Education

Words & Music by Raymond Douglas Davies.

(1975年発表)





(原題直訳 「教育」)*1




From The Kinks album, "The Kinks Present Schoolboys In Disgrace".

名作アルバム度 ☆☆

「不良少年のメロディ〜愛の鞭への傾向と対策」 (キンクス






歌詞は、次のURLから
http://kinks.it.rit.edu/discography/showsong.php?song=97




名曲度 ☆








邦題 「エデュケイション」 (キンクス







In a deep dark jungle, long time ago
暗い密林の奥深く、遥か昔のことでした
Lived a lonesome caveman
寂しい穴居人が生きておりました
He was a solitary soul
彼は孤独な魂の持ち主で
And he spent his playtime
そして遊び時間を過ごすのは
Chewing meat from bones.
骨付き肉を齧ること
He didn't know how to talk much
喋り方などほとんど知りませんでした
He only knew how to groan
彼が知っていたのは唸ることだけ
Then he lifted up his hands and reached to the sky
あるとき、彼は自分の手を上げて
そして大空へ向かって伸ばしたのです
Let out a yell and no one replied.
叫び声が上がってきましたが
誰も返事をするものはありませんでした
Frustration and torment tore him inside
フラストレーションと苦しみが
彼の内面を引きちぎってしまいました
Then he fell to the ground and he cried and he cried.
それから彼は地面に崩れ落ち、そして泣きに泣いたのでした
But then education saved the day.
しかし、そのときでした
教育というものが救いとなったのです
He learned to speak and communicate
彼は喋ること
そしてコミュニケートすることを覚えたのでした
Education saved the day.
教育が救いとなったのです
He thanked God for the friends he made.
彼は自分に友達ができたことを神に感謝しました




'Cos everybody needs an education
なぜなら、誰もが教育を必要としているのだから
Everybody needs an education.
誰もが教育が必要です
Black skin, red skin, yellow or white,
黒い肌の人たちも、茶色い肌の人たちも
黄色や白も
Everybody needs to read and write
誰もが読み書きが必要です
Everybody needs an education.
誰にも教育が必要です




Thank the day when that primitive man
Learned to talk with his brothers and live off the land.
原始人がその兄弟と話し
大地を耕し生きていくことを覚えたその日に感謝しましょう
He left his cave and he moved far away
彼は洞穴を離れ、そして遠くへと去っていきました
And he lived with his friends in a house that they'd made
そして、彼は自分たちが作った家で友達たちとともに暮らしました
He learned to think and to work with his brain
彼は考えるということを学び
そして自分の頭脳を使って働きました
And he astounded his friends with all the knowledge he gained
そして、彼が得た知識の数々で友人たちを驚愕させたのです
He wrote it down on a rock that he found
彼は目についた岩にそれを書きつけました
And he showed all his friends and they passed it around
そして、彼はそれを友人たちみんなに見せてやり
みんなはそれを次々にまわしていきました
And then education came that day.
そして、そのときなのです
教育というものがその日、到来したのです
The day it came was a sacred day.
その訪れがあった日は神聖なる日となりました
Education came that day
教育というものが
その日、到来したのです
He thanked God for the friends he'd made.
彼は自分に友達ができたことを神に感謝したのです




Well man built a boat and he learned how to sail
そうです、人は船というものを造り
海を行くことを覚えました
And he traveled far and wide
そして彼は遠く広いところへと旅をしました、
Then he looked up above saw the stars in the sky
次に彼は空高く見上げて、天の星々に目をやりました
So he learned how to fly.
こうして、彼は飛ぶことを勉強したのです
Thanks to all the mathematicians
すべての数学者たちに感謝を
And the inventors with their high I.Q.s
そして、高い知能指数を有した発明家たちにも
And the professors in their colleges
そして、学部の教授たちは
Trying to feed me knowledge
ぼくに知識を与えようと努めてくれます
That I know I'll never use.
ぼくが
けっして自分では使うことがないだろうとわかっているものを
Thank you sir for the millions of words
何百万ものたくさんの言葉を
先生、どうもありがとうございます
That you've handed me down and you've told me to learn
あなたがたがこのぼくに手渡してくださり
そしてぼくに学ぶように言ってくださった言葉たち
But I've got words in my ears and my eyes
だけど、ぼくには
自分の耳の中や瞳の中にも言葉があるんです
I've got so many facts that I must memorize
ぼくには、自分が記憶しとかなきゃならない
とてもたくさんの事実があるのです




Because education's doing me in
なぜなら
教育というものがぼくを殺してしまっているから
I want to stop but my head's in a swim
ぼくは止まりたいのに
ぼくの頭はバタバタしながら流されている
Education drives me insane
教育がぼくを狂わせてしまうのです
I can't recall all the facts on my brain.
ぼくは自分の脳髄の中の
いろんな事実を思い出せなくなっています
Education came that day
教育というものがあの日、到来したのです
The day it came was a sacred day
その訪れがあったあの日は神聖なる一日でした
Education saved the day
教育が救いとなったのでした
He thanked God for all the friends he made.
彼は自分にいろんな友達ができたことを神に感謝しました




