Student Demonstration Time

Words & Music by Jerry Leiber, Mike Stoller and Mike Love. *1
(1971年発表)







(原題直訳 「学生の意思表示示威行動の時期」)*2







歌詞は、次のURLから、
http://www.sing365.com/music/lyric.nsf/Student-Demonstration-Time-lyrics-Beach-Boys/A70604EFF059E9C1482569850008D948






From The Beach Boys album, "Surf's Up".

名作アルバム度 ☆☆☆




サーフズ・アップ」 (ビーチ・ボーイズ







名曲度 ☆






邦題「スチューデント・デモンストレーション・タイム」 (ビーチボーイズ







Starting out with Berkeley Free Speech*3
バークレー大学の「言論の自由」からはじまったんだ
And later on at People's Park*4
そして、やがて「人民公園」になっていった
The winds of change fanned into flames
変革の風が燃える炎を煽り立てていた
Student demonstrations spark
学生たちのデモンストレーションが火花を散らし
Down to Isla Vista where police felt so harassed
日頃から警察が頭を悩ませていたアイラ・ヴィスタにそれが届く*5
They called the special riot squad of the L. A. County Sheriff
当局はロスの郡保安官に暴動鎮圧の特殊部隊の出動を要請したのだった*6




Well there's a riot going on
そうさ、暴動が起こっている
There's a riot going on
暴動が起きているぞ
There's a riot going on
暴動が起こっているんだ
Student demonstration time
学生の意思表示、示威運動の時代なんだ




The violence spread down South to where Jackson State brothers
暴力は南部へと広がっていき、ミシシッピー州立大学ジャクソン校のブラザーたちが*7
Learned not to say nasty things about Southern policemen's mothers
南部の警官の母親のことでは卑猥なことを言っちゃいけないことを学んだのさ*8
Nothing much was said about it and really next to nothing done
そのことについてはほとんど何も言われなかったし、
また、ほとんど何もなされなかったも同然だった、
The pen is mightier than the sword, but no match for a gun
「ペンは剣よりも強し」と言うが、しかし、銃が相手では話にならんな




Well there's a riot going on
そうさ、暴動が起こっている
There's a riot going on
暴動が起きているんだ
There's a riot going on
暴動が起きている
Student demonstration time
学生の意思表示、示威運動の時期なんだ




America was stunned on May 4, 1970
アメリカは1970年5月4日に呆然自失した
When rally turned to riot up at Kent State University*9
州立ケント大学での集会が暴動と化し
They said the students scared the Guard
当局が言うには学生たちが州陸軍に脅威を与えたというが
Though the troops were battle dressed
だが、部隊が戦闘用の武装をしていたことで
Four martyrs earned a new degree
4人の犠牲者たちは殉教者という新たな称号を獲得した*10
The badge of eternal rest
永遠なる眠りという徽章である
I know we're all fed up with useless wars and racial strife
無用な戦争や人種対立に ぼくらがみんな、うんざりしてるのは、ぼくも知ってる*11
But next time there's a riot, well, you best stay out of sight
でも、次に暴動があるときは、そうだな、みんな、目の届かないところにいたほうがいいぞ




Well there's a riot going on
おやおや、暴動が起こっている
There's a riot going on
暴動が起きているぞ
Well there's a riot going on
あらまあ、暴動がつづいている
Student demonstration time
学生のデモンストレーションの季節だな




Stay away when there's a riot going on
近寄るんじゃないぜ、暴動が起こっているときにはな
Student demonstration
学生のデモンストレーションだ
Stay away when there's a riot going on
離れていろよ、暴動が起きているときにはな
Student demonstration
学生の示威行動だ
Stay away when there's a riot going on
近づくなよ、暴動が起こっているときにはな
Student demonstration
学生のデモンストレーションだ
Stay away when there's a riot going on
かかわるんじゃないぞ、暴動が起こっているときにはな
It's student demonstration
学生デモっていうやつだ
Stay away when there's a riot going on
退いてるんだ、暴動が起きているときには
Student demonstration
学生の意思表示の示威鼓動だ




