Sing Another Song, Boys

Words & Music by Leonard Cohen.
(1971年発表)








(原題直訳 「ほかの歌を歌えよ、坊やたち」)







歌詞は、次のURLから、
http://www.lyricsdomain.com/12/leonard_cohen/sing_another_song_boys.html





From Leonard Cohen album, "Songs Of Love And Hate".


名作アルバム度 ☆☆☆



「愛と憎しみの歌」 (レナード・コーエン*1





名曲度 ☆







邦題「さあ別の歌を歌おう、みんな」 (レナード・コーエン










(M.C. by Cohen himself)
(コーエン自身によるMCで) *2
"Let's sing another song, boys, this one has grown old and bitter."
「べつの歌を歌うことにしよう、この歌は古くなってしまったし、苦々しいものになってしまった」*3



Ah his fingernails,
あゝ、彼の爪が
I see they're broken,
割れてしまっているのが ぼくには見える
His ships they're all on fire.
彼の船はすべて火に包まれている
The moneylender's lovely little daughter
金貸しの愛らしい小さな娘が
Ah, she's eaten, she's eaten with desire.
あゝ、彼女が見とれている、
彼女が欲望をもって見とれてしまっている
She spies him through the glasses
彼女は双眼鏡ごしに彼を探っている
From the pawnshops of her wicked father.
彼女の邪(=よこしま)な父親がやってる質屋からのもんだ
She hails him with a microphone
彼女がマイクロフォンで彼を讃える
That some poor singer, just like me, had to leave her.
どこかの気の毒な歌手が、ちょうどぼくみたいやなつが
質流しする羽目になって彼女のものとなったマイクでだ
She tempts him with a clarinet,
彼女がクラリネットで彼をそそのかしている
She waves a Nazi dagger.
彼女はナチの短剣を振りまわしているのだ
She finds him lying in a heap;
彼女は山と積まれたものの中で彼が横たわっているのを見つける
She wants to be his woman.
彼女は彼の女になりたいのだ
He says,
彼が言う
"Yes, I just might go to sleep
「うん、ぼくはただ眠るだけなのかもしれない
But kindly leave, leave the future, leave it open."
だけど、喜んでちゃんと残しておくよ、
未来を残しておくんだ、オープンにしておくのさ」
He stands where it is steep,
彼は切り立ったところに立っている
Oh, I guess he thinks that he's the very first one,
おゝ、彼は、ぼくの感じでは、自分が最初のヤツになると思っているのだろう
His hands upon his leather belt now
彼のその手がいま革のベルトにかかっている
Like it was the wheel of some big ocean liner.
まるで、それがどこかの定期航路の汽船の外輪でもあるかのようにだ
And she will learn to touch herself so well
そして、彼女は彼女自身に触れることを覚えるだろう、実に巧みに
As all the sails burn down like paper.
すべての帆が紙のように燃え崩れていく中
And he has lit the chain
そう、彼が次々に火をつけていく
Of his famous cigarillo.
評判の彼のその細巻きの葉巻に 次々と
Ah, they'll never, they'll never ever reach the moon,
あゝ、彼らはけっして、
けっして彼らはとうとう月に届くことはないだろう *4
At least not the one that we're after;
少なくと、ぼくらが追いかけているあの月にはだ
It's floating broken on the open sea,
それは開かれた海に壊れて浮かんでいる
Look out there, my friends,
見てごらん、あそこを、わが友よ
And it carries no survivors.
そう、あそこには生存者はひとりも乗っていない
But let's leave these lovers wondering
だが、あの恋人たちには不思議がらせておくとしよう
Why they cannot have each other,
彼らは どうして お互いをものにすることができないのだろうか?
And let's sing another song, boys,
じゃあ、みんな、他の歌を歌うとしよう
This one has grown old and bitter.
この歌は古くなってしまったし、苦々しいものになってしまったよ




La lala lalala lalala
♪ ラララー、ラララー
La lala lalala lalala
♪ ラララー、ラララー
La lala lalala lalala
♪ ララララー、ラララー
La lala lalala lalala
♪ ララララー、ラララー








Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞 071409










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レナード・コエーンは、(ジュディ・コリンズやロバータ・フラックニーナ・シモンジョーン・バエズらのカバーでも知られる)名曲「スザンヌhttp://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050410 で一躍、脚光を浴びたカナダ出身のシンガー=ソングライターだが、日本では、もしかしたらシンガー=ソングライターとしてよりも 詩人や小説家として文芸の世界での方が広く知られているのかもしれない。翻訳も小説「嘆きの壁」Beautiful Losers(集英社)、詩集「神話を生きる」Let Us Compare Mythologies(JCA)、詩集「大地の薬味入れ」The Spice-Box of Earth(JCA)(いずれも絶版)のほかにアイラ・ブルース・ネイデルによる評伝「レナード・コーエン伝」(夏目書房)も刊行されている。きょうのこの歌からも感じられるかもしれないが、ユダヤ系らしいヘブライ色の強い独特の世界を持ち、なぜかイギリスでは圧倒的な人気があり、何を期待されたのかワイト島フェスティヴァルでは実質的なトリを任されての出演となった。







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【Years Ago−Go!】







(1年前のエントリーを Playback♪)






・「007は二度死ぬ」 (ナンシー・シナトラ

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060513







(2年前のエントリーも Playback♪)






・「アミューズメント・パークスUSA」 (ビーチボーイズ
・「カリフォルニア・ガールズ」 (ビーチボーイズ

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050513

*1:1971年に発表されたレナード・コーエンのアルバム第3作だが、レコード盤の時代には、アルバム・タイトルを忠実に物語るようにA面に4曲の「憎しみの歌」を、B面には「愛の歌」を4曲というかたちで構成されていたばかりか、さらにA面とB面の歌にはそれぞれ対応しあう歌が配されていて、例えば(当初はB面の3曲目にラインナップされていた)きょうのこの歌「さあ別の歌を歌おう、みんな」には A面4曲目の「鉱山のダイアモンド」Diamonds In The Mine が照応しあっている。

*2:アルバム中、この歌だけが前年の1970年8月にイギリスのワイト島で(英国版ウッドストック・フェスティヴァルとして企画され、開催された)5日間に及ぶ巨大ミュージック・イヴェント「ワイト島フェスティヴァル」におけるライヴ・レコーディングのトラックが収録されている。コーエンはフェスティヴァルの最終日、8月30日の日曜日のステージに、クリス・クリストファーソン、ラルフ・マクテル、フリー、ドノヴァン、ペンタングル、ムーディー・ブルースジェスロ・タルジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス、ジョーン・バエズらにつづいて登場、アーミーと呼ばれるバック・バンドを従えていた。すでに日付も31日の未明となっており、このコーエンのステージが終わると、後にはウッドストックでオープニング・アクトを務めたリッチー・ヘヴンズがいよいよ5日間にわたるフェスティヴァルの閉幕を告げる〆のステージを務めたのだった。

*3:これだけじゃ歌の題名なのか、MCでのスピーチなのかわかりませんねw。

*4:ワイト島でレナード・コーエンがきょうのこの歌を歌った1970年の8月は、まだアメリカのアポロ11号の月面着陸(1969年7月20日)から1年余のことで、おそらく、この歌が書かれたのも、まだ、人類のその偉業の驚きの圏内でのことだったろうと推察されるのだが、わたしには、それよりも このラインから、あの有名な「フライ・ミー・トゥーザ・ムーン」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20070415 という歌が思い出されてしまうのですが、いかがでしょうかwik?