Acute Schizophrenia Paranoia Blues


Words & Music by Raymond Douglas Davies.
(1971年発表)



(原題直訳 「突発性分裂症偏執症ブルース」)*1




From The Kinks album, "Muswell Hillbillies".
名作アルバム度 ☆☆☆☆☆


「マズウェル・ヒルビリーズ」 (キンクス





歌詞は、次のURLから
http://hobbes.it.rit.edu/




名曲度 ☆




邦題 「パラノイア・ブルース」 (キンクス








I'm too terrified
ぼくはビクビクしすぎて
To walk out of my own front door,
自分の家の玄関から外を出歩けない
They're demonstrating outside
おもてじゃみんながデモをやってる
I think they're gonna start the third world war,
世の中、第3次世界大戦がおっぱじまるんじゃないだろうか
ってぼくには思える
I've been to my local head shrinker,
地元の神経科の医者に行ってみたんだ
To help classify my disease,
ぼくの病気がどの程度のものなのか
力になってもらいたくてね
He said it's one of the cases
医者が言うには、ぼくのは、よくある
Of acute schizophrenia he sees.
突発性の分裂症だっていう、そういう診断




Well the milkman's a spy,
うん、あの牛乳屋はスパイなんだよ
And the grocer keeps on following me,
そして、八百屋はぼくのことをずっと尾行してきている
And the woman next door's an undercover for the K.G.B.,
それと、隣の家のあの女、KGBの秘密工作員なんだぜ
And the man from the Social Security
おまけに社会福祉局の男ときたら
Keeps on invading my privacy,
しょっちゅうおれのプライバシーを侵害してやがるんだぜ
Oh there ain't no cure for acute schizophrenia disease.
あゝ、突発性分裂症には全然手のほどこしようがないんだよ




I've got acute schizophrenia, paranoia too,
ぼくは突発性分裂症なんだ
パラノイア(偏執症、妄想症)でもあるよーん
Schizophrenia, schizophrenia,
分裂症だァーッ、分裂症だァーーッ
I've got it, you've got it,
ぼくも、あなたも
We can't lose,
みんな逃れられない
Acute schizophrenia blues.
突発性分裂症のブルース




I'm lost on the river,
ぼくは河で溺れてしまっている
The river of no return,
帰らざる河だ
I can't make decisions,
決断というものが、ぼくにはできないんだ
I don't know which way I'm gonna turn,
どっちに曲がったらいいのかもわからない
Even my old dad,
おれの老いぼれた親父でさえ
Lost some of the best friends he ever had,
これまでの仲のいい友達を何人か失くしてきている
Apparently, his was a case of acute schizophrenia too.
明らかに親父の場合も、突発性分裂症だったんだ




I've got acute schizophrenia, paranoia too,
ぼくは突発性分裂症なんだ
パラノイアでもあるよーん
Schizophrenia, schizophrenia,
分裂症だァーッ、分裂症だァーーッ
I've got it, you've got it,
ぼくも、あなたも
We can't lose,
みんな逃れられない




They're watching my house
ぼくン家は、あいつらに見張られてる
And they're tapping my telephone,
ほんで、あいつら、ぼくの電話を録音してるんだ
I don't trust nobody,
誰も信用できないよ
But I'm much too scared to be on my own
でも、こわすぎて自分ひとりでもいられない
And the income tax collector's got his beady eye on me,
それに、あの所得税の徴収人に
ちっこいギラついた目をつけられちまってるんだ
No there ain't no cure for acute schizophrenia disease.
まいるぜ、突発性の分裂症にはまるで打つ手はないときた




No there ain't no cure for
そう、まるで打つ手はないんだよ
Schizophrenia disease.
分裂症にはね







Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞






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ときにコミック・バンドに限りなく近づいてわたしたちをゲラゲラ笑わせてくれるキンクスだが、
この歌が収められたアルバム「マズウェル・ヒルビリーズ」ではことにその傾向が顕著だ。
ウディ・アレンの初期の映画のような神経症ネタがアルバムのあちこちに見え隠れしている。
この歌「突発性分裂症妄想症のブルース」の命になっているのは、(一緒に歌ったりしてみるとすぐによくわかるのだが)パンチ・ラインになっている次のフレーズ、




Oh there ain't no cure for acute schizophrenia disease.

あゝ、突発性分裂症にはまるで打つ手がないときてる



の「Oh there ain't no cure for」の「oh」と「no」と「for」はあたりまえとしても、
(それにつづく)「acute schizophrenia disease」へとこだましていく
「cure」と「acute」と「schzo(-phrenia)」の尋常ならざる(「キ」の音(「気」印?w)が作り出す)韻のおかしさにほかならない。
おそらくレイ・デイヴィスは音韻的な必要上から(分裂症には通常は使われない)「acute」(突発性)という語を思いつき、それを持って来たのだろう。
それがあってこそ、このコマーシャル・ソングを思わせるような



I've got it, you've got it,
We can't lose,

ぼくも持ってる、あなたも持ってる
みんな、やめられない



というステロタイプな歌詞がさらに生きてくるのだ。
「突発性分裂症、妄想症つき」という時代の新製品というわけだ。

(そして、レイ・デイヴィスは最後の一節で、(これもステレオタイプな手法であるが)(「もしかしたら、これは本物の分裂症ではないか」と暗示するように)「acute」の語を省いて不気味に歌を終えている。)






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【A Year Ago−Go!】



(1年前のエントリーを Playback♪)


・「ワン・マン・バンド」 (ロジャー・ダルトリー

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050305

*1:すみません「統合失調症」という新語は知ってはいますが、(何ちゅーか)(言語における「罪刑法定主義」的な精神にのっとりw)旧来の「分裂症」という語を使わせてもらいますです。