Helter Skelter



Words & Music by John Lennon and Paul McCartney.
(1968年発表)




(原題直訳 「あわてふためき大騒ぎ」)



From The Beatles album, "The Beatles", a.k.a. "White Album"
名作アルバム度 ☆☆☆☆☆

ザ・ビートルズ (通称・ホワイト・アルバム)」 (ビートルズ




歌詞は、次のURLから
http://www.geocities.com/SunsetStrip/Limo/3518/helter_skelter.htm




名曲度 ☆☆





邦題 「ヘルター・スケルター」 (ビートルズ








When I get to the bottom I go back to the top of the slide
どん底まで来たら、また台のてっぺんまで戻っていく
Where I stop and I turn and I go for a ride
そこで立ち止まって、向きを変えて、滑って行くんだ
Till I get to the bottom and I see you again.
いちばん下に着くまでね、そして、またきみに会う




Do you, don't you want me to love you?
どうだい、ぼくに愛してもらいたいかい?
I'm coming down fast but I'm miles above you.
ぼくはすぐに下りていくけど、
でも、ぼくはきみよりも何マイルも高いとこにいる
Tell me tell me tell me come on tell me the answer.
教えてくれ、教えてくれ、ぼくに答えを聞かせてくれよ
You may be a lover but you ain't no dancer.
きみは愛する人かもしれないけれど、
だけど、踊る人ではないんだな
Helter skelter helter skelter
へルター・スケルター、あたふたあたふた
Helter skelter.
ヘルター・スケルター




Will you, won't you want me to make you?
どうなの、きみはぼくにものにしてほしいのかい?
I'm coming down fast but don't let me break you.
ぼくはすぐにおりていくけど
でも、ぼくに壊されないようにしてくれよ
Tell me tell me tell me the answer.
聞かせてくれよ、教えてくれよ
ぼくに答えを聞かせてくれよ
You may be a lover but you ain't no dancer.
きみは愛する人かもしれないけれど
だけど、踊る人ではないんだな
Look out helter skelter helter skelter
ほら、見てみろよ、あたふたあたふた、
ヘルター・スケルター
Helter skelter
ヘルター・スケルター
Look out, cause here she comes.
見てろよ
だって、彼女が来るんだからな




When I get to the bottom I go back to the top of the slide
いちばん下まで来たら、滑り台のてっぺんまで戻って
Where I stop and I turn and I go for a ride
そこで止まって、向きを変えて、また乗るんだ
And I get to the bottom and I see you again.
それでいちばん下まで来たら、また、きみが見えるんだね




Well do you, don't you want me to love you?
ねえ、どうなの、きみはぼくに愛してほしいのかい?
I'm coming down fast but don't let me break you.
ぼくはすぐに下りていくけど
だけど、ぼくに壊されないようにしてくれよ
Tell me tell me tell me the answer.
教えてくれよ、言ってくれよ
ぼくに答えを言ってくれよ
You may be a lover but you ain't no dancer.
きみは愛する人かもしれないけれど、
だけど、踊る人ではないんだよな
Look out helter skelter helter skelter
ほら、見てごらん、ヘルター・スケルター
あたふた大騒ぎだ
Helter skelter
ヘルター・スケルター
Look out helter skelter
ほら、あたふたあたふた
She's coming down fast
彼女はすぐにやって来る
Yes she is yes she is.
うん、そうさ、すぐ来るよ








Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞






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ヘルター・スケルター」とは、実は何のことはないただの巨大な螺旋状の滑り台のことだ。
イギリスのちょっとした遊園地ならどこにでもあった(ローラーコースター以前の)(いまや)時代遅れになったスリリングな(?)アトラクションだ。



ハイ、ちょっと画像を見てみましょうか・・・・
1908年建造のいまはなき古いのものと

 http://www.mainstreetchapel.org.uk/frodsham/helter.html

いまも現役の比較的新しいもの

 http://www.perrettsamusements.co.uk/helter_skelter.htm

ヘイ、もう一丁

 http://www.uklandscape.net/Mark-Nelson/mn16.htm




ということでビートルズの歌も(まさしく)その巨大な螺旋状の滑り台の興奮をハード・ロックに再現したものであるのは、その歌詞からも明らかだろう。歌詞も演奏も(過不足なく)少々過激な滑り台を(タイトルどおり)見事に描き出している。



ところが、イギリス以外ではこの「ヘルター・スケルター」が遊園地などの巨大な滑り台だということがほとんど(まったくと言っていいほど)知られていなかった。アメリカでも(イギリス滞在経験のある人ぐらいしか)知られていないことだった。
英語では、「helter skelter」と言えば、それは(辞書にあるように)「あたふたすること」「混乱」「狼狽」(という名詞としての意味のほかに)(形容詞として)「狼狽した」「あわてた」「混乱した」「無秩序な」・・・、また(副詞として)「あわてて」「あたふたと」「めちゃくちゃに」・・・などの意味を持っている。



