Fun Fun Fun

Words & Music by Brian Wilson and Mike Love.
(1964年発表)




(原題直訳 「愉快、愉快、愉快」)*1




Performed by The Beach Boys

You can listen to The Beach Boys album, "Shut Down Volume 2".
名作アルバム度 ☆☆

「シャット・ダウン Vol.2」 (ビーチ・ボーイズ




歌詞は、次のURLから
http://www.oldielyrics.com/lyrics/beach_boys/fun_fun_fun.html




名曲度 ☆☆☆☆☆





邦題 「ファン・ファン・ファン」 (ビーチボーイズ







Well she got her daddy's car
うん、彼女、パパのクルマに乗って
And she's cruisin' through the hamburger stand now
街を流して、ちょうどハンバーガースタンドから出て来たぜ
Seems she forgot all about the library
図書館のことなんかまるっきり忘れちゃってるみたいだな
Like she told her old man now
さっき親父さんにはそう言ってきたのにな
And with the radio blasting
しかもラジオをガンガン凄い音で鳴らしてる
Goes cruising just as fast as she can now
出せる限りのスピードで、彼女、突っ走っていくんだ




And she'll have fun fun fun
それで、彼女は
ファンファンファンって楽しんでる
'Til her daddy takes the T-Bird away
パパがフォードのTバードを取り上げてしまうまではね
(Fun fun fun 'til her daddy takes the T-Bird away)
(パパにクルマを取り上げられるまで
(ファンファンファンって楽しい気持ち)




Well the girls can't stand her
まあな
他の女の子たちは彼女に我慢ならないんだ
'Cause she walks looks and drives like an ace now
だって、あの子ときたら
歩く姿もルックスもクルマを運転しても
そうさ、まるでエース然としているからね
(You walk like an ace now you walk like an ace)
(きみはエース然と歩くし、いまもエース然と歩いてる)
She makes the Indy 500 look like a Roman chariot race now
彼女のせいで
インディ500もまるでローマ時代の戦車競走みたいに思えちゃう
(You look like an ace now you look like an ace)
(きみはまるでエースだね、うん、きみはまるでエースだよ)
A lotta guys try to catch her
大勢の男どもが
彼女に追いつこうと挑んでみても
But she leads them on a wild goose chase now
でも
先頭切ってガチョウのレースを引っ張ってるのは彼女だぜ
(You drive like an ace now you drive like an ace)
(きみはまるでエース然とクルマを転がす
(いまもエース然とクルマを走らせてる)




And she'll have fun fun fun
それで彼女ッたら楽しむんだ
ファンファンファンってな
'Til her daddy takes the T-Bird away
パパにTバードを取り上げられてしうまではね
(Fun fun fun 'til her daddy takes the T-Bird away)
(パパがTバードを取り上げちゃうまで
(ファンファンファンと楽しもう)




Well you knew all along,
まあな
きみだってちゃんとわかってたはず
That your dad was gettin' wise to you now
きみのパパも
いまじゃすっかりきみ相手の知恵もついて
(You shouldn't have lied now you shouldn't have lied)
(嘘をつかなきゃよかったねよ、嘘をつかなきゃよかったのさ)
And since he took your set of keys
キーの束を取り上げられてしまったものだから
You've been thinking that your fun is all through now
きみは
お愉しみはもうおしまいだと思ってる
(You shouldn't have lied now you shouldn't have lied)
(嘘をつかなきゃよかったね、嘘をつかなきゃよかったね)



But you can come along with me
だけど、ぼくと一緒に来たらいい
'Cause we gotta a lot of things to do now
だって
いろいろ、おれたちやりたいことがあるわけだしな
(You shouldn't have lied now you shouldn't have lied)
(嘘をつかなきゃよかったね、嘘をつかなきゃよかったね)




