I'm Waiting For The Man

Words & Music by Lou Reed.
(1967年発表)




(原題直訳 「おれはあの男を待っているところだ」)




From The Velvet Undergroud album, "The Velvet Underground & Nico".
名作アルバム度 ☆☆☆☆☆

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ」 (ヴェルヴェット・アンダーグランド)





歌詞は、次のURLから
http://www.alwaysontherun.net/velvet.htm#2



名曲度 ☆☆☆☆☆





邦題 「僕は待ち人」 (ヴェルヴェット・アンダーグランド)






I'm waiting for my man
おれは
おれの主人(おとこ)を待ってるとこなんだ*1
Twenty-six dollars in my hand
26ドルを手にして
Up to Lexington, 125
レキシントン通りの125丁目*2までやって来た
Feel sick and dirty, more dead than alive
苦しくって、すさんだ気分だぜ*3
生きてるってよりも、死んでるような感じだぜ
I'm waiting for my man
おれはおれの主を待ってるところだ




Hey, white boy, what you doin' uptown?
おい、白いの、
おまえ、このアップタウンなんかで何やってんだ?
Hey, white boy, you chasin' our women around?
よお、白人の小僧、
てめえ、このへんでおれたちの女を追いかけまわしてんのか?
Oh pardon me sir, it's the furthest from my mind
あゝ、滅相もない
そんなことこれっぽちも思っちゃいませんよ
I'm just lookin' for a dear, dear friend of mine
ぼくはただ、大事な、大事な友達を待ってるだけですよ
I'm waiting for my man
おれはおれの主を待ってるんだ





Here he comes, he's all dressed in black
来た、来た、黒ずくめの恰好で、やつが来た
Beat up shoes and a big straw hat
先のとがった靴*4にでっかいストローハット
He's never early, he's always late
あの野郎、時間より早く来るなんてことは絶対ないんだ
いつも遅れて来やがるんだ
First thing you learn is you always gotta wait
まず、知らなきゃならないことは
いつも必ず待たなきゃならないってこと
I'm waiting for my man
おれはおれの主を待っている
Up to a Brownstone, up three flights of stairs
褐色砂岩造りの建物まで来て、階段を3階まで上がる
Everybody's pinned you, but nobody cares
誰からもすっかりお見通しだが、
そんなこと気にするやつはひとりもいない
He's got the works, gives you sweet taste
これはやつの仕事なんだ、人に甘美な思いをさせてくれる
Ah then you gotta split because you got no time to waste
あゝ、そしたらすぐにおさらばしなきゃな、
なにせ、いっときだって無駄にしてる時間なんかねえわけだからな
I'm waiting for my man
おれはおれの主を待ってるんだ
Baby don't you holler,
おい、でっかい声を出すんじゃねえって
Darlin' don't you bawl and shout
お客さん、泣いたり喚いたりするんじぇねえぜ
I'm feeling good,
おれはいい気分になっている
You know I'm gonna work it on out
わかるだろ、ちゃんと効いてきてるぜ
I'm feeling good,
気持ちがいいぜ
I'm feeling oh so fine
すっげえいい気持ちだぜい
Until tomorrow, but that's just some other time
明日までの話だけどな
でも、それはそれでまたそのときの話だぜ
I'm waiting for my man
おれはおれの主を待ってるところだ






Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞






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街の中、街頭って雰囲気のする曲を(このところ)お届けしているが、これは(まだ)そんなにドラッグが普及していなかった1960年代中頃のニューヨークのドラッグ・シーンの1コマがとてもよくうかがえる歌。
2日まえにここで紹介したローリング・ストーンズの「ロックス・オフ」の主人公が(どうやら)クスリの売人で生計を立てていたのと同じように、この歌では(「最近、あのガキ、全然、姿を見せないじゃないか」とストーンズが歌っていた)顧客のガキの立場から歌われる。それも黒人街におそるおそるやってきた白人の若いジャンキーだ。
見事としかいいようのないルー・リードの歌作りの才能が存分に発揮されている名曲です。

それと(これも名曲である所以なのですが)この歌の凄いところは、白人が黒人にひれ伏してしまっている状況を如実に歌い出しているところだろう。ちょうど、それはノーマン・メイラーが(たぶん、「僕自身のための広告」の中の何かの文章で言ってた(ような)「白人は(実は)黒人の性的能力の優位を(秘かに)恐れているのだ」(そして、それが(当時の現在の)アメリカの人種状況を作り出しているのだ)という、優れた作家ならでは直截であからさまなストレートな物言いにも通じるものである。

レイ・デイヴィスとルー・リードとピート・タウンジェントは、ロックの三大文豪といえる存在だ。(あ、すみません、ボブ・ディラン先生を忘れてしまいました。ま、三銃士とダルタニアンみたないことってことで、ゆるーく許してつかぁーさいのう。




ルー・リード「BERLIN」全曲訳

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060518  (第1回「ベルリン」)
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060519
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060520
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060521
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060522
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060523
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060524 (最終回「悲しみの歌」)

*1:「my man」というのは(この歌の場合は)「クスリの売人」のこと、「主人」と訳すのも頷かれよう。職場なら「ボス」とか(あるいは)(頼りになる)「相棒」、家庭なら「亭主」という意味での「主人」など、「my man」という言い方には、つねにその関係がよく反映されている。

*2:ニューヨークの(いわゆる)「ハーレム」にあたる区域ですね。

*3:そろそろクスリが切れてきてるのだろう。

*4:そういう靴を履いていると警察や対抗勢力に追われて逃げるときに金網のフェンスによじのぼりやすいんだそうだ。