Can You Please Crawl Out Your Window?

Words & Music by Bob Dylan.
(1966年発表)





(原題直訳 「どうかきみのその窓から這い出て来られないかい?」)





Performed by Bob Dylan.


You can listen to Bob Dylan box set compilation, "Biograph".
推奨アルバム度 ☆☆☆☆☆

「バイオグラフ」 (ボブ・ディラン





歌詞は、次のURLから
http://bobdylan.com/songs/crawl.html





名曲度 ☆☆






邦題「窓からはい出せ」 (ボブ・ディラン










He sits in your room, his tomb, with a fist full of tacks
やつはこぶしほどの鋲を手にしてあんたの部屋にすわってる
あいつの墓場だ
Preoccupied with his vengeance
復讐の念に凝り固まって
Cursing the dead that can't answer him back
返事のできない死者を呪ってやがるんだ
I'm sure that he has no intentions of looking your way,
あいつには、きみのやり方に目を向けるつもりなんてまるでないことは
おれからすれば確かだぜ
Unless it's to say that he needs you to test his inventions.
ただし、やつがきみを必要としてるのが
自分の思いつきを試すためだっていうのじゃないのならってことだけどな




Can you please crawl out your window?
きみのその窓から這い出て来てくれないか?
Use your arms and legs
あんたのその両腕と両脚を使ってだ
It won't ruin you
きみがそれでぶっ壊れてしまうことはないだろう
How can you say he will haunt you?
あいつに取り憑かれるなんて
きみは、よく、そんなことが言えるもんだな?
You can go back to him any time you want to.
いつだって、きみは
自分の好きなときにやつのところに戻れるじゃないか




He looks so truthful,
あいつはとっても真実味があるように見える
Is this how he feels?
あれはやつが感じてるそのままなのかい?
Trying to peel the moon and expose it
With his businesslike anger and his bloodhounds that kneel
やつのあのビジネスライクな怒りと、跪いてる猟犬どもで
お月さまの皮をひん剥いて晒そうとしてやがる*1
If he needs a third eye he just grows it
もし、あいつに第三の目*2が必要なら、
やつにはちゃんとそいつが生えてくるんだ
He just needs you to talk
あいつはちょっときみと話す必要があるだけなのさ
Or to hand him his chalk
っていうか、自分のチョークを手渡してもらうとか
Or pick it up after he throws it.
じゃなけきゃ、自分で投げ捨てたそいつを拾ってほしいのさ




Can you please crawl out your window?
どうか、きみのその窓から這い出して来てくれないか?
Use your arms and legs
きみのその両腕と両脚を使ってさ
It won't ruin you
それできみが破滅したりすることはありゃしないさ
How can you say he will haunt you?
やつに取り憑かれるなんて、
きみはよく言えるもんだな?
You can go back to him any time you want to.
いつだって、好きなときに
きみはあいつのところに戻っていけるじゃないか




Why does he look so righteous?
やつは、どうしてあんなに堂々として見えるんだろう?
While your face is so changed
反面、きみのその顔が
えらく変わってしまったというのにな
Are you frightened of the box you keep him in?
きみは彼をずっとしまってるあの箱に脅えてるのかい?
While his genocide fools and his friends rearrange
やつの大量虐殺の道化どもとやつの友人たちが
Their religion of the little ten women that backs up their views
自分たちの観点を後押ししてくれている可愛い10人の女たちという
自分たちのその宗旨を組み替えている間にだ
But your face is so bruised
しかし、きみのその顔はまたこっぴどく殴られたもんだなあ
Come on out the dark is beginning.
さあ、出て来いよ、暗黒がはじまるぜ




Can you please crawl out your window?
きみのその窓からどうか這い出して来れないか?
Use your arms and legs
きみのその両腕と両脚を使ってだ
It won't ruin you
それできみが破滅したりすことはないよ
How can you say he will haunt you?
やつに怨まれるなんて、きみはよく言えたもんだなあ?
You can go back to him any time you want to.
いつだって、きみは、自分が好きなときに
やつのところに戻って行けるんだぜ








Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞










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わたしのような困った男には、
よその(男の)女を「遊びに行こうよッ!」と誘ってる歌としか聴こえませんが、
どっかから、また、「おまえはディランを全然わかってない、ひどすぎるッ!」とかいうお叱りを受けるかもしれませんねー(嘘汗)
世界にはディラノロジストといわれる研究者も大勢いることですから、そういう方面からの矛先がきょうのこの歌(の訳詞)にも向けられることもありえなくはないことです。うーむ、要警戒。っつーことで、ちょっくら専守防衛計画みたいなものを立案してみましょうか。ということで、久々にスパーリングを少々いってみまひひょーかく・・・・


たしかにわたしは上掲のごとく、ほとんど無意識といっていいかたちを装いながら、
この歌のタイトル・フレーズが呼びかけている歌の中の「you」を女性として(そのことにより)また(おそらくは)「窓」の内側(それはドアの中でもあり、また壁の中でもあるのだが、そこ)にともにいるだろう「he」との関係を(ほとんど暗黙のうちに)(当然のようにして)何らかの恋愛関係なり、愛憎関係なりの(いわゆる)男女関係をデッチ上げ、それを(あたかも自明の)前提とするようにこの曲の原詞を日本語に置き換える作業を進めてきた。その結果が上の訳詞だ。
(もちろん、その「you」を男性として見たところで、そこに同性愛関係を見るならば、それは訳詞としては、さしたる違いをそこにもたらすことはないだろう。したがって、その「you」の性別はあくまでも見せかけの問題であるにすぎないわけだが)
しかし、その「彼」との関係を(恋愛や性愛もまたそのひとつであるところの)一種の「力関係」(たとえば、支配=被支配の関係といった権力関係)と(して)だけ見るならば(必ずしもそこには男女間の(もしくは同性間の)恋愛や性愛といった要素は(この歌の中に認める)必要はなくなり、おそらくは、まったく違った(訳詞がそこに求められる)歌に聴こえてしまうことだろう。
つまり、この歌の核をなしている(歌のタイトルフレーズで呼びかけられる)「you」と「he」(そして、さらにこの歌の「歌い手」(=語り手)である人物と彼らふたりの関係もまったく違ったものとなるだろう。
(そこには、(たとえば)(隷属とか盲従とか解放とか救済といった)(思ってもみなかった)いろんなドラマが垣間見えてくるだろう。)
つまり、(そうしたことから一気に一般論の圏内に急降下するならば)歌の持つ(それは歌詞の属性でもあるのだが)柔軟性とは、実は、こうした歌詞の(作詞上の)叙法における設定や限定の(必然的な)緩さからくる不定性(それは曖昧さとも自由さとも呼べるものだが、ひとえにそれは(小説や戯曲や脚本や詩と比べるまでもない)「歌」というもののその容量のコンパクトさに由来しているものと言えるだろう)(つまり、その不定性)のなせるわざであることがよくおわかりになることかと思います。


そして、わたしのような困った男には、
あいかわらず、この歌は、どっかのよその男のねーちゃんを(そっと内緒で窓から)誘い出してる歌にしか聴こえなかったりするのです。



エキセントリックがわかる凡人というのも世の中には必要な役回りかもしれませんね。






なかなかかっこいい役回りかもしれません。


がやはりかっこいいのとこれを書いていて思ったのでした。






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【A Year Ago−Go!】





(1年前のエントリーを Playback♪)





THE KINKS 「ソープ・オペラ」全訳 (7)


・「ネオンのまぶしさ」 (キンクス

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20051121

*1:feel peel kneel の韻がこのあたりの主体で意味はあとからついてくるという姿勢だろう、

*2:「心眼」ともいうべき超感覚的な感覚器官で、LSDなどの幻覚剤の使用による内省的な洞察力を併せ持つものらしく、指圧(のツボで)でいう「印堂」のあたりにあるみたいです、よく知りませんがー。しかし、直前にわけのわからないことを歌っておいて、つづけざまに「第三の目」はないだろうに・・・・・>ディランさん。