Reuben James




Words & Music by Woody Guthrie, Millard Lampell and Pete Seeger.*1
(1961年発表)*2





(原題直訳 「リューベン・ジェームズ号」)*3





From The Kingston Trio album, "Close-Up".
名作アルバム度 ☆☆☆

キングストン・トリオ)



And you can listen to Woody Guthrie compilation,
"This Land Is Your Land: The Asch Recordings, Vol. 1".
推奨アルバム度 ☆☆☆☆☆

ウディ・ガスリー




Also you can listen to The Weavers live album,
"The Weavers at Carnegie Hall, Vol. 2 ".
名作アルバム度 ☆☆☆☆

(ウィヴァーズ)




And you can listen to The Almanac Singers album, "Dear Mr. President"

アルマナック・シンガーズ)*4





歌詞は、次のURLから
http://www.lyricsdirectory.com/index/K/Kingston%20Trio/Kingston%20Trio%20-%20Reuben%20James%20lyrics.htm





名曲度 ☆☆





邦題 「ルーベン・ジェームズ」 (キングストン・トリオ)









Have you heard of the ship called the good Reuben James?
リューベン・ジェームズ号って船のことは聞いたことがあるかい?
Manned by hard fighting men both of honor and of fame.
栄光と名誉の双方をそなえた必死で戦う男たちが配属されていた船だ
She flew the Stars and Stripes of the land of the free,
その船は自由の国の星条旗をなびかせていたのだが
But tonight she's in her grave at the bottom of the sea.
しかし、今夜、その船は海の底の墓場にいる




Oh, tell me, what were their names, tell me, what were their names?
あゝ、教えてくれよ、ぼくに、彼らみんなの名前を、ぼくに教えてくれ、彼らの名前は?
Did you have a friend on the good Reuben James?
あのあっぱれなリューベン・ジェームズにきみの友達がいたんじゃないか?
Oh, tell me, what were their names, tell me, what were their names?
あゝ、ぼくに教えてくれ、彼らみんなの名前を、ぼくに教えてくれ、彼らの名前は?
Did you have a friend on the good Reuben James?
あのあっぱれなリューベン・ジェームズにきみの友達がいたんじゃないかい?




One hundred men went down to their dark and watery graves.
100人の男たちが暗い水浸しの墓場へと没していった
When that good ship went down, only forty-four were saved.
勇猛なあの艦が沈んだとき、助かったのは44名でしかなかった
'Twas the last day of October they saved forty-four
人々がその44名を救出したのは、10月の最後の日
From the dark, icy water of that cold Iceland shore.
アイスランドの浜辺の暗い凍てつくような海の中からだ




Oh, tell me, what were their names, tell me, what were their names?
あゝ、教えてくれよ、ぼくに、彼らみんなの名前を、ぼくに教えてくれ、彼らの名前は?
Did you have a friend on the good Reuben James?
あのあっぱれなリューベン・ジェームズにきみの友達がいたんじゃないか?
Oh, tell me, what were their names, tell me, what were their names?
あゝ、ぼくに教えてくれ、彼らみんなの名前を、ぼくに教えてくれ、彼らの名前は?
Did you have a friend on the good Reuben James?
あのあっぱれなリューベン・ジェームズにきみの友達がいたんじゃないかい?




It was there in the dark of that cold and watery night.
それは寒い湿った夜の闇の中だった
They watched for the U-boats and they waited for a fight.
彼らはUボートを警戒し、戦闘のため待機していた
Then a whine and a rock and a great explosion's roar.
そのとき、ヒュルヒュルという音と激震と、そして大爆音が起こったのだ*5
They lay the Reuben James on that cold ocean floor.
あいつらは冷たい大海原の底にリューベン・ジェームズを倒したのだ




Oh, tell me, what were their names, tell me, what were their names?
あゝ、教えてくれよ、ぼくに、彼らみんなの名前を、ぼくに教えてくれ、彼らの名前は?
Did you have a friend on the good Reuben James?
あのあっぱれなリューベン・ジェームズにきみの友達がいたんじゃないか?
Oh, tell me, what were their names, tell me, what were their names?
あゝ、ぼくに教えてくれ、彼らみんなの名前を、ぼくに教えてくれ、彼らの名前は?
Did you have a friend on the good Reuben James?
あのあっぱれなリューベン・ジェームズにきみの友達がいたんじゃないかい?




