Jack The Idiot Dunce

Words & Music by Raymond Douglas Daivies.
(1975年発表)





(原題直訳 「ジャックって頭の弱い薄のろ」)*1





From The Kinks album, "The Kinks Present Schoolboys In Disgrace".

名作アルバム度 ☆☆

「不良少年のメロディ〜愛の鞭への傾向と対策」 (キンクス





歌詞は、次のURLから
http://kinks.it.rit.edu/discography/showsong.php?song=189







名曲度 ☆☆






邦題 「愚かなジャック」 (キンクス









Who's the fool with the cross-eyed stare,
あのガチャ目の阿呆は誰なんだい?
The turned up nose and moronic glare?
曲がった鼻の、頭弱そうな目をしたやつさ
Who's that simpleton standing over there?
あそこに突っ立てるおめでたいやつ、誰なんだい?
Jack, Jack the Idiot Dunce.
ジャックだよ、ジャックっていう薄らバカさ




Who's that dumb-looking freckle-faced runt?
あのボケーッとした、ソバカスだらけの顔したチビは
誰なんだい?
Jack, Jack the Idiot Dunce.
ジャックだよ、ジャックって薄らバカだよ
He walks like his feet are on back to front,
あいつが歩くさまときたら
まるで脚が前後さかさまについてるみたいじゃん
Jack, Jack the Idiot Dunce.
ジャックだよ、薄らバカのジャックだよ




When he waddles down the street he looks kind of queer,
あいつがヨロヨロと通りを行く姿は
まるで何かの変態野郎だぜ
Jack, Jack the Idiot Dunce,
ジャックだもんな、薄らバカのジャックだもんな
'Cos he's got two left feet and taxi-door ears,
だって、あの野郎、ぶざまもいいとこ
それに耳だってタクシーのドアみたいだもん
Jack, Jack the Idiot Dunce.
ジャックだもんな、薄らバカのジャックだもんな




And when we laugh at the clothes he wears,
それで、おれたちが
やつが着てる服を笑うと
Jack just smiles 'cos he don't care.
ジャックは、ただニコニコしてるだけ
あいつは気になんかしないんだ
He's a fool! He's a ninny!
バカだぜ、あの野郎! あいつは頓馬だ!
He's a twit! He's a chump!
あいつはボケだぜ! あいつはパーさ!
The Idiot Dunce, the Idiot Dunce.
薄らバカだぜ、薄らバカ




Who is always the bottom of the class?
クラスでいつも成績がいちばん下なのは誰でしょう?
Jack, Jack the Idiot Dunce.
ジャックだよ、薄らバカのジャックだよ
Who's a fool? Who's a boob?
バカといったら誰でしょう?
アホといったら誰のこと?
Who's a kook and an ass?
ドジなのろまは誰ですか?
Jack, Jack the Idiot Dunce.
ジャックだよ、ジャックっていう薄らバカだよ




When we take examinations he never gets a pass,
みんなが試験を受けても、あいつは絶対及第しない
Jack, Jack the Idiot Dunce.
ジャックだよ、ジャックっていう薄らバカ
And we all put him down 'cos he can't think fast,
そう、あいつ、頭の回転のろいから
おれたち、あいつをバカにする
Jack, Jack the Idiot Dunce.
ジャックだぜい、薄らバカのジャックだぜい
We ridicule him and punch him around,
みんなであいつを笑いもの
おまけにやつをどつきまわす
But Jack just laughs and stands his ground,
だけど、ジャックは、ただヘラヘラしてるだけで
こたえやしない
The Idiot Dunce, the Idiot Dunce.
薄らバカだぜ、薄らバカ




Yeah, he's so uncoordinated.
まったく、あいつはひどくちぐはぐしてるんだ
Whoa, and so disorientated,
おゝおゝ、えらくぎくしゃくしてる
And when we have a High School Hop
そう、おれたちが全校ダンパをやるときは
You ought to see that idiot bop
あの薄のろがドタバタやるのを見とくといいぜ
And his arms and his legs
そうさ、あいつの腕に、あいつの脚をな
Seem to have minds of their own,
まるで、そこに頭がついてるみたいに思えてくるぜ
And you don't need brains
そうさ、人は脳味噌なんていらないのさ
To have educated muscles and bones.
筋肉や骨に教えるにはな





Yeah, you ought to see him dance
そうさ、おまえら
あいつが踊ってるのを見ておくべきだぜ
He moves like he's in a trance,
まるで物に憑かれたみたいな動きだぜ
And when we have a High School Hop
そうさ、おれたちが全校ダンパをやるときに
You ought to see that idiot rock,
あの薄のろが体を揺すってるのを見たらいい
And he's finally proved
そう、要するに、やつは証明したんだ
That you don't need a high I.Q.
To make your body move.
自分の躯を動かすのに
人には高い知能指数なんて
要らないんだってことをな
Now he's created a dance that everybody's trying to do.
いまじゃ、あいつは
みんながしたがるダンスの創始者
Jack, Jack the Idiot Dunce.
ジャックがだ、あの薄らバカのジャックがだぜ




Do the Idiot Dunce.
薄のろダンスをはじめましょう*2
All right put your finger on your nose,
よしきた、あんたのお指をね
自分のお鼻に乗っけましょう
Now cross those eyes.
今度はお目々を寄り目にしてみましょう
Put your hands on your hips,
あんたのお手々は腰に置き
Now wriggle your backside.
今度は背中をクネクネしましょ
Yes, we got you dancing
よろしい、
これであなたも踊ってますです
To the Idiot Jack
「薄のろジャック」を
From your head to the tips of your toes.
頭の上からつまさきの先まで




