Early Morning Rain

Words & Music by Gordon Lightfoot.
(1965年発表)



(原題直訳 「朝の雨」)



From Peter,Paul & Mary album, "See What Tomorrow Brings".
名作アルバム度 ☆☆☆

「明日を見つめて」 (ピーター・ポール&マリー)



And you can listen to Gordon Lightfoot album, "Lightfoot !".
名作アルバム度 ☆☆☆
(ゴードン・ライトフット)


Also you can listento Bob Dylan album, "Self portrait".
名作アルバム度 ☆

「セルフ・ポートレート」 (ボブ・ディラン




歌詞は、次のURLから
http://www.lyrics-now.com/P/Peter_C_-Paul-_AND_-Mary-lyrics/See-What-Tomorrow-Brings/Early-Mornin_-Rain.shtml



名曲度 ☆☆☆☆



邦題 「朝の雨」 (ピーター・ポール&マリー)






In the early morning rain with a dollar in my hand
朝の雨の中、手には1ドルあるだけで
With an aching in my heart and my pockets full of sand
心の中の痛み、そしてポケットは砂だらけ
I'm a long way from home and I miss my loved one so
故郷を遠く離れたおれは、愛する人にも会えやしない
In the early morning rain with no place to go
行くあてもまるでなく、朝の雨の中




Out on runway number nine, big seven-o-seven set to go
9号滑走路から巨大な707が飛び立っていく
But I'm out here on the grass where the pavement never grows
なのに、このおれは道もないこの草叢の中にいる
Well the liquor tasted good and the women all were fast
まあ、酒はうまかったし、それに女たちも面倒な手間なくすんだ
There she goes my friend, she's rollin' down at last.
ほら見てごらん、あの飛行機は、はるばるやって来たのだ




Hear the mighty engine roar, see the silver wing on high
凄まじいエンジンの轟音が聞こえる、ごらん、銀の鳥が空高く
She's away and westward bound far above the clouds she'll fly
遠く西へと向かって旅立っていく
あの雲よりもはるか高くを飛んでいくのだ
Where the mornin' rain don't fall and the sun always shines
朝の雨など降らず、つねに太陽が輝くところへと
She'll be flyin' o're my home in about three hours time.
3時間もしないうちに
あの飛行機は、おれの故郷の上を飛んでいくのだ




This old airport's got me down, it's no earthly good to me
この古びた空港には打ちひしがれてしまう
おれにとってはいいことはまるで何もない
Cause I'm stuck here on the ground,
だって、おれはこの地上に貼りつけられたように
Cold and drunk, as I might be.
ごらんのとおり、寒い思いで飲んだくれてる
Can't jump a jet plane like you can a freight train
ジェット機が相手じゃ
貨物列車みたいに跳び乗るわけにもいきゃしない
So I'd best be on my way in the early mornin' rain.
だから、おれはこの朝の雨の中を行くとするしかないだろう
So I'd best be on my way in the early mornin' rain
というわけで、おれはこの朝の雨の中をいくとするしかないだろう





Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞






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スチール弦とナイロン弦の2本のギターのスリーフィンガー・ピッキングツーフィンガーピッキングの絶妙な絡みがどことなく降りしきる雨を思わせ、そこにポール・ストゥーキーのヴォーカルと、ピーター・ヤーロウとマリー・トラヴァースのハーモニーがまるでオーケストラのストリングスが織り成す美しい音の綾のように帯をなして舞い、描き出す息苦しいまでの無力な思い*1。ピーター・ポール・アンド・マリーの「朝の雨」には、ゴードン・ライトフットのオリジナル・ヴァージョンからはまったく思いもよらない何か新たな次元がこの歌の醸し出す寂寥感に附加されている。



アメリカのブルースやフォークソングには伝統的に「ホーボー・ソング」hobo songs と呼ばれるジャンルがある。放浪者や浮浪者(ふたつ合わせて)流浪者の唄といったところになるだろうか。
カナダのシンガー・ソングライター、ゴードン・ライトフットのこの名作のミソは、そうした伝統的な流浪者の歌にジェット機という現代的なアイテムを登場させたところだろう。




Can't jump a jet plane like you can a freight train
ジェット機が相手じゃ
貨物列車みたいに跳び乗るわけにもいきゃしない



1920年代末期の不況から大恐慌後の1930年代のアメリカには大量の失業者を生んだが、貨物列車は彼らが全米の大規模な公共事業を渡り歩くのに使った重要な遠距離交通機関だったが、ジェット機が飛ぶような時代になってもまだ流浪の身の人間がいるという、時代の進歩と変わることのない人間社会の現実の対照もまたこの歌を作り上げる土台となっている。

そして望郷の念もまた(空港付近の草叢によこたわり)・・・・・




She'll be flyin' o're my home in about three hours time.
3時間もしないうちに
あの飛行機は、おれの故郷の上を飛んでいくのだ



ジェット機に仮託するかたちでふるさとを想うわけだが、ただ単に遠く離れたその距離ばかりでなく、それが短い時間で行けてしまうという(もうひとつの)現実がより酷い事実となってこの歌い手を苦しめてもいるようだ。



代表的なホーボー・ソングとして、これまでここで紹介したものに

「フレイト・トレイン」  (エリザベス・コットン)

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050210#p2


そして、きょうは日付の上では月曜日、お天気は朝から雨・・・ということで

「雨の日と月曜日」 (カーペンターズ

http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050110#p2

*1:PPMことピーター・ポール・アンド・マリーの曲のほとんどは、男2人のギターと控え目なウッドベースというごくシンプルな楽器編成だが、この知られざるベーシストの名前が実は「安藤」だというのは日本でのみ通用するおバカなジョークである。この曲が収められたアルバム「See What Tomorrow Brings」は電気楽器が入らない最後の純粋アコースティックなフォーク・アルバムとなった。