To The Last Whale

(1975年発表)*1





(原題直訳 「最後の鯨に」)





A. Critical Mass


(原題直訳 「危機へのミサ」)

Music by David Crosby.




B. Wind On The Water


(原題直訳 「海上の風」)

Words & Music by Graham Nash.




From Crosby & Nash album, "Wind On The Water".
名作アルバム度 ☆☆☆☆

「ウインド・オン・ザ・ウォーター」(デイヴィッド・クロスビー&グラハム・ナッシュ)





歌詞は、次のURLから
http://www.alpha.nl/CSN/lyrics/windotwater.html


名曲度 ☆☆☆

「(邦題不明)」(デイヴィッド・クロスビー&グラハム・ナッシュ)











Over the years you have been hunted
ずっと長年にわたって、きみたちは獲られてきた
By the men who threw harpoons
銛を投じる人間たちによって
And in the long run he will kill you
そして、そのうち、いつか
人類は、きみたちを死滅させてしまうだろう
Just to feed the pets we raise,
ただ、ぼくたちが飼っているペットに餌をやるために*2
Put the flowers in your vase
あなたがたの花瓶に花を生け
And make the lipstick for your face.
そして、あなたがたの化粧用に口紅を作る




Over the years you swam the ocean
長年にわたり、ずっと、きみたちは大洋を泳いでだ
Following feelings of your own
きみたち自身の思いのままに
Now you are washed up on the shoreline
いま、海岸線にきみたちが打ち上げられている
I can see your body lie
よこたわるきみのからだが
ぼくには見える
It's a shame you have to die
きみらが死んでいかなきゃならないんて
これは恥ずべきことだ
To put the shadow on our eye
ぼくたちの目を暗くさせる




Maybe we'll go
きっと、ぼくらは行ってしまうだろう
Maybe we'll disappear
きっと、ぼくらは消えていってしまうだろう
It's not that we don't know
ぼくたちは知らないわけじゃない
It's just that we don't want to care.
ただ、ぼくたちは気にしたくない、そういうことなんだ




Under the bridges
いくつもの橋の下を
Over the foam
海原の上を
Wind on the water
水面の風が
Carry me home.
ぼくを家へと運んでいく





Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞








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きょうのこの曲でいちばん鋭いメッセージを発しているのは、このくだりだろう、




It's not that we don't know
It's just that we don't want to care.

ぼくたちは知らないという、そういうわけじゃない
ただ、気にかけたくないんだ、それだけのことなんだ



これはべつに「鯨」のことにかぎらず、世の中のあらゆる問題について言えることだろう。パレスチナのことも、核廃棄物のことも、その他、まだまだいろんなことについても・・・・*3
わたしたちは、けっして全然知らないわけじゃない、ただ、それを「問題」として掘り下げたり、(自分たちに関わることとして)気にするのがいやなのだ。
なぜか? おそらく、それは気にすることによって、その問題に目を向け、そこに見えてくるものによって、何らかの変更を(ないしは態度決定を)わたしたちが迫られることになるからだろう。つまり、考えねばならず、その結果、何らかの姿勢の表明や行動の必要が自覚され、うながされる、そして、それは(いまある)自分たちのこの暮らしにある何らかの変化ないしは変更を迫ってくるものだということが(いやでも)予測されてしまうからだ(もしくは、かたくなに拒否の姿勢をとるなど、何らかの態度なり姿勢の表明が迫られることになる)、(ようするに)(そうしたことの、あるいは、それによる)困難を(できることなら)(わたしたちは)(いつまでも)回避していたいからだ。
これは、あらゆる社会的な「ムーブメント(=運動)」がまず最初に直面する大きな「壁」となることだろう。*4
そして、社会はこのようにして「変化」を(たえず)回避しつづけているのだ。
わたしは、先日、「全速力で静止している」というようなことを書いたが、それはつまり、人は(このように)日々、無数の葛藤を生きながら「変わること/変えること」を回避しているということでもあるのだと思い至る。
そして、ロックは(しかしながら)(さまざまなケースで)こうした「壁」(つまり、わたしたち自身)に向けて、いくつもの力のある呼びかけをしてきていることは、これまでにもよく知られているとおりだ。
例えば、独立直後のバングラディッシュの飢饉の救済を訴えたジョージ・ハリスンの呼びかけである「バングラデッシュ」、そして、アフリカの大規模な飢餓救済を呼びかけたボブ・ゲルドフらの「ライヴ・エイド」などが思い出されるだろう。

・「バングラデッシュ」
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050708

・「ウィー・アー・ザ・ワールド」
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050707






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【A Year Ago−Go!】




(1年前のエントリーを Playback♪)




・「レイニング・イン・マイ・ハート」 (バディ・ホリー

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050627

*1:この曲は、デイヴィッド・クロスビー作によるクロスビーとナッシュによるアカペラのコーラスの「Critical Mass」とグレアム・ナッシュ作による「Wind On The Water」の二部構成でできている。

*2:鯨はペットフードの原料として多く使われていた

*3:一時代まえには(北朝鮮の金体制による)「日本人拉致被害者」のことも、そうした「壁」によって解決が(いま以上に)大きく阻まれていたことは、わたしたちがいまよく知る事例だろう。)

*4:いわゆる「拉致家族」の長年にわたるその「運動」には頭が下がる思いがする。ほとんど誰にも相手にされずにここまで来たその「運動」というものの力は人が学んでおかねばならないことだと(わたしは)思う。