そして、このヘヴィー・ロッキングなビートルズ・ナンバーが(ロック史上において)もっとも忌まわしいかたちで名曲となってしまうようなおぞましい事件が起こる・・・。


日本では(俗に)「シャロン・テート殺し」で知られるチャールズ・マンソンとその一統による「テート=ラビアンカ」事件だ。*1*2*3*4



早い話が、ヒッピー・コミューンで暮らすチャールズ・マンソンという男に率いられたカルト的な集団生活を送っていたヒッピーの一団が、1969年8月9日の夜と10日の夜に立て続けにハリウッドとロスフェリッツの高級住宅地の邸宅を襲い、女優のシャロン・テート(当時、ロマン・ポランスキーの夫人で妊娠9ヶ月(日本式算定)だった)をはじめ合計7人(になりますか?)をきわめて残忍なかたちで惨殺したロサンジェルスの連続殺人事件なのだが、ラビアンカ邸の現場のリビングルームの冷蔵庫には(文字どおり血塗られた文字で「ヘルター・スケルター*5と殴り書きされ、壁には「ブタどもに死を」*6など、ビートルズの楽曲を連想させるフレーズが落書きされていた。

やがて、逮捕後、明らかにされたことの中に、指導的な役割を果たしたチャールズ・マンソンらがこの殺人を「ヘルター・スケルター」というコードネームのもとに人類の来るべき聖なる最終戦争(ハルマゲドン(!))として準備、計画したもので、それは(レコードの楽曲を通じて)ビートルズから受けた黙示に基づいて構想され、実行に移されたものだったということがあった。元祖、というわけではないが、(まあ)本家本流の電波系による凶行だったのだ・・・・。



そう思って、あらためてこの曲を聞き返すと、
例えば、このあたりに・・・・




Do you, don't you want me to love you.
I'm coming down fast but I'm miles above you.
Tell me tell me tell me come on tell me the answer.


どうだい、ぼくに愛してもらいたいかい
ぼくはすぐに下りていくけど、
でも、ぼくはきみよりも(何マイルも)高いとこにいる
教えてくれ、教えてくれ、ぼくに答えを聞かせてくれよ




と歌うポールの声など、精神への何らかの作用を引き起こすだけのある強さを持った声かもしれない。そして声は言葉を伝え、言葉には語としての意味が帯電されているのだ。音韻という素粒子からなる(というよりも量子的にそのとき/その場で形成=生成・決定される)意味というのが・・・・。



ブルースがそうなのだが、そして英語という言葉そのものにそういうところがあり*7、(また、それがキリスト教や(新旧の「聖書」との照応関係を誘発することで)状況次第で同じ数語からなる(ごくあたりまえの日常的な)フレーズがまったく違う意味を(具体的に)持ってしまい、輝かしいほどの深い意味のあるものに聞こえてしまうことがある。とくにロックやブルースのように歌う人間に(人間存在としての生命の)力や魅力がある場合は、それが「声」という直接的なものを通じて伝わる言葉であるだけにいっそう直截で強烈な響きを聴く者の精神にもたらすことは容易に察することができるだろう。



たとえば、ジョンとヨーコの現代音楽的な実験音楽である「リヴォルーション#9」(「革命第9号」)を聴きながら(それを「ヨハネ(=ジョン=John)の黙示録(リベレーション=Revelation)第9章(ナンバー9)と受け取って)実際に「新約聖書」の(ヨハネ=ジョンの)「黙示録」の第9章を読んでみるといい、マンソンならずともあまりのハマりすぎに(たとえシラフでも)(ビートルズの)「ホワイト・アルバム」を「黙示録」の第9章の観点からそっくり聴き返してみたくなってしまうだろう*8


・・そもそも、なぜ、あのビートルズのアルバムのジャケットはああも純白なのか? そして、なぜ、世界中で発売されたアルバムのひとつひとつに(ふたつとおなじもののない)シリアル・ナンバーが記されているのか? (さらに)なぜ、デビュー作でもないのに(あえて)グループ名がアルバム・タイトルになっているのか? (何かあるに違いない!)などと(オツムのおかしい生真面目な人たちが(おそろしいことに)真剣に)考え込んでしまうわけですよ。もとより答えなどない、確かめようのない勝手な答えを出すべくね・・・・すっげえキケンなものなのですね、そもそも芸術というのは。ホント、マジなお話で。



お読み、「ジョンさまのお告げ」(リベレーション・ナンバー9)だよ〜ん (ヨハネ黙示録第9章)

http://www.pokoko.com/bible/new-27-RevelationJohn.html#9




後日談〔及び前日談)になるが、マンソン自身、凶行の前年、ビーチボーイズのドラマー、デニス・ウィルソンのバックアップで純正ヒッピーのアーチストとしてレコード・デビュー寸前まで行ったことがあり、裁判中には弁護費用の捻出のため(その曲を含む)(現在でも入手可能な)アルバム「Lie: The Love And Terror Cult」をリリースし、その後も3枚のアルバムをリリースしている*9ほか、ニール・ヤングはその「Revolution Blues」でマンソンを歌い、ガンズ&ローゼズにいたっては、そのアルバム「スパゲティ・インシデント?」でマンソン自作の曲「Look at your game, girl」を取り上げて激しい非難を浴びたている。また、あえて「マリリン・マンソン」くんをお引き合いに出すまでもなく、今日に至るまで有名無名を問わず無視できない影響をロック史に(そして、いまだ歴史とならないかたちでラップにリアルで強烈な影響をマンソンは)与え続けている。