Stay away when there's a riot going on
近寄るんじゃないぞ、暴動が起こっているときにはな
Student demonstration
学生のデモンストレーションだ
Stay away when there's a riot going on
退いてるんだ、暴動が起こっているときにはな
It's student demonstration
これが学生の意思表示行動ってものなのさ
Stay away when there's a riot going on
離れてるんだ、暴動が起こっているときにはな
Student demonstration
学生のデモンストレーションだ










Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞 041509









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「近よらないほうがいい」というスタンス自体は嫌いではないが、
歌の主題に向ける作者の視線にうかがえる その意識における知性の欠如には
隠しようのないプチブルジョワ(=通常「小市民」と訳される)特有の品性のなさがうかがえて、
あんまりコイツと並んで一緒に暴動見物はしたくないなあと思わせるものがあるw。*12
やっぱりわたしは、ビーチボーイズにはクルマやサーフィンや遊園地や学校でただひたすら遊んだり踊ったりしているだけにしておいてもらいたかったなあ。


とはいえ、ビーチボーイズマイク・ラヴでさえ、こんな歌を書いて、しかも、レコーディングまでしてしまう時代だったのだろう。
世界各国の大都市を席巻して、各国でひとつの社会現象のようになったそんな「暴動の季節」や「暴徒化の季節」に対するロック・ミュージシャンのアプローチの仕方については、
ミック・ジャガーによるローリングストーンズの「ストリート・ファイティングマン」http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050802がひじょうに冷静で知的な(そして真に「主体的」と言える)眼差しを寄せている。






(業務連絡)

昨日掲載分のMC5の2曲目「American Ruse」に(「1969年のアメリカは・・・」のくだりにまつわる)註を1項目を附加しました。







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【Years Ago−Go!】







(1年前のエントリーを Playback♪)






・「ザッツ・ザ・ウェイ・ゴット・ブランド・イット(神の掟)」 (ビリー・プレストン

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060222









(2年前のエントリーも Playback♪)







・「ウェル・リスペクテッド・マン」 (キンクス

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050222

*1:この歌はもともとは、ロビンズ(のちのコースターズ)による1954年のヒット曲で、監獄の囚人暴動を歌った「Riot In Cell Block #9」(「第9監房区の暴動」)http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050428 というロックンロールの名曲のひとつだが、この歌の舞台を監獄から1960年代後半から1970年代初頭のアメリカの大学キャンパスに移して、歌詞を全面的にべつのものに書きかえたものがこの歌で、そのため原曲の作者である偉大なるリーバー=ストーラーのコンビに(この替え歌を書いた)ビーチボーイズマイク・ラヴの名前が作者のひとりとしてクレジットされているというわけだ。

*2:もちろん、「学生デモの季節」と上手に訳してもいいだろう。しかし、日本語のいわゆる「デモ」というコトバは(英語では、あくまでも「デモ行進」という意味での)「march」とか(=行進=デモ行進)「parade」(=行列=示威行進)にあたり、タイトルに使われている「demonstration」は、日本語でいえば「(集団的な)意思表示」、あるいは「示威行動」ということでの「デモンストレーション」ということになる。一応、念の為。

*3:カリフォルニア大学バークレー校で1964年度から65年度にかけて発生した学生たちの言論の自由を求める学生運動。学内の政治活動の禁止の撤廃を求めて、学生たちの言論の自由と、大学における学問という自由を掲げたもので、ほどなくして全米的な高まりと広がりを見せることになった学生運動。ちょうどボブ・ディランが「時代は変わる」と歌い、ビートルズが初めて全米ツアーをした年の出来事だった、というそんな事実を(こうして、ここに)モンタージュしてみることで何か歴史的なドラマめいた効果が、さて、あたりに立ち込めて来るだろうかwink

*4:ここで「人民公園」という日本語にした「People's Park」は、1969年4月にバークレー校の広大な敷地内の未使用の一角に学生たちの発案で作られ、「人民公園」と名づけられた私設の非公式な公園。学生や地元の若者やヒッピーたちが自らの手で整地し、樹木や花を植え、芝を植え、土を掘り、水を引き、池や子供用の遊び場をつくるなどして完成したこの公園は、1969年5月15日の「血の木曜日」と呼ばれる州当局による弾圧的措置によって周囲をすべて金属フェンスで封鎖され、その使用を禁じられた。「市民的不服従の原則」を掲げてこれに抗議する学生や地元住民に対し、(のちに合衆国大統領となる)当時のカリフォルニア州知事、ロナルド・レーガンは2000人からなる州兵部隊を出動させ、17日間に及ぶ長い血みどろの闘いがつづき、学生側に1名の死者と多数の負傷者、そして1000名もの検挙者が出すことになった。