And we'll have fun fun fun now that daddy took the T-Bird away
それで、おれたちファンファンファンて楽しもう
パパにもうTバードを取り上げられたわけだしな
(Fun fun fun now that daddy took the T-Bird away)
(ファンファンファンって楽しもう、
(もうパパにTバードを取り上げられちゃったわけだしな)
And we'll have fun fun fun now that daddy took the T-Bird away
それで、おれたちファンファンファンって楽しむのさ
パパにもうTバードを取り上げられてしまったしな
(Fun fun fun now that daddy took the T-Bird away)
(ファンファンって楽しもう
(パパにもうTバードを取り上げられたけど
(Fun fun now that daddy took the T-Bird away)
(ファンファンって楽しもう
(パパにもうTバードを取り上げられたけど







Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞








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「サーフィン」をテーマにヒットを連発していたビーチボーイズが、その主題をクルマに広げていった時期のアルバムが「シャットダウン」と(それにつづく)「シャットダウン Vol.2」で、(いわゆる)「ホットロッド」*2と呼ばれるサウンドがちょっとしたトレンドとなっていった。




Well she got her daddy's car
And she's cruisin' through the hamburger stand now

うん、彼女、パパのクルマに乗って
街を流しながら、
ちょうどハンバーガースタンドから出て来たぞ




親のクルマを運転するというのは、エディ・コクランの名曲「サマータイム・ブルースhttp://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050721 にも出て来たように(子供にとっては(一台しかないTV受像機のチャンネル権以上に)大きな)問題で、ここでは(いかにも時代を感じさせるが)女子がカッコよくクルマを乗り回しているというのが大きなポイントのひとつとなっている。そして、




Seems she forgot all about the library
Like she told her old man now

図書館のことなんかまるっきり忘れちゃってるみたいだな
さっき親父さんにはそう言ってきたのにな



当時のアメリカのハイスクールの女子にとっては、「図書館で勉強するから」というのが(親に対する)夜の外出の定番的な口実だったのがこの部分からうかがえる。




And she'll have fun fun fun
'Til her daddy takes the T-Bird away

それで彼女ッたら
ファンファンファンってな具合に楽しむんだ
パパにフォードのTバードを取り上げられてしまうまではな



というこのフレーズはポップス史に残る有名なフレーズだが、この「Tバード」というのは、フォードのサンダーバードのこと、「Thundebird」すなわち(略して)「T-バード」というニックネームになるわけだが、この歌が出た当時の1964年型はこんなクルマです。
http://www.americaniron.narod.ru/album/ford/imagepages/607024.htm




ところで、こういう世界はアメリカ独特のもので、イギリスのロックにはない世界だ。(15歳でほとんどの子供が学業を終えて働きに出ていた1960年代初めごろまでの)イギリスには、若者が仕事以外でクルマを運転することはおろか、(アメリカのロックンロールにおける重要なセッティングとなっていた)「ハイスクール」というものさえありえなかった。これは英米のロックを論じるにあたっては(どうしても見落としてはならない)とても重要なことだ。*3

*1:英米のロックの名作を日本語で歌っている「王様」がビーチボーイズをカバーした「浜っ子伝説〜ビーチボーイズ 日本語直訳メドレー」(マキシ・シングル)では、この曲は「たの、たの、たのしい」という題で歌われているそうだhttp://www.osama.co.jp/web/castle/room.html

*2:直訳すれば「熱い棹」となるが、いわゆる「棹」状のレーシングカーのこと。

*3:1950年代の後半になって(イギリスでも)ようやく好景気がつづき、労働階級の子供たちも次第に「アート・スクール」などの専門学校に通わせてもらう余裕ができた。それがビートルズローリングストーンズの世代である。また1960年代中頃には若い労働者たちの可処分所得が大幅に増加し、「モッズ」と呼ばれた若者たちがファッションや(それでも、せいぜい)スクーターを乗り回して(アフターワークの時間帯だけの)「社交」を楽しむようになる。(それでも大半が親と同居していたわけだが)、その彼らが「スピード」と呼ばれる覚醒剤アンフェタミン)を常用したのは、(まず何よりも)昼の勤務時間の疲れを忘れて夜、元気に遊ぶためであり、また前夜の遊びの疲れに耐えて翌日また(しっかり)仕事に出るためのものだった。そのへんの事情が(どうも)日本にはきちんと伝えられていないようだ。