A Face In The Crowd


Words & Music by Raymond Douglas Davies.
(1975年発表)




(原題直訳 「人混みの中の顔」)





From The Kinks album, "Soap Opera".
名作アルバム度 ☆ 

「ソープ・オペラ(石鹸歌劇)〜連続メロドラマ ”虹色の夢”」 (キンクス






歌詞は、次のURLから   
http://hobbes.it.rit.edu/






邦題 「群衆のなかの顔」 (キンクス









Our Star doesn't know who he is any more.
われらの主人公は
もはや自分が何者なのか
わからなくなってしまっている
Is he the starmaker, the image maker, looking for material
彼は素材を探しているスター請負人やイメージの作り手なのだろうか
Or is he just plain boring little Norman after all?
それとも、結局のところ、彼は
ただの退屈な、ちっぽけなノーマンにすぎないのか?
Perhaps he should accept that he is a plain ordinary bloke
おそらく彼は自分が何でもない
ごくあたりまえの男であることを受け入れるべきなのだろう
And not try to be something he is not.
そして
自分ではない何かになろうとするべきではないのだろう




I've got to stop faking it,
ぼくはふりをするのをやめなきゃならない
I've got to start facing it,
そのことをぼくは直視しなきゃならない
I'm going to take my final bow
ぼくは最後の挨拶をするとしよう
Then I'm going to take my place in the crowd.
そして、群集の中にわが身を置くんだ
I know I'll get used to it,
ぼくにはわかる、自分が馴れてしまうだろうことを
I've got to stop acting like a clown.
道化師みたいな真似はもうやめだ




I've gotta start facing up to what I really am.
ぼくは
本当の自分というものに直面することを
はじめなくてはならない
I've got to realise l'm just an ordinary man.
ぼくは
自分が並みの人間でしかないことを思い知らなくてはならない
I think that I'll just settle down
ぼくは身を固めようと思う
And take my place in the crowd.
そして、この群集の中に居場所を得るのだ
I don't want to lie to myself any more.
ぼくは
もうこれ以上自分に嘘をつきたくない






Am I just a face in the crowd,
このぼくは
群集の中のただのひとつの顔にすぎないのだろうか?
Is that all I'll ever be?
これって
ずっとこれからもぼくはそうだってことなのか?
Don't want to be anything that isn't really me.
何だろうとぼくは
本当のぼくじゃないものにはなりたくない
Mister, can you tell me who I am?
すみません、教えてください、
ぼくは何者なのでしょう?
Do you think I stand out
あなたは、ぼくが飛び抜けてる思いますか?
Or am I just a face in the crowd?
それとも、ぼくは
群集の中のただのひとつの顔でしかないのでしょうか?








Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞







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この段階では彼は誰でもなくなっている。
彼はスターなのか、それとも会社勤めのノーマンなのか?
おそらく、この期に及んでもうひとりのノーマンが登場してこないところを見ると、
彼は、やはり、妻のアンドレアの言うとおりスターになったつもりのノーマンなのだろう。
しかし、彼がノーマンであれ、彼は自分が何者かわからなくなっている。
誰でもない人間、英語ではそれをnobodyという。
誰か、何者か、である人間は、somebody、もしくはsomeoneとなる。
もちろん、誰でもない人間なんているわけはないのだが、それなら、それは誰だ、何者なのだ? ということになる。



この歌「A Face In The Crowd」(「群衆のなかの顔」)は、実質的にこの物語の終曲といってもよい曲で、この「ソープ・オペラ」全編の前身となったレイ・デイヴィス作・主演・音楽のTVミュージカル「スターメイカー」*1では、この曲を最後にノーマンは(公開録画のようにスタジオに設けられた客席で実際の聴衆に混じって(そう、群集の中のまさにひとつの顔となって)デイヴ・デイヴィスがリードをとるキンクスの往年のヒット曲の演奏に聴き入る場面でショーの終わりとなっていたという。*2




(きょうの日は、明日の「ソープ・オペラ」最終回へとつづきます)*3



ところで、(すでに美術史上の人物となっている)アンディ・ウォーホルの有名な言葉に

「In the future, everyone will be famous for fifteen minutes.」
(将来、誰もが15分間は有名になる時代が来る)

というのがあるが、すでにもうかなり以前から先進諸国ではそういう時代になってきている。*4

*1:イギリスの民放グラナダTVのマンチェスターのスタジオに観客を入れて、レイ・デイヴィス主演、妻のアンドレア役にジーン・リチーを迎えて、スタジオでの公開録画のようなかたちで収録され、1974年9月4日にイギリスで深夜の30分枠で放映されたロック・ミュージカルで、それをさらに膨らませたのがこの「ソープ・オペラ」というアルバムであり、またステージ・ショーである。おそらくどこかにステージ版「ソープ・オペラ」もTVミュージカル版「スターメイカー」も海賊版の映像が出回っているのだろうが、いまだわたくし自身は未見のままである。誰か持っている人、見せてくださレイ

*2:あ、ついでにキンクス・マニアの人たちのために一言申し添えておくならば、この「ソープ・オペラ」の原案となった「スターメーカー」を制作オンエアしたグラナダ・テレビは、キンクスの8枚目のアルバムとなったロック・オペラ・フィルム「アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡」Arthur Or The Decline And The fall Of The British Empire を企画・提案したテレビ局でもあります。結局は、サウンドトラック・アルバムのみの完成で映像作品に着手されることなく今日に至っている。それと(これもわたくしはよく知らないのでありますが)レイ・デイヴィスが主演した「長距離ピアノ奏者の孤独」The Long Distance Piano Player とかいうドラマも確かこのグラナダTVだったはずですよ。うむ、見たいなあ。

*3:ということで本日より、またしばらくの間、平常営業に復帰することができるようになりました。嬉P! ・・・・夏場でしたか、実際の日付との間に30日近い遅れを作ってしまい、どうにか2ゲーム差にまでもってきたところで、ここでまた12日ほどの遅れをとってしまいました。ネチネチと埋めていきますんでどうぞよろしく。

*4:英米でもよく誤って引用されるが、この「誰でも15分で有名になれる」はイーディをはじめ歴代の "スーパースター" やヴェルヴェッツなど曲者たちが出入りしていたファクトリー全盛時代の1960年代にセンセーショナルに取り上げられたウォーホルの名言だが、もうひとつの「In fifteen minutes everybody will be famous. 〜「15分もあれば誰もが有名になってしまう」。」は、1979年になってからのウォーホルの発言であることはしっかりと留意しておきたい。(イヤ、いろいろとモノを知らないヒトたちがイイ加減なコトを言ってるということなので一応。まあ、アメリカでもそのへんは多くの混同が見られるほどだからしかたがないけれどW−arhol!)