Universal Soldier

Words & Music by Buffy Sainte-Marie.
(1965年発表)




(原題直訳 「万国の戦士」)




Performed by Donovan.


You can listen to Donovan compilation,
"Summer Day Reflection Songs".
推奨アルバム度 ☆☆☆

(ドノヴァン)



And you can listen to Buffy Sainte-Marie album, "It's My Way".
名作アルバム度 ☆☆☆

バフィー・セントマリー)




歌詞は、次のURLから
http://www.creative-native.com/lyrics/univelyr.htm





名曲度 ☆☆




邦題 「ユニヴァーサル・ソルジャー」 (ドノヴァン)








He's five foot-two,
彼は身長5フィート2インチ
And he's six feet-four,
そして、彼は6フィート4インチ
He fights with missiles and with spears.
彼はミサイルと槍で戦う
He's all of thirty-one,
彼はすでに31歳
And he's only seventeen,
そして、彼はまだ17歳でしかない
Been a soldier for a thousand years.
戦士をしてきた、1000年間にもわたって




He'a a Catholic, a Hindu,
彼はカトリック教徒であり、ヒンズー教徒であり
An Atheist, a Jain,
無神論者であり、ジャイナ教徒であり
A Buddhist and a Baptist and a Jew.
仏教徒であり、バプティストであり
またユダヤ教徒でもある
And he knows he shouldn't kill,
そう、彼は知っているのだ
殺すべきではないことを
And he knows he always will,
そして、また、
自分がいつでも殺すだろうことも知っているのだ
Kill you for me my friend and me for you.
友よ、彼はわたしのためにあなたを殺し
そして、あなたのためにこのわたしを殺すのだ




And he's fighting for Canada,
そう、彼はカナダのために戦っている
He's fighting for France,
彼はフランスのために戦っている
He's fighting for the USA,
彼はアメリカのために戦っている
And he's fighting for the Russians,
彼は、また、ロシア人たちのために戦っている
And he's fighting for Japan,
そして、彼は日本のために戦っている
And he thinks we'll put an end to war this way.
そう、彼が考えているのは
わたしたちは、こうやって戦争を終わらせるのだということだ





And he's fighting for Democracy,
そう、彼は民主主義のために戦っている
He's fighting for the Reds,
彼は共産主義者のために戦っている
He says it's for the peace of all.
彼が言うには、それは万民の平和のためだという
He's the one who must decide,
Who's to live and who's to die,
彼こそは
誰が生き、誰が死ぬかを決める者なのだ
And he never sees the writing on the wall.
そして、彼にはけっして壁に書かれた文字が目に入ることはない*1




But without him,
しかし、この彼なしには
How would Hitler have condemned him at Dachau?
ヒトラーはどうやってダッハウ*2での抹殺を宣告できただろうか?
Without him Caesar would have stood alone,
彼がいなければ、シーザーも孤立していたことだろう
He's the one who gives his body
As a weapon of the war,
彼こそが己れの体を戦争の武器として与える者
And without him all this killing can't go on.
そして、彼なくしては
こうしたいっさいの殺戮はつづきはしないのだ




He's the Universal Soldier
彼こそは万国の戦士(ユニヴァーサル・ソルジャー)
And he really is to blame,
そして真に責められるべき者
His orders come from far away no more,
彼が受ける命令は、もはや遠方から来るのではない
They come from here and there and you and me,
それは、ここから、そして、そこからやって来る、
そう、あなたから、そして、わたしから届くのだ
And brothers can't you see,
そして、兄弟たちよ
あなたがたにはわからないのだろうか
This is not the way we put the end to war.
これは
わたしたちが戦争を終わらせるやり方ではないのだということが








Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞







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まだ、ボブ・ディランの真似をしてプロテスト・ソングを歌っていたころのドノヴァンのヒット曲で、バフィー・セントマリーの最初のアルバムにあったこの歌ををいち早く取り上げている。





And he's fighting for Canada,
He's fighting for France,
He's fighting for the USA,
And he's fighting for the Russians,
And he's fighting for Japan,
And he thinks we'll put an end to war this way.