Many years have passed since those brave men are gone.
あの勇敢な男たちが逝ってから長い年月が過ぎている
Those cold, icy waters, they're still and they're calm.
あの冷たい凍てつくような海は、いまや静かで穏やかだ
Many years have passed and still I wonder why
長い年月が過ぎ去って、ぼくはいまでも不思議に思う
The worst of men must fight and the best of men must die!
戦わなければならないのは人類にとって最悪なこと
そして、人類の最良の者たちが死んでいかねばならないのだ!*6




Oh, tell me, what were their names, tell me, what were their names?
あゝ、教えてくれよ、ぼくに、彼らみんなの名前を、ぼくに教えてくれ、彼らの名前は?
Did you have a friend on the good Reuben James?
あのあっぱれなリューベン・ジェームズ号にきみの友達がいたんじゃないか?
Oh, tell me, what were their names, tell me, what were their names?
あゝ、ぼくに教えてくれ、彼らみんなの名前を、ぼくに教えてくれ、彼らの名前は?
Did you have a friend on the good Reuben James?
あのあっぱれなリューベン・ジェームズ号にきみの友達がいたんじゃないかい?







Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞







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海が「交=通」の場となれば、それは実質的に陸の延長となるだろう。
「海原」という日本語がそれをよく示している。*7
そうなれば、海もまた戦場と化すことになる。
そこでは「水夫」を意味する「sailor」は(日本語では)「水兵」と呼ばれることになるだろう。
まさに、「海行かば水漬く屍、山行かば草生す屍」(Words by 大伴家持, Music by 信時潔)である





※さてさて、上記の歌詞中の註に記したとおり、
直後に書かれたウディ・ガスリーのオリジナルでは、最後の段の歌詞は次のようになっている。





Now tonight there are lights in our country so bright
いま、今宵、われらのこの国では光がとても明るく灯っている
In the farms and in the cities they're telling of the fight.
農場でも、都会でも、人々はこの戦いのことを語り合う
And now our mighty battleships will steam the bounding main
そして、いま、この勇猛な戦艦が、煙を上げて、荒波高い大海原を進んでいくのだ
And remember the name of that good Reuben James.
そう、このあっぱれなリューベン・ジェームズ号の名前を憶えておこう




ガスリーのこのオリジナルの歌詞に、もしも、この歌を戻すとすると、もしかしたら、
ナチのUボートによる開戦まえのこの戦艦リューベン・ジェームズの撃沈という出来事は、
さしたる無理もなく、あの2001年9月11日後のアメリカにダブル・エクスプロージャさせることができるかもしれない


「リューベン・ジェームズ」という戦艦の沈没でなく、「世界貿易センター」というビルディングの崩落、


そのイメージから見えてくることは、

戦いは、あきらかに常軌を逸し、そして凄まじいまでに凶暴化している・・・・・・という事態だ*8




だが、(いずれにせよ)歌のリフレインの部分は、かわることなく、




Oh, tell me, what were their names, tell me, what were their names?
Did you have a friend on the good Reuben James?
Oh, tell me, what were their names, tell me, what were their names?
Did you have a friend on the good Reuben James?


あゝ、教えてくれよ、ぼくに、彼らみんなの名前を、ぼくに教えてくれ、彼らの名前は?
あのあっぱれなリューベン・ジェームズ号にきみの友達がいたんじゃないのかい?
あゝ、ぼくに教えてくれ、彼らみんなの名前を、ぼくに教えてくれ、彼らの名前は?
あのあっぱれなリューベン・ジェームズ号にきみの友達はいたんじゃないかい?




というものだ。







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【A Year Ago−Go!】





(1年前のエントリーを Playback♪)



・「レインメーカー」 (トラフィック

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050624

*1:1960年に刊行された「ザ・ウィーヴァーズ・ソングブック」The Weavers Song Bookという彼らのレパートリーを集めた楽譜集では、この歌の作者として「Words and Music by Woody Guthrie. Last verse by Fred Hellerman.」というクレジットがある。これは、つまり、(4番にあたる)最後の段の歌詞がのちにウィーヴァーズのメンバーのひとり、フレッド・へラーマンによって書き加えられたものだという注記であるわけだが、実際、そのことはほとんど知られず、現在のこのかたちのものが広まっていったようで、このヘラーマンの名前が共作者としてクレジットされている例はあまりないそうだ。戦時中に書かれたガスリーによるオリジナルのかたちのものが、戦後の時代にそぐわないと感じられたのかもしれない。歌われた出来事の直後に書かれたガスリーのオリジナルについては、別記しておくので、そちらを参照してください。また、この歌のメロディーはフォークソングの名曲としてよく知られる「Wikdwood Flower」(「野生の花」)のメロディーを全面的に(ほとんど替え歌のようにして)転用している。

*2:ただし、キングストン・トリオの発表年。オリジナルは、ウディ・ガスリーピート・シーガーらと組んでいたアルマナック・シンガーズによる1942年の発表によるもの。