*5:アイラ・ヴィスタカリフォルニア州サンタバーバラの海沿いの街。1960年代のはじめにカリフォルニア大学サンタバーバラ校の学生たちの向けの住宅が多く建てられたことから発展したこの街は、そもそもから学生の街という色合いが強く、自由な雰囲気に溢れ、路上での大麻やドラッグ類の取引が公然と行われていたり、黒人学生の数も多く、当地の警察は日ごろから歯がゆい思いをしていたのだろう。

*6:1970年2月、暴徒化した学生たちによる街頭での激しい投石の中、バンク・オヴ・アメリカの同支店が学生たちによって焼き払われたり、その2ヶ月後の4月には騒乱のさなか警察の発砲した銃弾で学生1名の命が奪われるなど、街にはキナ臭い騒乱の日々がつづく中、1970年6月の暴動ではお膝元の警察力では事足りずと見たのか、わざわざロサンジェルス郡保安官の特殊部隊が出動して過酷な弾圧行為を行い、これによってアイラ・ヴィスタの町は一躍、全米に知れわたるようになった。

*7:「ブラザーたちが」という語からもわかるように伝統的にほぼ黒人の大学と言ってもよいジャクソン・ステート・カレッジで、1970年5月、学内で行われた数日にわたる学生のデモンストレーションのさなか警察の銃撃で2人の黒人学生が射殺された事件。ひとりは高校生、もうひとりは20歳になる大学生で(彼が生後18ヶ月の子供の父親だったことも話題になった)、ほかにも12名が負傷した事件。

*8:おそらく「s.o.b」と訳される(淫売の倅)という意味の悪罵のコトバや、同じく悪態としては日常的な言葉でもある「motherf**ker」(オフクロと姦ってるヤツ)という卑語を指しているのだろうけれど、(この事件がマイク・ノット・ラヴ氏の頭の中でどうのような単純な図式で了解され納得されているのかに関係なく、)このあたりのマイク・ノット・ラヴによる歌詞の修辞も、また、どちらかというと(風刺やユーモアというよりも、むしろ)不愉快なものですね。

*9:オハイオ州立大学ケント校舎で学生集会鎮圧のために学内に入った州兵部隊が学生たちに銃撃を加え、4人の学生が射殺された事件。この事件についてはクロズビィ・スティルズ・ナッシュ&ヤングの歌「オハイオhttp://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060429 がその出来事を歌っているので(わたくしの註とともに)どうぞそちらをご覧/お聴きください。

*10:このあたり、マイク・ラヴは「学位」という意味の「degree」という語を巧妙に皮肉なかたちでひねった使い方をしているが、聴いていていい感じはしない。さすがビーチボーイズマイク・ラヴ、いや、マイク・ノット・ラヴだけのことはあるwink

*11:この「racial strife」(人種対立、人種間摩擦)という語にもインネンをつけたくなるムキもあるだろう。

*12:もしも、"メッセージ" ということを考えるなら、同じアルバム「サーフズ・アップ」の冒頭の歌「Don't Go Near the Water」(「水辺に近寄るな」、アル・ジャディーンとマイク・ラヴの共作)の環境保護ジェスチャー程度で十分だったのではないだろうか? しかし、マイク・ラヴとしては、(そんな「ビーチボーイズ」というお気楽なグループに不似合いな(背伸びした)メッセージよりも)このコースターズ(!)の替え歌をどうしてもビーチボーイズで(!)やりたかったのだろうな。ビーチボーイズのレパートリーとしては、これは「モンスター・マッシュ」とか「パパ・オ・マウマウ」のようなステージ映えするコミカルな歌の系譜に属するものだろう。たぶん、本質的なところではネ・・・・・。