そう、彼はカナダのために戦っている
彼はフランスのために戦っている
彼はアメリカのために戦っている
彼は、またロシア人たちのために戦っている
そして、彼はまた日本のために戦っている
そう、彼が考えているのは
わたしたちは、こうやって戦争を終わらせるのだということだ





各国の兵士たちが戦うのは、
戦争によって自国に有利なかたちで争いを終わらせようということのためだが、
いったんはじまってしまえば、その戦争は戦争に勝利することによって(もしくは敗北することによって)しか終わることはない。
この歌が言わんとしているのは(いい加減にもう)戦争によって争いを(また戦争によって戦争を)終わらせることはやめにしようものだろう。
言うまでなく、それはこのわたしたちの暮らす列島の憲法の9番目の謳い文句に共通する発想だ。




He's five foot-two,
And he's six feet-four,
He fights with missiles and with spears.
He's all of thirty-one,
And he's only seventeen,


彼は身長5フィート2インチ
そして、彼は6フィート4インチ
彼はミサイルと槍で戦う
彼はすでに31歳
そして、彼はまだ17歳でしかない




そして、この歌は、
実際に戦争を戦う各国の兵士たちを
国の違いや個々人の違い、思想信条の違いを超え、
さらには悠久の時の流れさえも超えて
ひとつの「万国の兵士」という普遍的(ユニヴァーサル)なかたちでとらえている。*3




Been a soldier for a thousand years.


戦士をしてきた、1000年間にもわたって




そして、この「万国の兵士」たちは(かつての日々とは違って、どこか手の届かない大いなる者の命令によってではなく)(ごく身近な)わたしやあなたの命令によって動いているのだというところに歌は目を向けさせる。



His orders come from far away no more,
They come from here and there and you and me,


彼が受ける命令は、もはや遠方から来るのではない
それは、ここから、そして、そこからやって来る、
そう、あなたから、そして、わたしから届くのだ



という(言うならば)「民主主義」国、民主主義社会における戦争というのは、わたしたちが起こすものであり、その戦争に従軍する「万国の兵士」たちはわたしたちの命令で動いているということになる。であるのなら、それはわたしたち自身によって自発的・主体的に戦争を(また、戦争という武力の行使、すなわち暴力によって争いごと(=問題)を解決しようとすることを)やめにすることができるはずだという事実を喚起させる。




And brothers can't you see,
This is not the way we put the end to war.


そして、兄弟たちよ
きみたちにはわからないのか
これは、わたしたちが戦争を終わらせるやり方ではないのだということが




けっこう手の込んだ知的なロジックに基づいた歌であることに驚く。*4






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【A Year Ago−Go!】




(1年前のエントリーを Playback♪)



・「やせっぽちのバラッド」 (ボブ・ディラン

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050316

*1:旧約聖書」の「ダニエル書」第5章(5節〜24節)によるもので(不思議な手が壁に書きつけた文字は)ダニエルによって「残された日々は限られている」と解読できるもので、それをこの歌に当てはめて言えば、「いつまでも(戦争という)そんなやり方が通じるわけではない」ということになるだろう。

*2:ナチス・ドイツ政権下の最初の強制収容所政治犯や反社会分子、ユダヤ人が収容されていた。この歌が発表された当時は、このダッハウ収容所のガス室でもユダヤ人の大虐殺が行われたとされ、アウシュヴィッツよりもむしろこのダッハウのほうが広く世界に知られていたが、その後の調査で同収容所では虐殺はなかったものとされるようになったという。

*3:そのあたりがバフィー・セントマリー作の(この歌の)発想のユニークさといえるだろう。実際にそれがこの歌のタイトルにもなっている。

*4:しかし、こういう歌を聴いていると、ジョン・レノンの「イマジン」というのが(いかに)超「ウルトラC」級の離れ技であったかがよくわかります。