以上、例によって、読み返すことなくアップしているので(読見苦しい点や誤字脱字打ち間違い変換間違いは)追って訂正。そして、わたくしのこのカッコつけた文章(カッコって(  )のことよん)は( )内を無視して読んでみると、また面白いかもしれません。通常、わたしは( )内のコトバなしですませてるものなので(どうしても)人に話すとなるとカッコをつけずにいられません。ってことで、どーぞ、よろしく。また明晩!



そして、このページ独自のストーリーラインに沿って言えば、きのうボウイの「未来の伝説」にあった「大きな車輪」との関連で「上がったり下がったり」の「回転木馬」の主題が(当面のおどろおどろしさに沿いながら)(ここで再び)こだますることになっている。しかし、メリーゴーランドと違って、このヘルタースケルターは(滑り台なので)ドン底まで来たら、自分で歩いて上まで上がらないとならないわけです。


(車輪と回転木馬の主題については)

「スピニング・ホイール」
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050511

「恋のカルーセル
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050512


あたりからの流れをどうぞ見てみてくださいませ。確実にひとつの流れが見えてくるでしょう。どういうわけで今夜この曲になっているのか、それもまたこのページのゲームを楽しむ隠し味みたいなものですんで、どうぞお愉しみあれ。

*1:それについては、一応、ここではこちらにおまかせする http://www.ltokyo.com/yanasita/killer/manson.html

*2:ビデオなら、http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=21066http://www6.plala.or.jp/khx52b/movie/file_s/si0029.html

*3:本なら、http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4794200250/249-2856627-2800334 (図書館などで、どうぞ)、http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4877343067/249-2856627-2800334

*4:英語のWikiで、http://en.wikipedia.org/wiki/Charles_Manson

*5:実際には(わざとだろう)「healter skelter」と「癒す」heal の文字が忍ばせてあった。

*6:「ブタども」を意味する「Piggies」は、「ヘルター・スケルター」同様、ビートルズの当時の最新アルバム(「アビーロード」の発売はまだ2ヶ月近く先のことになる)「(通称)ホワイト・アルバム」の1曲で、こちらはジョージ・ハリスンの作品だ。

*7:例えば「it」とか「him」とか「there」といった代名詞の多用や(それが文法上、センテンスの最後に来ることの多い目的語として使われることや)、動詞がいくつかのシンプルな動詞(take とか get など)と前置詞の組み合わによって代用されることが慣用されていることなどによってフレーズやセンテンスが文脈を離れてべつのシチュエーション(状況や設定)に容易に移行したりワープし嵌まりやすいこと、さらには単数も複数も同じ「you」であることなど(そのへんは)(実例とともに)枚挙にいとまはない。例えばミュージシャンは、ライヴでステージの上から観客を前に「アイ・ラヴ・ユウ」と歌うのだ。そして、そのとき本当に観客を愛している自分に気がついたりしてしまうことだって(精神上の出来事として)起こりうるのだ・・・・。(ファンから)愛された者が愛に目覚める聖なる瞬間とかネ(笑い)。その敏感さが彼らの歌詞に磨きをかけることになる。ミュージシャンはみんな普通の人たちより何ステップも耳がいいからね。なまじのこと、つまらないこと、よく考えると間違っているかもしれないこと、自信のないことを観客のまえで大きな声で歌うことが、意識が高くなるにつれてどんどん困難になってきてしまう。そして、深くいろんなことを考えるようになる。だから、どんどん複雑で繊細かつデリケートな歌詞になっていったりする。人によっては、それはスピリチュアルな世界への意識の拡がりとなったり、逆にわざと駄法螺や大言壮語に走る酔いどれ路線も(ロックやブルースの)ひとつの伝統として脈々と存在している。あちらのミュージシャンたちはみんなそれなりにかなりの精神の危機に直面し、それらを乗り越えてきているのだ。中には潰れてしまった例も少なくなく、いくつかの名前を悲劇的なケースとして挙げることもできるだろう。

*8:いわゆる「ミュージック・コンクレート」といわれる現代音楽の手法で途中何度もジョンの声が気取った口ぶりで「ナンバー9」「ナンバー9」と(まるで何かを催促するかのように)繰り返す。それが何回か反復される。おそらく、そのようにしてマンソンたちは「黙示録」の9章に思い至ったのだろう。

*9:「Family Jams」「Manson Speaks」「Commemoration」