Teacher, teach me how to read and write,
先生、ぼくに読み書きを教えてください
You can teach me about biology,
あなたたちは
ぼくに生物学を教えることはできるでしょう
But you can't tell me what I am living for
だけど、あんたたちは、ぼくに
ぼくが何のために生きてるのか教えられません
'Cos that's still a mystery.
だって、そいつはいまだに謎ですからね
Teacher, teach me about nuclear physics
先生、ぼくに原子核物理学を教えてください
And teach me about the structure of man,
それから、ぼくに人類の構造について教えてください
But all your endless calculations
けども、あなたがたの果てしない思索は
Can't tell me why I am.
なぜ、ぼくがいるのかを
このぼくに教えることができません




No you can't tell me why I am,
そうです、あなたがたは
なぜぼくがいるのかを
このぼくに言ってくれることができないのです
No you can't tell me why I am.
そうです、あなたがたは
なぜぼくがいるのかを
このぼくに言ってくれることができないのです




Everybody needs education,
誰もが教育を必要としています
Open Universities, education.
公開大学、教育です
Every race, every creed, education.
どの人種も、どの主義も、教育です
And every little half-breed.
そう、どんな小さな混血児も
Every nationality, education.
どの国籍の持ち主も、教育です
All the little people need education.
すべての小さな人間には教育が必要なのです
Eskimos and pygmies need
エスキモーもピグミーも必要としてるのです
And even aborigines, education.
そう、アボリジニーさえも、教育です




Well, physics and geography, education.
そうです、物理学に地理学、教育です
Philosophy and history, education.
哲学に歴史学、教育です
Science and biology, education,
科学に生物学、教育です
Geometry and poetry, education.
幾何学詩学、教育です
Well, education, education, education, education
とにもかくにも、教育、教育、教育、教育なのです
Education, education, education, education
きょういく、きょういく、きょういく、きょういく








Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞











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(アルバムの)「流れ」ということを「映画」の喩えで語ってきているが、
きょうのこの歌でのレイ・デイヴィスの寓話風の語り口による歌唱は、さながら(映画の実写シーンに)いきなりアニメーションによるシークェンスが挿入されたといった趣きになるだろうか。
原始時代の穴居人が「教育」ということによって次第に文明化されていくさまが描かれていくが、いつしかそこには(人類の歴史の他の多くの側面同様)矛盾が生じ、それがかたちをなして人を圧迫することにもなってきたのだということ・・・・。
そうした問題は、やはり(きのうまでの1950年代風のステレオタイプなロックンロールでは表現に限界があるのだろう)キンクスならではの(1975年にける)「現代」的なサウンドによって提示されている。
(もちろん、ステロタイプなロックンロールのイディオムも、後半部分にユーモラスな(コール&レスポンスという)かたちで巧みに用いられているが、(明日、紹介する曲でもそうなのだが)この(キンクスとしての現代的なサウンドと1950年代ロックンロールのステレオタイプなイディオムとの混淆における)コントラストは(昔を思い出しての話ということでの)アルバム全体にスタイルとしての大きなユニティ(=まとまり=統一感)をもたらすものとなっているようにわたしには(そんなふうに効果的なものとして)聴こえるのだが、さて、明日はどんな展開があるでしょうか?


どうぞ、お楽しみに!






※本日の関連曲Playlist


・「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール(パート2)」 (ピンク・フロイド
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050814#p3

(レイ・デイヴィスは、「教育」ということのイデオロギー的な側面については(きょうのこの歌では)触れていないが*2ピンク・フロイドは、1979年発表のその大作「ザ・ウォール」の中のこの歌で大胆にその問題を衝いている。)


・「学校で何を習ったの?」 (ピート・シーガー
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050501#p2


・「ボーン・イン・ア・プリズン」 (ヨーコ・オノ、ジョン・レノン
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050501








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【Years Ago−Go!】





(1年前のエントリーを Playback♪)



たしかに(きょうのこの歌と)共通するものがありますね・・・・・


・ 「オクトパス・ガーデン」 (ビートルズ

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060131







(2年前のエントリーも Playback♪)



これもまた、べつの面からうまく絡んでいますね。


・「アイ・キャント・エクスプレイン」 (フー)

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050131

*1:以前もどこかで引いたことのある(子供向けの)「The Oxford Children's Dictionary」の「education」の項には(教育とは)「教えること、訓練すること、人を向上させること」とあります。また(大人向けの)「The Oxford Dictionary 」では「知識の伝授やスキルの開発を目論んだ系統だった訓練や指導」とありますなー。

*2:後日、紹介することになる(校長先生が歌う)「The Hard Way」では(「校長」という立場上もあり、自ずと)教育のそちらの側面が歌に露呈するかたちになっている。