On The Road Again

Words & Music by Bob Dylan.
(1965年発表)





(原題直訳 「再び旅に出る」)




From Bob Dylan album, "Bring It All Back Home".
名作アルバム度 ☆☆☆☆☆

「ブリング・イット・オール・バック・ホーム」 (ボブ・ディラン





歌詞は、次のURLから
http://bobdylan.com/moderntimes/songs/roadagain.html




名曲度 ☆





邦題 「オン・ザ・ロードアゲイン」 (ボブ・ディラン








Well, I woke up in the morning
あのさ、おれが、朝、目を覚ましたら
There's frogs inside my socks
靴下の中にカエルが一匹いやがった
Your mama, she's a-hidin' inside the icebox
きみのおふくろさんときたら
彼女、アイスボックスの中に隠れたまんまだぜ
Your daddy walks in wearin' a Napoleon Bonaparte mask
きみの親父はナポレオン・ボナパルトのお面をつけて歩いてる
Then you ask why I don't live here
するってえと、きみが訊くんだ
どうして、おれはここで暮らさないのかと
Honey, do you have to ask?
かわいこちゃん
きみは、そんなこと訊かなきゃならないのかよ?




Well, I go to pet your monkey
まあな、おれはきみのお猿さんの相手をしてる
I get a face full of claws
顔中、おれは引っ掻き傷だらけになっちまったぜ
I ask who's in the fireplace
暖炉のところにいるのは誰なんだいと
おれが訊くと
And you tell me Santa Claus
きみが
サンタクロースだと教えてくれる
The milkman comes in
牛乳屋が入って来る
He's wearing a derby hat
そいつはダービーハットなんかかぶってやがるんだ
Then you ask why I don't live here
そうすると、きみが訊くんだ
おれは、どうしてここで暮らさないのかと
Honey, how come you have to ask me that?
かわいこちゃんよお、
おまえ、よくそんなこと訊けるもんだなあ?




Well, I asked for something to eat
うんうん、おれは何か食いものを頼んだんだ
I'm hungry as a hog
おれは犬みたいに腹をすかせてた
So I get brown rice, seaweed and a dirty hot dog
それで、おれはブラウンライスと海草に
それと汚らしいホットドッグにありついた
I've got a hole where my stomach disappeared
おれは
胃なんて消え失せて、そこんとこに穴があいちまったぜ
Then you ask why I don't live here
そうすると、きみが訊くわけだ
どうして、おれはここで暮らさないのかと
Honey, I gotta think you're really weird.
かわいこちゃんよお、
おまえってやつは本当におかしなやつだと
おれは思うぜ




Your grandpa's cane
あんたのお祖父ちゃんの杖だけど
It turns into a sword
あれが剣に変わるんだ
Your grandma prays to pictures
That are pasted on a board
あんたのお祖父ちゃんは
ボードに貼ってある絵に向かって祈るんだ
Everything inside my pockets
おれのポケットの中の一切を
Your uncle steals
おまえの叔父さんに盗まれる
Then you ask why I don't live here
それなのに、きみは訊くんだぜ
どうして、おれはここで暮らさないのかって
Honey, I can't believe that you're for real.
かわいこちゃんよお、
きみが本気で言ってるのか
おれには信じられないぜ




Well, there's fist fights in the kitchen
おやおや、キッチンで殴り合いの喧嘩が起きている
They're enough to make me cry
やつらのおかげで
こっちは怒鳴りだしたいぐらいだぜ
The mailman comes in
郵便屋が入って来て
Even he's gotta take a side
そいつでさえ
どちらかの側かにつかされるんだ
Even the butler
執事でさえ
He's got something to prove
自分が証明すべき何かを持ってるんだ
Then you ask why I don't live here
するってえと、きみは訊くんだ
おれが、どうして、ここで暮らさないのかと
Honey, how come you don't move?
かわいこちゃんよお
あんたは、よく出て行かずにいられるもんだぜ








Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞









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ボブ・ディラン24歳のときの作品。
その年齢にありがちな「世の中、くーだらねえし、ふざけてるよな、やってらんねえぜッ」って感じから生まれた歌だろう。
(同じアルバムには、きょうのこの歌とほとんど同じ内容、同じ趣向の(「もう、おれはマギーの農場で働くつもりはねえぜ」という)名曲「マギーズ・ファーム」が入っているけれども、この「マギーの農場」は(発表されて15年後の)1980年にイギリスで(マンフレッド・マンの最初のヴォーのカルだった)ポール・ジョーンズや(ジョー・コッカーのバック・バンドだったグリーズ・バンドでギターを弾いていた(のちにポール・マッカートニーのウィングズに(実弟のジミー・マックロー亡き後に参加する))ヘンリー・マックローらのブルース・バンド(という名前のバンド)によって(前年1979年のイギリスの総選挙で圧倒的な勝利を収めて政権の座に就いた保守党の)マーガレット・サッチャー首相(とその過激な国家改造の(「福祉」と「労働」という「聖域」蹂躙の痛みありすぎの)諸改革(の勇気ある断行)に向けて歌われ(EP盤ながら)(全英シングル・チャートの68位までなる)人気を集めた。きょうのこの歌も(そこに登場する「お祖父ちゃん」や「親父さん」ゆえに)「なぜ、この美しい国に生きないのか? なんて訊くあんたはへんな人だねえ」という安倍首相に歌ってあげてもいいかもしれない。*1





・「マギーズ・ファーム」 (ボブ・ディラン
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050729









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【A Year Ago−Go!】






(1年前のエントリーを Playback♪)




THE KINKS 「ソープ・オペラ」全訳(3)

・「ラッシュ・アワー・ブルース」 (キンクス

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20051117

*1:要するにポップ・ミュージックというのは(ブルースなどもそうだが)ある状況や設定に(ジグソー・パズルのピースのように)はめ込んで見せることで(初めて)(新たな(ときにはべつの))意味が生まれて(曲自体もまたべつの生を生)きたりすることがあるものなのだが、わたしがあえて(唯一絶対の正しいその歌の意味(やら、作者の意図など)には知らん顔で)多様な解釈を許す開かれた訳としての(まさにそこに配されてあるがとおりの言葉そのものとしての)「歌詞」の日本語訳を心がけるゆえは、そういうことからなのだが、また、だからこそ、原詞と訳詞を1行ごとの対訳として表示してるわけだが、これは(訳者としては)けっこう度胸がいることなんですよー。イヨーッ、役者! とか(;´Д`)、そういうことはどうでもいいのだが、24歳のボブ・ディランの1965年の歌を1980年の第一次サッチャー内閣指導下のイギリスの国内状況に当てはめてみせたブルース・バンドの例など、そのひとつの実例と言えるポピュラー・ミュージックの歴史の一挿話といえるだろう。また、英語(の歌)における代名詞や関係詞の多用が、そういう歌詞の意味に幅を持たせる多様性を成立しやすくしている大きな理由(のひとつ)としてあげることができるだろう。これについてはまたべつの折りに述べさせていただくとする。