Now the whole world's doing it
いまじゃ全世界中がこいつをやってる
And everybody knows,
そう、誰もがみんな知ってます
Jack, Jack the Idiot Dunce.
ジャックだぜ、ジャックっていう薄らバカ
He's a real cool cat and a real gone groove,
あいつはホントにクールな野郎
そう、抜群のグルーヴさ
Jack, Jack the Idiot Dunce.
ジャックだぜ、ジャックっていう薄のろダンス




And the girls go crazy when he starts to move,
そう、あいつが体を動かしはじめると
女の子たちが熱狂する
Jack, Jack the Idiot Dunce
ジャックだぜい、ジャックっていう薄のろダンス
Now Jack's a success he's got nothing to prove,
いまやジャックは成功者
何ひとつ、あいつは証明なんか無用だぜ
Jack, Jack the Idiot Dunce.
ジャックだぜ、ジャックっていう薄のろダンス




Even though Jack is dim
たとえジャックが薄らボケでも
His mother is so proud of him.
あいつの母親は
えらくあいつのことがご自慢だ
Hey, who's that groovy looking dude
おい、あのいかしたかっこいいやつは誰なんだい?
Dancing with all the chicks?
あんな可愛い子ちゃんたちと踊ってるやつさ
The Idiot Dunce, the Idiot Dunce.
薄らバカだよ、薄らバカ








Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞










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きのうのノスタルジックな1曲目につづいて、きょうのこの歌も1950年代風のチープなドゥワップ調をベースに軽く煮込んだトラックで、おそらくロックンロールのベーシックな教養の持ち主なら、一聴して、すぐにこれが「コースターズ」とわかるだろう。*3 (それこそ学校時代にレイ・デイヴィスやデイヴ・デイヴィスが聴いていただろう種類の音楽だ)
(というか(有名なソングライター・チームで、かつ、プロデューサー・チームでもある)ジェリー・リーバーとマイク・ストーラーのコンビがよく(コースターズなどのグループのレコードで)やっていた(ひとつの典型的な)スタイルで(というか、歌つくりの手法によるもので)、自然と「映画」の(一シーンでも見る)ように場面やストーリーや人物たちの心情までが見えてくる、そんな歌になっている。



そう、むかしは(きっと)(どこの国の社会にも)学校にはこういヤツっていたんだろうな。
そう、たぶん公立の小学校や中学校に通った人なら(おそらく)心当たりがあるかもしれない。かなり特異な(こいつ、ちゃんと言葉がわかるんだろうかと思うぐらい)(とても勉強どころじゃないような)存在が(学校とか学年に)(つまり、その地域(=コミュニティー)にひとりやふたり(あるいは、もう少したくさん)(公然と)(あたりまえの顔で)存在していた。この歌のタイトルにある「dunce」という語が指す存在は、そういう「遅れた子」のことだが、その子がこと「ダンス」にかけてはめっちゃくちゃ凄い、「進んだやつ」になってしまうという(まあ、たわいもない)幸せな歌であるわけですけど・・・・・。

ということで、「映画」はまたまた明日へとつづいていきます・・・・・。
さあ、「Schoolboys In Disgrace」と題する「物語」は、いつ、どこで、どのようにしてはじまることになるのでしょうか?


どうぞお楽しみに!




(業務連絡)
(お気づきのように)このところ、ちょっと更新が思うようにはかどらない状況になっておりまして、そのあたり、毎日こちらをご覧いただいている方々には誠にXQZ meなのでありますが、どうぞひとつご了承くださいますよう、おレゲエいたし椰子の実。(と書くと何だか暢気そうですけども))




※本日の関連曲Playlist



・「ドゥ・ザ・ストランド」 (ロキシー・ミュージック
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050330
ティーネージャーの間の「ダンス・ファド」というものについて(解説部分で)論じています。)


・「ダンス天国」 (ウィルソン・ピケット
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20051107



※また、これまでここで紹介したジェリー・リーバーとマイク・ストーラーによる作品は


・「恋の特効薬」 (コースターズ)
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060903


・「ライオット・イン・セル・ブロック・ナンバー・ナイン」 (コースターズ)
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050428


・「監獄ロック」 (エルヴィス・プレスリー
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050427


・「オン・ブロードウェー」 (ドリフターズ
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050921


・「カンサス・シティ」 (ウィルバート・ハリスン)
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060420









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【Years Ago−Go!】






(1年前のエントリーを Playback♪)




・「ユニヴァーサル・ガーデン」 (イエス

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060130





(2年前のエントリーも Playback♪)




・「ワーズ」 (ビージーズ
・「パジャマラマ」 (ロキシー・ミュージック

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050130

*1:「dunce」という語は「低能」とか(クラスの)(多分に先天的な理由で)「できない遅れた生徒」を指す(日本なら(おそらくは)限りなく差別用語に近い)言葉になる(と思う)が、もちろん、(歌の進行とともに明らかになるのは)この「dunce」が(一聴して明らかなとおり)「踊り」の「dance」と音を共有していることを契機にして意味のダブルエクスプロージャ(=二重写し)が生じ、それがいつしか歌のストーリーとなり、意味の(もしくは価値の)逆転が起こるという面白さが歌として展開していく。

*2:この時点でジャックのニックネームである「薄らバカ」が「イディオット・ダンス」という流行のダンス(ダンス・ファド)になったという(想定の)お話の展開になっているわけですね。

*3:知識(や情報)じゃなくて教養ね、きょう、用があるのはwink。