル「Let It Rock」が掛かって、
それで両者が相俟って「Let It Rock and Roll On♪」となるわけですネ、
たぶん、そういう仕掛けなのでしょうwink



ロックンロールを機関車に喩えるのは大昔からよくあることですが、
ロックンロールのあのパワーアップしたブギウギのパターンが
いかにも蒸気機関車のあのピストンの動きを思わせるあたりに
そうした喩えのルーツがあるのかもしれません。
それを弾くギタリストの右腕のストロークもまた
蒸気機関車のピストンの動きに重なってくるかもしれませんネ。*11
きょうのこの歌「レット・イット・ロック」でも、
日常の長くつまらない労働の果ての、
夜のその憂さ晴らしのサイコロ賭博さえも蹴散らすかのように迫り来る
力強い列車の驀進にロックンロールが夢見られ、シンボライズされているのかもしれません。








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【Years Ago−Go!】







(1年前のエントリーを Playback♪)






・「ヒーローズ」 (デイヴィッド・ボウイ)

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060525







(2年前のエントリーも Playback♪)






・「サム・マザーズ・サン」 (キンクス
・「ワンダー・ボーイ」 (キンクス

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050525

*1:全米では最高で64位というまあまあのヒットだったが、全英では堂々と第6位となるトップ10ヒットとなっている。このあたりの差がその4年後の「英国人による侵入」The British Invasion という一大異変となってアメリカのヒット・チャートに現象するのだろう。

*2:「ロック」といったって、もちろん、鍵をかけることでもウィスキーのオン・ザ・ロックでもないことは言うまでもありませんね。そうです「ロックンロール」のロールです。「揺れる/揺らす」ということでの「ロック」、きのうの歌「結婚したら」の既婚の彼女は(その一昨日前の彼女と同様に)揺り籠を揺すって泣いていましたが、そんな彼女にも、この「レット・イット・ロック」という歌が届くでしょうか。きょうのこの歌では、昼間の重労働も、夜のその憂さばらしをも蹴散らすように驀進してくる臨時列車にロックンロールが喩えられています。

*3:1960年発表のチャック・ベリーのアルバム第4作。このアルバムからだけでも(例えば)ローリングストーンズは「Bye Bye Johnny」「Down The Road A Piece」「Confessin' The Blues」の3曲をスタジオ録音でカバー、さらにライヴ録音できょうのこの歌「Let It Rock」をカバーしている。

*4:1963年、アニマルズの地元、ニューカッスル=アポンタインのクラブ・ア・ゴー・ゴーでのライヴ。この夜、アニマルズはアメリカから来英中のブルースマン、サニー・ボーイ・ウィリアムスン2世のバックバンドを務めたが、これはその晩のアニマルズのみによるエキサイティングなステージの模様を抄録したもの。サニー・ボーイとのステージは、別個に「The Animals with Sonny Boy Williamson」があり、CDでは そのボーナス・トラックとして「In The Beginning」の全トラックが収録されているものもある。

*5:イギリスでは1971年のシングル「ブラウン・シュガー」のB面として発表され、もともとは1971年3月のリーズ大学でのライヴ・トラック。

*6:チャック・ベリーの歌には「ジョニー・B・グッド」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050323 や「メンフィス・テネシーhttp://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060419 などわりと歌の舞台をしっかり地名で特定するケースが多いですね。また、全然、関係ないですが、ディランの「メンフィス・ブルース・アゲイン」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050103 で主人公が身動きとれなくなってしまっているのが、やっぱり、このアラバマ州モビールでしたね。

*7:もちろん、「作業、終わり」の終業の笛のことだろう。

*8:ティピは、アメリカ・インディアンが使う円錐形のテント。何でそんなものが線路工事の現場に(?)、しかも線路の真上に(?)というのは、まあ、ギャグですよ、たぶん。夜中の線路の真ん中にインディアンのティピがあって(何たる異化効果w!)、そん中で線路工夫たちが博打をしてるんですってw

*9:おそらく、この種の飯場のヒトたちがやるだろうサイコロ2個を使って遊ぶ「クラップス」という(日本の「チンチロリン」によく似た)サイコロ賭博。

*10:この間奏のチャック・ベリーのギターは見事に迫り来る汽車の警笛を表しています。次のブレークのところではさらに激しく "警笛" を鳴らしてくれます。やー、実に見事な芸ですよー♪ (しかも、このまえの間奏のところでのとってもブルージーなコード・プレーが(まるで伏線だったかのように)ここでのプレーと見事なコントラストを聴かせています。チャック・ベリーというヒトの憎らしいまでにクレバーな曲作りというのは、あらゆるレベルにわたっていますね。)

*11:リズム・ギタリストが演奏をロックさせるにはそんなふうに汽車のピストンをイメージして弾くといいかもしれませんナwink