*3:昔々、まだ、アメリカがドイツ、イタリアに対するヨーロッパの戦争に参戦を決定する以前の1941年の10月、大西洋から北海を航行中の合衆国海軍戦艦のリューベン・ジェームズがアイスランド沖でナチス・ドイツの潜水艦Uボートによって撃沈され、乗組員のうち86名が死亡するというアメリカ中を震撼させる出来事があった。(だが、当時のアメリカは世論の高まりをよそにその年の12月7日の日本軍によるハワイのパールハーバー基地の攻撃を受けるまで、ヨーロッパの戦争への参戦表明には至らなかった。)こうした世の中の出来事を次々に歌にしていくことで有名なウディ・ガスリーだが、当初、彼がきょうのこの歌「リューベン・ジェームズ」を書こうとしたその発想は、犠牲となった死者86名の全員の名前と略歴をひとりひとり歌い込んでいくというものだったそうだが、おそらく世界中のさまざまな民族の流れをくむ名前の響き、それこそが「アメリカ」なのだという感慨をもたらすものだったことだろう。しかし、当時、ガスリーが活動をともにしていたアルマナック・シンガーズとのレパートリー・ミーティングでディスカッションをする中で、やはり、それは冗長に過ぎるという意見が出て、結局、それは(この歌の肝となっている)リフレイン部分の「教えてくれ、彼らみんなの名前を」というメッセージになって曲が完成することになる。キングストン・トリオのトラックでは、この歌のタイトルは(ここに見るとおり)単に「リューベン・ジェームズ」とその戦艦の艦名だけのタイトルになっているが、作者のウディ・ガスリーらのオリジナルでは、その題名は「Sinking of the Ruben James」(「リューベン・ジェームズの沈没」)というタイトルになっている。敢えて強引な読みをするなら、「リューベン・ジェームズ」という軍艦が沈んで、その乗組員たるさまざまな民族の血を引いた者たちのひとりひとりの名前が浮かび上がるということになろうか。それを(誰もが知っている)「野生の歌」Wildwood Flowerというアメリカ民謡のメロディーに乗せて歌うのだから、このウディ・ガスリーというおっさん、やはりただ者ではありませんなー。とか言ったりして、でへへ、すんまへんw。なるほど「野生の花」かァ、ウーム、なるほど・・・・・、だが、これは同じアメリカのフォークソングの名作(で、やはりアルマナック・シンガーズのメンバーであり、きょうのこの歌の共作者のひとりでもあるピート・シーガーの)「花はどこへ行ったの」へもつながる要素でもあるのではないか、「花」と「兵士」という展開・・・・・。「花はどこへ行った」参照URL http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060122

*4:ここではピート・シーガーがリード・ヴォカールをとっているようだ。

*5:Uボートが発射した魚雷の命中である。

*6:この最後の部分は、のちにウィーヴァーズのフレッド・ヘラーマンが書き足したもので、ウディ・ガスリーが戦時中に書いたオリジナルでは、この最後の段落は別記のとおり。

*7:こうして毎日のように外国語に触れているせいで(?)日本語が相対化されて映るせいかもしれないが、陸上の語彙を異界であるはずの海にも適用させていく、そんな日本語に培われた精神には(どうやら異族を配下に治める)世界的な「帝国」の経営にはどうやら不向きだったようで、かつて海外(すなわち南方や大陸など)に獲得した領土において、そうした精神が外地においても日本語の地名をつけ、日本の神社を建立し、そこに住む人々に日本語を強制して教え込むといった、およそイギリス人なら呆れるだろう植民地経営の無能をさらけだし、結局は、名ばかりの「大日本帝国」という「帝国」の統合と運営に見事に失敗している。異界において、その「外」部性(すなわち「異質」さ)にことごとく目をつむるように(ひたすら)(敷衍による)(一方的な)同化を試みようとするのは、(ある程度は)「海」を「野原」のごとく「海原」と呼ぶような、そんな日本語によって培われた精神によるものではないかとわたしは睨んでいるのだが・・・・・

*8:秩序という知性はそこにおそらく制度化され公的に運営された統括された暴力と、そうではない一定程度の自発性を有した自由度の高い暴力、すなわち、たぶんに公共の安全を脅かす(犯罪性を孕んだ)暴力と、それを取り締まろうとする(日本語で言う「国際社会」すなわち(英語で言うところの)「インターナショナル・コミュニティ」(国家間共同体(と言うと大仰で厳密に過ぎてしまうが))における治安警察的な機能との対比を見ることだろう。しかし、本来的に秩序をめざすものである知性は、解析的な働きをして(その結果、新たな認識を機に自らが変わることで)「問い」を組み替え、別種の答えをうながすかたちでより有効な新たな秩序の可能性を模索するものであって「警察」的な力の行使のみに頼るものではないだろう。そういえば、「Which Side Are You On?」(どっちの味方?)というアメリカのフォークソングもありましたね。あれはガスリーだったか、ピート・シーガーでしたか? あとでちょっと調べてみましょう。