Substitute

Words & Music by Pete Townshend.
(1966年発表)



(原題直訳 「代用品」)




Performed by The Who.

You can listen to The Who album,
"Meaty Beaty Big And Bouncy" and other compilation albums.
推奨アルバム度 ☆☆☆☆☆


(フー)



歌詞は、次のURLから
http://www.lyricsdownload.com/the-who-substitute-lyrics.html



名曲度 ☆☆☆


邦題 「恋のピンチヒッター」 (ザ・フー





You think we look pretty good together
オレたちなかなかの似合いだと思うだろ
You think my shoes are made of leather
オレの靴、本革製だと思うだろ
But I'm a substitute for another guy
ところがどっこい、オイラは代用品、他のオコトの代わりだと
I look pretty tall, but my heels are high.
オレってけっこう身長あるように見えるだろ、
だけど、ヒールのせいだよ、高いだろ
The simple things you see are all complecated.
単純そうに見えて、物事はみんな複雑なんだぜ
I look pretty young, but I'm just back dated, yeah.
オレがけっこう若く見えるのも、頭の中が幼いだけ、そうなんだぜ




Substitute for your lies for fact.
オマエの嘘が本当のことの代わりになる
I can see right through your plastic mac.
そのビニールのコートを見てりゃ、
オマエのことなんか、すぐにお見通しさ
I look all white, but my dad was black.
オレはどっからみても白人にしか見えないけど、
親父はクロだぜ
My fine looking suit is really made out of sack.
このかっこいいスーツだってズタ袋で作ったものさ




I was born with plastic spoon in my mouth.
オレなんか、そこいらの生まれで
North side of my town faced east, and the east was facing south.
オレの住んでるとこなんか、北が東で東が南なんだぜ
And now you dare to look at me in the eyes.
そうやってマジな顔してオレの目え見詰めたりして
Those crocodile tears are what you cry.
どうせ嘘泣きじゃんかよ、オマエの涙なんてよ
If it's a genuine problem, you won't try to work it out at all.
かりにマジに大問題だとしても、
ちゃんと考えたりなんかしないだろ、オマエは全然な
Just pass it by, pass it bay.
ただ、ほったらかして、
過ぎ去ってくがままにする




Substitute me for him.
あの野郎の代わりのオレなんだよな
Substitute my coke for gin
ジンのつもりのコーラだしな
Substitute you for my mam
オマエだってオフクロの代わりなんだぜ
At least I'll get my washing done.
さっさと洗濯すませろよ







Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞







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ザ・フーのピート・タウンジェンドは、
キンクスのレイ・デイヴィスと並んでイギリスの社会に暮らす人間にとってはドキッとするような歌やニヤリとする歌を書くのが上手なウィットに富んだ優れたソング・ライターだが、
この「Substitute」(=「代用品」)という歌のもっとも秀逸なラインにしてひじょうに有名な一節にも、それがよく表れている。



I was born with plastic spoon in my mouth.
ぼくはプラスチックのスプーンをくわえて生まれてきた



というくだりだが、
これは英語の教養のいくらかある人ならすぐにピンとくると思うが、
いわゆる「いい家の生まれ」を意味する英語の慣用句
「born with a silver spoon in one's mouth」
銀の匙をくわえて生まれてきた)
をもじったもので、
この歌の主人公は、20世紀後期風に「プラスチックのスプーンをくわえて生まれてきた」という。

この「プラスチック」という語には、
「陳腐なもの」とか「大量普及消費材」といった意味での「そこらにやたらにあるもの」といった20世紀中期以降の大衆社会にふさわしいコノテーション(語の本来の意味とは違う共示的な意味作用)があって、
ピート・タウンゼンドのこの「プラスチックのスプーンをくわえて生まれてきた」という歌詞も、早い話が「おれなんかそこらの生まれでよ」ということになる。
先進資本主義国のワーキングクラスの民衆の(それも欲求不満に衝き動かされた未熟であてのない若い民衆の)音楽であるロックンロールにふさわしい強烈なフレーズとしてとても名高いものなので(試験問題にはよく出るので!?)よーく覚えておくように。



要するに「プラスチック」(合成樹脂)が広く「銀」の代用をするようになった大量消費=大衆社会化状況という人類史的な一段階をよく映した歌のひとつといえるだろうか。
そういう豊かな貧しさ(貧しい豊かさ)が蔓延する中でロックは生まれ育ってきた。



もうひとつ、この歌で説明を要するフレーズがあるとしたら、



North side of my town faced east, and the east was facing south.
オレの住んでる町なんか、北が東で東が南なんだぜ



という箇所だろう。

これはべつにシュールレアリズムでも、アンフェタミンでアタマが錯乱してるわけでもなく、
みなさんの近辺にもよくあるのではないかと思うのですが、
(げんにぼくの仕事場からほんの数分ほど「北」に向かって歩くと、そこは「西新宿」という住所表記のある町であったりするのです。つまり、「北」が「西」であるという)、
そういうことを歌っているわけで、
こころみにロンドンの地図を開いてみると、
例えば、ブレントフォードエンドという町は、
その北側がイースト・イーリングという町で(つまり、「北」が「東」で)、
東隣がサウス・アクトンという町(つまり、「東」が「南」)であるというわけです。
これらの町はいずれもワーキングクラスの住む町で初期のフーのホームグランドともいうべきシェファーズブッシュに近い町です。